2007年3月15日木曜日
インビザライン1
ここ数年、最も話題になっているのが、このインビザラインで、コンタクトレンズのような見えない矯正装置と騒がれています。お口の型をとり、それをアライン社というアメリカの会社に送ると、コンピューター上に模型の三次元データを取り込み、きれいな歯ならびになるまでを数十ステップにわけて、左の写真のようなそれぞれのマウスガードのようなものを作ります。歯医者に行くと、1か月分2セットのこのインビザラインを渡され使用します。だいたい2年くらいで治療が終了するというものです。透明なもので外からはほとんどわかりません。
この原理は本当に古くて、すでに60年前からポジショナーとよばれるものがありました。これは上下一体型のもので、咬み込むことで、歯を動かすものでした。材質も色々なものが開発され、日本ではダイナミックポジショナーというものや、トゥースポジショナーというものがありました。さらにエシックスという上下別々のものもあります。咬む力、あるいは材質自体の力で歯を動かすもので、主として矯正治療後の保定やあるいは後戻りの治療、仕上げなどに使われています。
アライン社はこの原理をコンピューターを使い、細かいステップに分けて歯を動かしているだけで材質自体にそれほど進歩があるわけではありません。
この装置に一番の問題点は、基本的には終日、20時間以上装着しないといけない点です。上記、トゥースポジショナーを仕上げのために2、3か月使う場合でも脱落者は割合多く、終日2年間、48セットのインビザラインを使うのはかなり大変です。ある報告では脱落率が50%とされています。また適用もかなり限られていて、抜歯ケースは今のところインビザラインだけでは治療はできません。簡単なでこぼこなどが適用と思われまし、このような症例では通常の治療では容易に短期間で治療できます。
また技工代も高く、一式確か15-20万円かかると思います。矯正専門医では脱落率の高さから、当然通常のブラケットによる治療も想定するため、費用もこの技工料を足したものになると思います。
患者が取り外しできるこういった装置は、治らない原因を患者のせいにされるため、歯科医によっては料金だけとり、治らないのはあなたが使わないからと逃げられる恐れがあります。また歯科医は基本的には型を取るだけで、あとは患者が来るたびに装置を渡すだけなので、矯正の知識が全くなくても治療ができる恐れもあります。そのためアライン社も基本的には矯正専門医を対象にしているようですが、実際には難しいでしょう。
日本人の症例はアメリカ人に比べてずっと難しいケースが多く、インビザラインも話題性の割にはそれほど普及しないと思います。
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