2022年7月15日金曜日

弱い左翼

 

りっちゃん(立命館大)は昔と同じです




安倍元首相が亡くなり、いまだに喪失感がある。戦後の首相としては、吉田茂、佐藤栄作に匹敵する偉大な政治家であり、その国家への貢献は十分に国葬に値すると思われる。

 

韓国を除く、海外からのお悔やみ報道が多い中、一部の左翼の人々による故人への罵倒が主としてツイッターなどのSNSで散見され、非常に腹がたつ。個人的に面識のある方が、「森友学園の罪を認め、豚箱に入っていれば、こんな殺され方もせずに。バカなやつ」とツイートして、その後も「ある日エンマ大王、変な男がやって来た。嘘をつくので舌を抜いたら、抜いても抜いても舌があるので驚いた」と書いていて、失望した。このツイートに同調する人や引用されたツイッターも、調べるとひどい内容であった。

 

日本では、いくら憎くても死者に鞭を打つような真似は嫌われたし、仮にこうした気持ちがあってもツイッターで吐き出すようなものではなかろう。今回の参議院選挙でも、昔の社会党の直系、社民党がわずか1議席しか取れなかった。子供の頃の日本社会党といえば、堂々たる野党第1党で、議席数も多いときは100議席以上あった。今や共産党も含めて純粋な左翼陣営はかなり少数派である。一般の人からすれば、長年、日本のために働いた人が殺されたことを可哀想に思うのは普通の心であり、こうした際に故人を嘲笑うような言動は、かなりの反発と左翼離れを生む。

 

私も、高校生の頃は、毛沢東語録を読み、竹内好や朝日新聞の文化大革命を礼賛する本や記事を夢中になった。ところが中国がベトナムに攻め入る中越戦争やベトナムがカンボジアに攻め入る東越戦争の頃からか、中国、あるいは社会主義そのものに疑問を持つようになり、大学2年生の頃に、外国人に解放されたばかりの中国に行ってきた。団体旅行のみ許された時代で、公安関係の職員も付き添ったが、日本語のガイドは、すべて文化大革命中に農村部に下牧された経験をもち、彼らから聞いた文化大革命の実態は、帰国後に読んだ本に一致するひどいものであった。同時に、これまで文革を礼賛した、いわゆる知識人に、強い憤りを覚えた。さらに毛沢東の大躍進時代に2000万人を超す人類史上最悪の国家による餓死の実態を知るにつれ、完全に社会主義思想とは離れた。

 

現在、世界に残っている社会主義国は中国、キューバ、北朝鮮、ラオス、ベトナムの4カ国であり、中でも日本の左翼が慕うのは中国である。かってアメリカの核実験を汚い核といい反対運動をし、中国、ソ連の核実験を綺麗な核として抗議しなかった連中である。普通に考えれば、中国にしても大躍進による飢餓、文化大革命による虐殺、チベット、ウイグル人への人権問題などを調べれば、社会主義の根本的な欠点がわかるし、失望すると思われるが、彼らは自分の考えを変えない。安保反対、ベトナム戦争反対運動、三里塚闘争、学生運動、佐世保エンタープライズ寄港阻止闘争、反原発運動、辺野古米軍基地建設反対運動など、これらの左翼による運動は、日本にとって何らの貢献、影響はなかった。全く無駄な運動で、現実の社会を変える何の影響もなかった。また最近の特定秘密保護法案反対運動、集団的自衛権反対運動なども、ロシアによるウクライナ侵攻などを見ると、当たり前のことで、逆に安倍元首相の功績と考える政策である。

 

国民皆保険、年金、障害者福祉、介護保険、生活保護、幼児教育・保育無償化など、日本が誇る社会主義的政策は、社会主義国の教祖、中国より高いレベルのものである。国民年金は岸伸介内閣、国民健康法は池田勇人内閣、障害者福祉法、生活保護法は吉田茂内閣、保育無償化は安倍晋三内閣で、作られた。もちろんこうした法の立案、成立には野党の協力も不可欠であったであろうが、実現可能で、国民が納得し、希望する法案については、それに尽力した人々がいて、決して左翼の運動により生まれた政策ではない。

 

自民党が政権を独占している状態は決して褒められたものではないが、あまりにも野党、さらにいうと左翼が弱すぎる。「平和はいいね。だから9条は変えさせない」と言うなら、北朝鮮との話し合いで、核の撤廃をさせるくらいの離れ業をしなければ、誰もこんな甘言を信じない。また「ウクライナ戦争を止めるのは、岸田・バイデンを打倒する闘いであり、日米が対中国への侵略戦争に踏み出した結果」と言う中核派の狂った論理は、中国から金をもらっているのかと思うほど、国際感覚からずれている。一方では暴力革命を肯定しながら、「平和はいいね」の感覚は一種の宗教と考えるべきであろう。









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