2011年4月22日金曜日

海外からの支援




 今回の大震災では、世界各国から大きな支援を得た。誠にありがたいことで大変感謝している。アメリカ、ドイツ、フランスのような大国だけでなく、例えば国民所得が一日当たり2ドルと言われているアフガニスタンからも震災直後に「アフガニスタンのカンダハル州のグラム・ハイダル・ハミディ市長は12日、東日本大震災の被災者に義援金5万ドル(約400万円)を送ることを表明した。
AFP通信によると、カンダハル州は反政府勢力タリバンとの内戦が最も激しい地域の一つ。それにも関わらず、これまでに日本がアフガン復興を熱心に支援してきたことへの恩返しとして、「市民を代表して地震と津波の被災者を支援したい」と述べているという。」という報道があった。さらにパプアニューギニアからも「 西太平洋の島国・パプアニューギニアでは、貧しい山あいの村落で東日本大震災への募金運動が拡大し、これまでに2000人以上から義援金約8000キナ(約26万円)が集まった。児童100人分の年間教育費に相当する額だ。同国中部のゴロカ教育大学で情報管理部長を務める原田武彦さん(38)が、ローカルのFM放送番組で被災状況を伝えたのがきっかけ。
 地元住民は数百世帯に1台しかないテレビに群がり、震災のニュースを見ており、「被災した子どもを預かりたい」「水を届けたい」との申し出が原田さんのもとに殺到した。同大日本語学科の学生らは募金活動に立ち上がり、工事用のトロッコを募金箱代わりに村々を訪問。現金収入が限られているため、ピーナツや果物のグアバを寄付する行商の女性もいた。小学校では「日本人と心の痛みを分かち合いたい」とのプラカードを掲げた児童約500人が出迎えた。」。こういった報道に接すると泣けてくる。自分たち自身の生活も困窮を極めているにも関わらず、こういった素直な善意の気持ちには感動を覚える。

 また自衛隊とともに救助、救援物質の運搬に活躍しているアメリカ軍に生の声として、在日米海兵隊基地外交政策部 次長で元大阪大学准教授のロバート・エルドリッジ氏が、自ら仙台や石巻に入った約2週間の間に接した米兵らの言葉を伝えている。パイロットで幕僚長のクリストファー・コーク大佐は、東京・横田の在日米軍司令部から被災地に飛び立つ前に言った。「自衛隊が被災者を助ける。我々はそれを支えて新たな歴史をつくる」 仙台空港の復旧にあたっていたブレアン・ハプケン少尉は、がれきの上を歩きながら話した。「こういうことをしようと思って海兵隊に入ったんです」。彼女の言葉にエルドリッジ氏は涙が出たという。同氏は仙台や石巻で2週間近く過ごした後、沖縄に戻ることになった。普天間に向けて出発する際、緊密に連携を持った空軍の責任者ドウェイン・ロット大佐に 別れを告げに寄った。大佐はこれまでの成果を踏まえ、ほほえんで言った。「私の軍歴で一番満足できる経験になるかもしれない」氏の寄稿はこう結ばれている。「同盟国日本は悲しみにくれ、支援を必要としている。それを助けるという栄誉に米国の軍人と文民があずかっている。その多くが、大佐の思いに賛同するはずだ」(朝日新聞 4月9日)

 この報告をした海兵隊のエルドリッジ氏は、現在復興構想会議議長をしている六甲学院19期の五百旗頭真氏の神戸大学時代の門下生であり、阪神大震災を経験している。五百旗頭氏の神戸の家に震災後3日目に他の学生3名とともにチンドン屋のように物資をまとい、西宮北口から歩いて慰問にきてくれたようである(伯友 58号)。こういった連中が現在、災害地で活動している。

 日本ロータリーでは、1952年から主としてアジアからの留学生に対する奨学金制度を行っている。日本独自の活動で、事業費14.5億円で年間の採用数は800人、延べで15776人の奨学生を誇る民間最大の奨学事業である。当地区においても毎年7名ほどの学生に奨学金を支給しているが、この大震災を契機に、会員からもアジアからの留学生よりは被災した日本の学生への奨学金を優先すべきだという声が上がっている。

 確かに家も仕事もすべてをなくし、経済的に大学にも通えない学生が多く発生したことは間違いない。そういった学生に奨学金を与えることは大きな励みにもなろうし、助けにもなる。十分な援助が必要であろう。ただ日本育英会、あしなが育英会や、各大学でも被災した学生への援助は十分ではないが、システムとしてはあり、今後政府からの援助も期待できる。

 韓国の元奨学生朴裕河の新聞記事を読むと、日本への世界各国からの支援は単に災害時に日本から援助をもらった、その恩返しの日本に援助するというだけではなく、日本への愛、これは日本人に対する感謝、あるいは日本にいた時に受けた親切といった人との付き合いの中で生まれた感情による。例えば、かって台湾で地震があった時も、真っ先に気になったのは、台湾にいる友人のことで、彼らを通じて台湾への愛情が生まれ、それが台湾という国への支援に繋がったと理解する。国という漠然な存在ではなく、人やこれまでの活動といった具体的なものでなければ、その国への愛とはならない。そういった点では、戦後の日本のあり方、日本人の生き方は、今回の震災を通じて決して間違ってなかったことがわかった。

 アジアの留学生どころでないという現在の状況下こそ、これまで通り奨学金制度を維持するのが真価の見せ所と考える。

* 朴裕河さんの神奈川新聞の記事を載せましたが、くわしくは以下から見てください。
http://www.rotary-yoneyama.or.jp/report/news/detail_386.html

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