2023年4月2日日曜日

コロナ禍に便乗

 

冬の歩道(代官町)、高さが1mくらいの登り



最近は、コロナ禍に便乗した商品の欠品が目に付く。半年前に注文したゴムメタルというワイヤーがいまだに入荷しないので、メーカーに連絡したところ、「コロナのせいで製品が作られない」という、「確かおたく製品は日本の工場で作っており、あまりコロナとは関係ないのでは」と尋ねると、「実は製品を作っている工場の従業員がいない」という。作っている従業員がいないのであれば、何とか雇って作らせたらよいように思えるのだが。そこで「その製品はよく宣伝しているが、おたくの会社であまり売れていない製品なのか。」というと「主力製品でよく売れています」という。流石にこの時点で少しキレ、「主力製品が6ヶ月も生産されず、入荷しないという状態に社長は何にも思わないのか。もしそうなら社長失格だ」と言って電話を切った。その後、2、3日して何とか入荷することになりましたとの連絡があったが、客からのクレームでこんなに早く解決することを6ヶ月も放置するのは怠慢であろう。

 

同じように事例が昨日もあった。これも昨年の10月に学会で注文した矯正用器具、ピンカッターである。注文して5ヶ月経つので、会社に連絡すると、「コロナのせいで原料が手に入らず、工場の生産が遅れている」という。「5ヶ月も原料、金属が入らず、生産できていないのであれば、会社は倒産するのではないか」というと、今度は「いや全製品の生産が遅れているのではなく、注文した製品の生産が遅れている」という。ここで再びキレ、「いつになったら、注文した製品が生産するのか」というと「年内には」というので、「年内というと今年の12月。さらに9ヶ月待つというの」、「それは他の似たような商品に注文をかえてほしいということか」というと「はいそうです」ということになり、結局は他の商品に注文を変えた。

 

営業マンも大変であるのはわかるが上記のようなコロナのせいにする言い訳がどうも最近多い。現在の社会は世界中のサプライチェーンで結ばれているので、中国での生産停止が世界中に影響を及ぼすことは十分に理解している。それでも生産が半年も停止すれば、会社自体が消滅するのははっきりしており、何とか材料の確保に躍起になる。それ故、よほど売れている自動車では1年待ちということはあっても、それはコロナのせいではなく、人気車種で生産が追いつかないだけである。おそらくコロナによる注文、納期についてのクレームが日常化して、もはや当たり前のことになり、本気で解決しなくなったのであろう。それが負の連鎖で、ますます物は生産されても、流通が正常化しても、遅れて当たり前という言い訳が罷り通るようになったのであろう。

 

さらに状況がひどいのは建築業界で、ここはコロナ前から資材と人材が不足していた。まず大工になる若い人が少なく、業界自体が高齢化しており、足場作り、佐官などの周辺の仕事をする人も同じような状況であった。これに追い討ちをかけるように輸入木材が高騰し、さらに人材不足から賃金が上昇し、結果的に建築コストが大幅に上がったばかりでなく、納期も遅れている。弘前でもマンションブームで数年前から多くのマンションが建っているが、最初のマンションが2LDK4000万円台であったが、23年前には5000万円台となり、今建てて分譲しているマンションは何と6000万円台となっている。土地代はむしろ下がっており、この価格の上昇は建築費の高騰と考えてよい。知人も、新しい老人ホームを黒川紀章の設計を依頼し、土地まで買ったが、建築費の高騰で中止となった。今後も若者人口の減少と3K職への忌避から、ますます建築作業員が減少し、結果的には建築費が増加していくだろう。全国建設労働組合総連合の調査によれば、2021年の大工の平均年収は449.8万円、これは前年より23.4万円、5.5%の上昇である。一方、建設就業者は4年連続減少、2022年は前年に比べて6万人減っていて、ますます人材確保が今難しく、賃金上昇をもたらす。

 

コロナ禍もようやく終息に向かっているが、ウクライナ戦争の影響もあり、どうも物価は上昇傾向にあり、サプライチェインもまだ回復していない。どうもコロナ禍前の日常生活に戻ることはないかもしれない。


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