2007年3月3日土曜日

ブラケット6(審美ブラケット)



三浦先生が歯にブラケットを直接くっつける接着剤を開発した以降(1971)、矯正器材メーカーはこぞって新たな接着剤の研究とブラケットの開発に乗り出しました。80年代になる前には、ほとんどの金属ブラケットは接着剤でつけるものに変わっていき、バンドを巻く昔の方法は急速に廃れました。同時に、目立たない審美ブラケットが多く発表されました。小児歯科にいた当時(1981)頃にも、多くの強化プラスティック製のブラケットが発売されていましたが、どれもすぐに変色したり、壊れたり、さらにはすぐに取れたりして、半年の治療には耐えても、2年間の治療にはとても耐えられないものでした。
ようやく1987年になり、ユニテック社からセラミックでできたトランセンド(上写真)というブラケットが発売されました。接着剤の種類によってはすぐに取れたり、欠けたり、また大きさもかなり大きなものでしたが、さすがにプラスティックとは違い、硬く、一応2年間の治療には耐えることができました。ところがいざ外すとなると、これが外れません。この頃、大学に患者から電話がかかってきました。開業医でこのブラケットを使い、先日、半分を2時間かけて外したが、あまりに痛くて、どうにかならないのかという質問でした。削ってとろうにもバーを何本もだめにする有様です。その後、メーカーは切れ目をあらかじめ入れて外しやすくしたようですが、余りの悪評にしばらく信頼が薄れました。またワイヤーと溝のすべりが悪く、歯が動きにくいという欠点も有していました。
取れないような工夫など、何度か改良を加え、ようやく1996年にクリアティー(下写真)という商品を出しました。金属のスロットにしたため、ワイヤーとのすべりもよく、ようやく金属ブラケットに近いものになりました(値段は3−5倍ですが)。発売して10年になりますが、世界で最も使われているセラミックブラケットです。最近ではTPオルソという会社のInVuという製品も安い割には滑りがよく、よいセラミックブラケットと思います。

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