2013年10月4日金曜日

奇人、変人




 今年もまた、ノーベル賞をパロディー化したイグノーベル賞を日本人2氏が受賞した。これで7年連続、これまでの受賞者は英国と日本が多い。本家のノーベル賞はアメリカが多いが、イグノーベル賞は主催国のアメリカの受賞者は意外と少ない。この理由として、英国と日本が変人、奇人を愛される国だという。変わった研究、仕事を真剣にやる精神は、そういえば両国とも尊重される。

 先日のNHKのプロフェッショナルでも、「クリーニング屋」さんが取り上げられていた。染み抜きに全精力を傾け、どんなシミも必ずとると日夜、仕事をしている。番組を見て、感動したが、よく考えれば、たかが染み抜きにそれほどがんばらなくてもと思ってしまう。これも一種の変人、奇人であろう。どんな仕事であれ、一生懸命にする姿勢は日本では尊ばれる。隣の韓国、中国ではありえないことで、安い仕事で、できれば他の職に移りたいという人がほとんどで、これほど仕事を極めようとする姿勢はない。

 そういえば、以前、韓国の歴史学者が、「日本の歴史をみて、うらやましいのは多くの奇人がいることだ」と言っていた記憶がある。画家で言うと、葛飾北斎が奇人であるのは誰もが認めるであろう。南方熊楠、田中正造、平賀源内、佐久間象山、吉田松陰も奇人の範疇に入るだろう。ちょっと変わっている人というと枚挙なく、本田宗一郎、松下幸之助、小泉純一郎(祖父の又次郎は本物の奇人)、イチロー、長島などもそうであろう。こういった人物は、実にユニークなエピソードを多々持ち、ドラマや本でも取り上げられる。それに比べて中国では歴史も長く、人口も多いのでそれなりの奇人、変人がいるが、確かに韓国にはそういった人物はほとんどいない。

 時代を切り開く、あるいは新たな社会も作る人物は、常人では難しく、当時の感覚からすれば、奇人、変人でないと無理なのであろう。アメリカで最も有名な奇人、変人といえば、アップルの創業者、スティーブ・ジョブスであろう。彼の妥協を許さない執着は今日のアップルを作った。

 その点、青森は奇人、変人天国である。棟方志功のユニークな性格はまさしく奇人、変人であるし、最近では「奇跡のリンゴ」で有名な木村秋則さんもそうであろう。こういった青森の奇人、変人は最近亡くなった原子昭三先生の「津軽奇人伝」、「津軽奇人伝 続」に詳しい。個人的に、津軽の奇人を挙げると、1. 佐藤弥六 佐藤紅緑の父、佐藤愛子の祖父、2. 佐々木五三郎 慈善運動家、3. 今武平 今東光の父、4.伊東五一郎 伊東重の長男、5.今和次郎 考現学、6. 笹森儀助 冒険家、7. 山田純三郎 孫文秘書、8. 葛西善蔵 作家、太宰治の数倍奇人、9. 棟方志功、10. 平尾魯仙 画家 となる。いずれも名、金を求めない生き方をした。

 津軽では何かをする時、「バカさ、なれ」 という。別に励ましているわけではなく、やや揶揄した言い方である。本気になって一生懸命やったとしても、誰もほめてくれるものではなく、かえってばかにもされ、足も引っぱられる。結局は、一人でもがくことになるが、そうした中でさらに孤立化する。人とうまくつき合うことはできず、ある意味、味方をつくるのが下手なため、徒党を組めない。政治家には全く向かない性格であり、津軽からは大政治家、実業家は出現していない。

 ただここで言いたいのは、こういった奇人、変人が何とか、一生を一つの仕事に打ち込めたのは、その妻、母の内助の功によるべきで、そういった意味では、津軽の女はすごい。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...
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匿名 さんのコメント...

奇人変人天国とおっしゃいますが
他県に比べてそれほど「奇人」が多いとは思いません。
「奇人」が(少なくとも本多氏のような人が一人でもいたら)多かったらもっと青森県は産業でも経済でも発展していたと思います。

他県に比べて能力ある人材が少ないのが青森県だと思います。

匿名 さんのコメント...

奇人変人が本当に多いのは愛知や京都だと思います。変わった文化人やクリエイターや芸術家が本当に多いです

広瀬寿秀 さんのコメント...

京都は確かに奇人が多そうですが、愛知県が奇人が多いのは初めて知りました。愛知県出身、明治以降の代表的な奇人をお教えください。奇人の姿をみると、その県民性がわかります。