2023年8月15日火曜日

安全な国、日本

 




面白いデータがある。大麻、覚醒剤、ヘロインなどの薬物生涯経験率の世界的な比較である。まず生涯経験率のトップは、アメリカで42.6%、ほぼ人口の半分が薬物経験をしている。次に多いのはカナダで47.9%、フランスは45.9%、ドイツ、イタリア、英国、オーストラリアも30%を超えるのに比べて、日本は2.3%と圧倒的に低い。また過去一年経験率で言うと、やはりアメリカが19.4%と高く、他の欧米諸国も10%以上なのに対して、日本は0.14%と2桁低い数値となっている。日本が低いと言っても、1000人に1.4名が非合法の薬物を使用しているのは驚くが、アメリカでは5人に一人という数値は、もはややばい状況である。薬物依存、それに関わる犯罪は、相当数あるのは間違いない。

 

アメリカを中心として欧米のこうした薬物汚染は深刻な問題であり、薬物中毒による死者は2020年度の1年間で93331人であった。交通事故死が43000人、自殺者数が49449人(2021)、殺人件数は21500人(2021)なので、病気による死以外では死因のトップであろう。そしてベトナム戦争のアメリカ兵の戦死者は47434人だから、毎年、その2倍以上が薬物の過剰摂取でなくなり、さらに増えている。ちなみに日本の場合、薬物中毒による死者数はカウントされていないほど少なく、交通事故死数は2636人(2021)、自殺者数は21881人(2022,殺人件数は946人(2020)であった。アメリカの人口は3.3億人、日本が1.2億人で、約1/3と考えると、日本の交通事故死はアメリカの1/4、自殺者数はほぼ同じが少し多く、殺人件数に至っては1/7くらいとなる。

 

それではヨーロッパはどうかというと、薬物死亡者数は、スウェーデンが100万人あたりの死亡者数が81人、次がイギリスの76人、フィンランドの72人、ノルウエイの66名、デンマークの52名と北欧諸国の薬物汚染がひどい。ちなみにアメリカは100万人あたり283名となる。ただ自殺死亡率をみると、日本は100万人当たり19.5人、フランスは15.1人、アメリカは13.4人、英国は7.5人、イタリアは7.2人とかなり少ない。自殺が禁止されているイスラム教、キリスト教国では自殺者も少なく、宗教的な影響によると思われる。交通事故死は、人口10万人当たりの死者数(2016)でみると、アメリカはダントツに多いが、それ以外のヨーロッパ各国の死亡者数は日本と変わらない。人口10万人当たりの殺人件数は、ヨーロッパではイギリスが一番多く、それでも1.5件、デンマーク、イタリア、ドイツなどは0.8件くらい、日本はその半分の0.4件くらいである。上位には南米、アフリカ諸国が並ぶが、アジアではフィリッピンが12.4件と日本の30倍、タイが5.5件で14倍、ベトナムで4.0件、韓国でも2,0件と日本の5倍となる。日本は安全な国と言われているが、これは本当で殺人件数は世界でも最も少なく、同様に薬物汚染も小さい。

 

それでも芸能界では、覚醒剤や大麻など薬物所有によって逮捕される役者が後をたたないが、これは一種の見せしめで、欧米からすれば、考えられないことであろう。それでもアメリカの薬物汚染の深刻度を見ると、かなり厳重に取り締まり、薬物の侵入を食い止めなくてはいけない。今、ネットフリックスで「死にいたる薬」というドラマがやっていて、これは面白い。鎮痛剤「オキシコチン」による悲劇を描いた作品で、実話であることが恐ろしい。このオキシコチンという薬は、ヘロインが主成分で、常習性はあるのをわかっていたのに、製薬社のパーヂュー・ファーマ社が、常習性が少ないと大体的に売り出し、過剰摂取により数万人が亡くなった事件である。この事件の怖さは、患者の生命を預かる医師が盛んにこの薬を慢性的な疼痛患者に処方したことによる。人の命を露ほどにも思わない資本主義の化け物を描いているが。結局、連邦政府によるパヂュー社は訴訟され、6.3億ドルの賠償金を支払う判決を受けたが、この問題がその後も後をひき、過去20年間にこうした薬による死者数は50万人以上といわれるほど薬物汚染に広がっている。

 

日本政府に対して批判的な人もいると思うが、こと薬物汚染に対する政策は優れており、どうかアメリカの二の舞にならないように注意してほしい。一つは、多くの外国人の流入に伴う薬物の流入で、これは外国人に対しても強制送還も含めて厳しい罰則をすべきであり、またオピオイド系薬品など麻薬薬剤の管理の徹底であろう。必要ないのに無闇に処方したり、外部に持ち出す医師については、現行でも行政処分が行われているが、医師免許剥奪などもっと厳しい処分が必要かもしれない。さらに麻薬販売については現行法でも厳しく、ほぼほぼ懲役刑がつき、覚醒剤では一年以上の懲役刑、ヘロインでは10年以下の懲役刑と傷害致死罪並の重い犯罪となる。これなどあまり知らない人も多いので、もっとテレビやネットで普及された方が良いかもしれない。

 

欧米では、と何でもかんでも礼賛する人がいるが、最近の欧米の政策、移民問題、エネルギー問題、ウクライナ問題など全てろくでもない政策で、白人を中心として資本主義もそろそろ終焉期になっているのかもしれない。労働生産性ランキングで、日本は23位、アメリカの6割と言われているが、ヘロインを売って生産性を高める国を真似る必要はないし、1日当たりの薬価350万ドル(5億円)の血友病の治療薬を承認するFDAもどうかしている。国として一番大事なことは、安全な国で、もちろん戦争のないことは大事だが、アメリカを反面教師に、まず薬物中毒をなくすこと(ほぼできている)、殺人事件を減らすこと(ほぼ達成)、交通事故死を減らすこと(衝突被害防止ブレーキで、さらに半分以上減少する)、自殺者については世界的に見て日本の若年者(2030歳代)の自殺死亡率が高く、これを低下させれば、より完璧である。

 


 


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