2022年8月2日火曜日

北欧家具 Scandia Jr. チェアー





 



久しぶりに北欧家具を購入した。欲しい家具があっても、モノがモノだけに置く場所が必要で、我が家のリビングだけで3人掛けのソファーとパーソナルチェアーが4客ある。日常は家内と二人だけなので、全ての椅子を使うことなど滅多にない。そのため、家具の購入はかなり慎重にならざるを得ない。


一番最後に購入した椅子は、宮崎椅子製作所のぺぺ・ラウンジという椅子で、調べると
2007年購入とあるので、すでに15年前のことである。この椅子は、当時、土手町にあったベターホームズで、最初45000円で売っていたので、仕上げに比べると安いと思い、即購入したが、途中に値段が56000円になったというものだった。今でも販売されている名作椅子で、値段も税込、70000円くらいでそれほど値上がりしていない。すでに2万脚以上売れた宮崎椅子製作所のヒット品である。うちの椅子のロット番号は0006なので、2万脚のごくごく最初のものといえよう。

 

今回、購入したのは,Scandia Jr.という椅子で、どちらかというとダイニング用の椅子に分類できそうである。1957年にノルウエイのHans Brattrud(ハンス・ブルットルウ)がデザインしたもので、細い木板の縦の重なりで優美な曲線を描き、座り心地の良いフォルムを作っている。1961年に製品化されたものの、1970年代には生産されなくなり、その後、2001年からFjordfiesta社がBrattrud本人と組んで復刻したものである。

 

6つの細い木板を微妙に曲げたものを重ねた椅子で、元々はブナ、チークなどの木材そのものを加工し作られていた。おそらく曲げ技術を使って作られたと思うが、6つの木板を寸分の狂いもなく曲げていくのはかなり難しかったと思われ、それが短い製作期間に繋がった。そのため、復刻にあたり、合板を使い、より製作が容易にできるように工夫したのであろう。現在、種類としては、ベーシックのScandia Jr.と背もたれがハイバックとなっているScandia Prince, Scandia SeniorScandia Netなどのシリーズがある。

 

扱っている店は色々とあったが、ノルウエイ大使館にも、この椅子を納品しているNorwegian Iconという東京、渋谷にある会社から購入した。10万円を超える品物を見もしないでオンラインで購入するのは、相当覚悟がいったが、おそらく為替、物価上昇の関係で、値段が確実の上がると思われ、急いで購入することにした。同じように思う人もいたのか、最初希望していた色、オークは注文寸前に売り切れてしまい、ウオルナットにした。他にもコンランショップなどでも扱っているが、在庫がない場合は数ヶ月待たなければいけない。Norwegian Iconという会社は、メールでもきちんと対応していただき、いい会社である。北欧家具というとデンマーク、スウェーデン、あるいはフィンランドとなるが、ノルウェイの家具はあまり知られておらず、その普及を図る店である。

 

実際、届いて椅子を座ると、8枚の積層合板のフォルムが見事にお尻の形態にマッチし、また適当なしなりもあって座り心地は良い。試しに持っていた人工皮のチェアーマットを敷いてみたが、何もないほうが良い。詳細にみてみると、8枚の板は少しずつフォルムが違っていて、それを組み合わせて3つの横板とスチールの脚部と組んでいる。かなりの精度が求められ、その加工は積層合板でも難しく、初期の製品、無垢の木材ではさらに難しかったと思われる。類似の椅子としては、Mikadoというチェアーがあり、背もたれの部分が8つの棒でできているが、Scandia Jr.に比べると簡単な構造である。ありそうなデザインであるが、製造が難しく、コピー商品は知らない。

 

名作椅子と呼ばれる椅子に興味を持ち、いろんな本を買ってきたが、この椅子は製作期間が短かったせいか、あまり名作椅子としては取り上げられなかった。私もこの椅子に気づいたのは、ここ一年くらいである。復刻したのが2001年であったが、日本で販売されるようになったのはそれほど前でなかったかもしれない。世界で最も素敵なカフェー、「飛行機に乗って試しにいく価値がある」と評されるノルウエイのオスロ“FUGLEN”にもこの椅子はある。東京にも4店舗あり、実際にこの椅子が置かれているところもある(Fuglen tokyo)ようなので、試しに行かれるのもいいだろう。



Fuglen Tokyo



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