2007年3月1日木曜日
ブラケット5(セルフライゲーションブラケット)
左の上のブラケットがactiveタイプの新型のクリッピーC(トミーインターナショナル)です。ばねの部分が金属ですが、比較的見た目には目立ちません。まだ使っていませんので、何とも言えませんが、ややきゃしゃで大きい感じがします。できればシングル幅のもう少し小さいものを今後出してほしいと思います。左下のブラケットはスマートクリップ(ユニテック)というもので、ブラケットの横にクリッブがついていて、ワイヤーをかちっとはめ込むタイプです。取り外しには特殊な器具を使います。かって同様なスマイルというブラケットが15年前にあり、これはプラスティックの留め金でふたをするというものでしたが、ワイヤーを押し込むのに患者さんがかなり痛がっていたことを思い出します。このブラケットもワイヤーの出し入れには少し患者さんは痛いかもしれません。今年には白い審美ブラケットにこのクリップをつけるという情報もあり、発売を期待しています。
アメリカのテンプル大学のEbertingらは、デーモンブラケットを使った症例(108)と通常のブラケットを使った症例(107)の治療期間を比較しました。デーモンでは平均24.5か月、通常のものでは30.9か月で6か月ほど早くなるようです。またイギリスのHarradineの研究によればデーモンでは19.4か月、通常のものでは23.5か月と4か月ほど早いという結果でした。ただこの種の研究は相当にバイアスがかかっている、すなわちデーモンは早いという固定観念があるため、そのままは信用できません。8年ほどエッジロックを使った感想からすれば、通常のブラケットで2年間くらいかかりますが、それより3,4か月早いくらいではと思います。治療の最終段階では前に述べたトルクやしっかり咬ませるといった非常に細かな調整を行います。これをどこまで行うかで撤去の期間はある意味決まってしまいます。なかなか100点満点にするのは難しく、それを達成しようとすれば期間がかかります。そういった点では治療期間が3,4か月早いといっても凝ればあっという間に同じになってしまいます(上の2つの研究にように先生によっても7か月も違います)。
患者にメタルのセルフライゲーションブラケットを使い、3、4か月早くなると言っても、やはり目立たない審美ブラケットを選びます。ただ審美性が同等なものであれば少しでも早いものを選ぶと思います。結紮線を使わないことは歯磨きのしやすさ、操作性などから大変いいことですが、審美性を加味したものがでないと、これまでのブラケット同様、消えていくかもしれません。また最終段階では患者さんのかみ合せに合わせて細かなワイヤー曲げが必要になります。セルフライゲーションブラケットでは少しの曲げで窓が閉まらないので、ワイヤーの曲げを多用する先生にはやや不満があるかもしれません。
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