2008年4月29日火曜日

アルゼンチンタンゴ




アキ・カウリスマキの新作「街のあかり」を見ました。この監督の敗者三部作?の最後の作品で、『浮き雲』『過去のない男』に続くものですが、主人公がややかっこよすぎて、個人的には前の作品の方が好きです。ただこの監督の作品は独特で微妙な笑いがあり、目が離せません。この監督は実に変わった挿入曲を選択しますが、この「街のあかり」のエンディングで流れてきたのが、Carlos Gardelの「想いのとどく日」です。

私はタンゴなどあまり聞いたことがありませんでしたが、調べてみるとこのガルデルはアルゼンチンタンゴの父として有名で、没後70年たっているにも関わらず、人気が衰えないようです。ダンス曲としてのタンゴを曲として初めて歌ったようです。そういえばこの前見たスペイン映画「 ボルベール」でも彼の曲が歌われており、スペイン語圏内では今でも歌われているのでしょう。主人公の美人ペネロペ・クルスが好演していました。

その後、急にタンゴを聞きたくなり、「我が愛しのブエノスアイレス~バレンボイム、タンゴを弾く」 という作品をアマゾンで買いました。これは大正解で非常にいいアルバムで最近はずっと聞いています。そうすると今度はこの曲に収められているピアソラの「ブエノスアイレスの冬」という曲がかっこ良く思い、ピアノも引けないのに楽器屋で譜面を買ってきて、家内に練習させています。これが結構弾けるみたいで驚いています。ピアソラはさすがに名前は知っていましたが、この曲は知りませんでした。ピアノの動画をアップしますが、ギターもかっこよいので気に入った方は検索してみてください。ちょっと日曜洋画劇場のエンディングテーマの「So in love」に似ています。

インターネットをしていると、アキ・カウリスマキからピアソラといった連想が、そのまま情報として入ることができ、興味が尽きません。

2008年4月22日火曜日

IKEA



講習会2日目は午前中でしたので、午後から神戸にできたIKEAに行ってきました。初日は3万人が押し寄せたようですが、この日は平日のためかそれほどは多くありませんでした。それでも入場制限があり、15分ほどは待たされました。

噂では聞いていましたが、本当に安くて、デザインのいいものばかりで、人気があるのもうなづけます。著名なデザイナーがデザインし、中国やベトナムで大量生産して、世界各国のIKEAで売る、これをやられたのでは、既存のインテリアショップはきびいしと思いました。広い会場で、すごい種類の商品がディスプレーされており、同等の商品の数分の一の値段で売られています。実家にナイフ、フォーク、スプーン(大)、スプーン(大)の6人用セットを買いましたが、1900円くらいで一本約80円くらいになります。デンマークのカイボイソンのものと品質、デザインは遜色なく、価格はほぼ1/10になります。百円ショップなどのものとは全く次元が異なります。

こういう店をみると複雑な想いになります。近所の古くからの家具屋も大型のディスカウント店の出現や婚礼家具の低迷により、ほとんどがつぶれました。また曲げ木家具で有名な秋田木工も倒産し、日本の誇る天童木工も経営はきびしいようです。地元に根付く家具屋が中央資本の大型店の登場によりつぶれ、またIKEAのような世界規模のさらなる大型店の出現によりこれらの店もだめになるでしょう。現に先に進出した東京の船橋界隈では多くの小さなインテリアショップがつぶれたと懇意の家具屋さんが言っていました。デザイン、品質、値段でとても太刀打ちできないようです。

盛者必衰のことば通り、いくら勢いのある商売でも次第に衰えるのはわかりますが、そのスパンが極端に短くなり、突然やってきます。カメラ屋もデジタルカメラの普及により急速に駆逐されてきていますし、理髪店も男子がパーマ屋にいくようになり、利用者は減ってきているようです。またあれだけ繁盛したパチンコ屋やマージェン屋も若者がこれらのギャンブルをしなくなり、減ってきているようですし、インターネットからのダウンロードの普及によりレコード屋もきびしいようです。

かっては家の近くに多くのお店がありました。牛乳屋、お菓子屋、肉屋、魚屋、タバコ屋、八百屋、豆腐屋、酒屋、味噌屋、本屋など、いろいろな店屋があり、その商売で何とか一家を養うことができました。インドなどではもっと多くの商売があり、体重計り、両替など、よくこれで商売できるなあと思われるものまでありました。

こういった大型店の進出は、ブルドーザーで地面をなぎ倒すように既存の小さな商売を刈り取っていきます。この傾向は地方の方が徹底しているように思われます。そしてこの大型店も、さらに規模の大きな大規模店により消滅します。最終的にはインターネットによる世界的な規模のものに押しつぶされるかもしれません。いずれにしても商売の収束化は急速に進んでいるようで、これにより多くの職は失われていることは事実で、さらに市内の中心地の空洞化が進みます。

近所に店が無くなったから、近郊の大型店に行く、これは致し方ないのですが、そのためには車がいり、家族一人に一台ずつの世界に突入しているようです。ガソリンも高騰し、一家4人の収入のうち一人分は車の費用に消えるようでは何のために働いているかわかりません。逆に東京や大阪の都市部では車の保有率が低く、日常の商品を購入する近場の商店街も残っていますが、弘前のような地方では車がなければ日常生活に困るような構造になっていて、収入の多い都市部が、交通費が少なく、逆に収入が少ない地方で車の購入、保険、ガソリン代などの出費が増える構造になっています。今回のガソリン代の高騰は地方の方がもろに影響がでる始末です。

解決は難しいとは思いますが、何らかの対策がなければ、大正期に急速に進んだ自作農から小作農への転落、大地主の出現と同じような状況が地方を中心にして進むような気がします。

2008年4月20日日曜日

デーモンシステム講習会




4月17日から大阪で星野亨先生のデーモンシステムの一日半の講習会に行ってきました。100名くらいの先生が参加されていて、この講習会の人気が伺われました。大変よくまとめられた講習会で勉強になりました。弱い力で生体にあった治療を行うデーモンシステムの概念を系統だてて説明され、ある程度理解することができました。一時このブラケットを普及させるため、治療期間の短縮をうたっていましたが、この講習会ではほとんどそういったことは論じられず、好感が持てました。いまでもデーモンシステムで治療すれば半分の治療期間で終わらせるといった歯科医院の広告がありますが、星野先生の症例でもある程度は治療期間がかかっており、きちんとした治療をすればそれほど短縮にはつながりません。またこういったことを全面に出して患者獲得を行うのはよくないと思います。

デーモンブラケットのような結紮しないタイプのブラケット(セルフライゲーション)は口腔衛生状態がよい、歯の動きがよい、弱い力で歯を動かせる、チェアータイムが短いなどの利点がある他、最新のワイヤーと組み合わせることで来院間隔が広がる(2ヶ月の1回)、痛みが少ないなどの利点があります。一方、デーモン3という半分透明なブラケットがありますが、構造上メタルでなくてはいけなく、審美性に欠くという欠点があります。前のブログを読んでもらえばわかりますが、セルフライゲーションの最大の利点、ワイヤーとブラケットの摩擦がない点で言えば、治療初期には大変重要ですが、治療中期からは必ずしもこの利点は関係なくなります。星野先生の講義の中でも、前歯を中に入れるのにセルフライゲーションブラケットであれば弱い力で引けるのではとデーモン先生に尋ねると、それでは引けないという答えだったそうです。私のところでは前歯を中に入れるにはループを使っていますが、この方法では全く摩擦は関係ないのですが、あまり弱い力では動きません。

大量の患者をスタッフに治療させる形式(アメリカ)では、この方法は治療の効率化、例えば治療回数を減らすことができる、結紮などのよるトラブルを減らせる、システム化によりスタッフに任せても良好な結果が得られるなどの利点があり、普及していくと思います。ただ日本では矯正患者も少ないこともあり、必ずしも治療の効率化を進める必要もありませんし、何よりメタルのブラケットを日本の患者に受け入れさせるのは本当に難しいと思います。25年前、Ormcoのエッジロックという同様のブラケットが姿を消した最大の理由はここでした。アメリカではメタルのブラケットへの抵抗は少ないでしょうが、日本では25年立っても状況は変わらない、あるいは舌側矯正やインビザラインなどより審美性を重視した流れになっています。今後の発展を期待したいと思います。その他にもいろいろと治療の参考になることが聞けていい講演会でした。一部は是非とも実践したいと思います。

講習会のついでに、京都国立博物館で行われていた河鍋暁斎回顧展を見てきました。肉筆画を中心とした初めての大規模の展覧会で、河鍋暁斎の画業をあますことなく伝えています。このひとの驚嘆すべきところは、20cmくらいの小品も20mの大作も全く同じような精密さで描ける点で、とくに小品の多くは驚くべきもので、着物の柄、格子の柄などは0.5m間隔の線が細かく描かれています。今の画家ではとてもできない技術で、わずかに陶器の色付け士になせる技だと思いました。あらゆる画法に精通しており、その発想も独創的ですが、明治期以降の日本人にはなかなか理解しにくいようです。当時のひとは、作品を楽しむというより、床の間に飾るのに力点が置かれていたため、河鍋暁斎の絵はあまりに個性が強すぎると思います。一方、画帳というのはこっそり眺めるもので、細部にこだわる必要もあったのでしょう。ただ絵があまりに小さく、後で買ったカタログで初めて確認できたものも多く、会場は比較的空いていたのになかなか行列が進みませんでした。とくに14歳で亡くなった少女を供養して制作した「地獄極楽めぐり図」は傑作で、これを見るだけでもこの展覧会の価値はあると思います。

2008年4月11日金曜日

日本最高のゴールキーパ


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前回、史上最高のGKとしてヤシンとバンクスを挙げたが、それでは日本最高のGKというと誰だろうか。
僕たちの世代にとっての、最高のGKはメキシコオリンピックで活躍した横山謙三であろう。安定したプレーで長年に渡り日本サッカー界の守護神としてリードした。1970年代のころ、サッカーの競技解説書のGKの部分の模範プレーの写真はほとんど横山選手だったので、なつかしい。サッカー部の監督といえども、GKの練習法については全く見当がつかなかったのであろう。先輩、後輩とこんな本を読みながら練習した。ただ今から見ると、横山選手といえどもアマチュアのわくの中という評価では最高というべきか。
その後、日本もワールドカップ出るようになると、川口能活と楢崎正剛の二人のGKの時代がきた。動の川口と静の楢崎として、川口はフランス、ドイツの大会に、楢崎は日韓の大会に出場した。

川口選手の公称身長は180cm、楢崎選手は187cmだが、一般的に2,3cmはさばを読むため、(私も選手登録では、実際は174cmなのに
176cmとしていた)、それぞれ177cm、184cmくらいであろう。ヤシンとバンクスの身長は184cmであることから、身長的には楢崎選手がGKに向いている。そのためハイボールの処理には川口選手が不利であり、ドイツワールドカップの対オーストラリア戦ではその欠点が露呈した。また先のワールドカップの対バーレン戦でも決定的な失敗を犯した。このあたりが監督として一番不安な点である。最近のFWには身長190cmを超える選手もいて、身長差が15cmあると、いくら手が使えるからといって、ゴール前の競り合いはきびしい。つい手先だけの弱いパンチングになってしまう。ハイボールへの弱点は相手側からすれば攻めやすく、チームも心理的に引いてしまう。高いボールに強いというほど、チームに安心感を与えるものはない。
楢崎選手はどちらかというと古典的なGKでゴールエリアから積極的にでるタイプではないし、超人的なセービングをすることは少ない。あれはどうしょうもないといった失点である。一方、川口選手は当たるときは超人的なプレーをするし、ゴールエリアの外への自由にでていく(これがたまに不安にもさせるが)。現代サッカーではGKも11番目のフィールドプレーヤーと扱われ、足技も必要である。
アジアでは韓国、中国ともGKにはめぐまれず、サウジなど中東にいいGKがいる。日本においても、川口、楢崎というGKもいるが、いまだ世界的に評価される基準ではない。それ故、結論としてはいまだ日本最高のGKは残念だがいない。

この一番の問題点は、日本のグランドコンディションで小学校から高校まで土のグランドで練習することがほとんどだ。GKの練習は絶対に芝生で行われなくてはいけない。固いグランドでセービングするほど怖いことはない。砂場などで練習するのだが、よほどうまくセービングしないと固いグランドではけがをする。私もしょっちゅう肘を強くうち、水がたまった。今はしらないが、昔は肘にパットなどを入れて練習した。こんなことは芝生で練習すれば必要ない。またGKというのは特殊なポジションで、その指導はGKをしたひとでなければできない。代表クラスではGKコーチもいるが、小中学校高校などでは教えるひとがいない。少なくとも日本サッカー協会などが巡回指導などをするべきで、まちがった指導で、なおかつ固いグランドではけがが多発する恐れがある。中高生のGKは少なくとも、一度は4,5日でもいいから、芝生のグランドで専門のコーチから基本を学ぶ必要があろう。

2008年4月6日日曜日

歯科用カメラ




歯科用カメラは、矯正歯科では必需品で、年間3000-4000カットは撮影します。開業以来、ずっと銀塩カメラでポジフィルムを撮影してきましたが、さすがにもうだめです。コダックなど大手の写真器材メーカが銀塩カメラから撤退し、唯一残っているフジフィルムもほそぼそと生産しているだけです。以前であれば現像に出して中1日くらいであがっていましたが、今では受注も少ないせいか、一週間もかかります。
もともとカメラは好きで、学生のころはミノルタCLEという隠れた名機で撮影していました。出来てみないとわからない楽しさや、現物として記録が残る点が好きでした。残念です。

 ただこれだけ待って購入しただけあり、本当に安く、また性能も良くなりました。25年前大学にいたとき使っていたのはミノルタのもので確か300万画素くらいでしたし、ニコンのD1は100万円近くしたと思います。色々と情報を集めましたが。東京の金子一芳先生の開発したIHSのリングストロボを使うことにしました。R&WというタイプのものでLEDランプがついています。レンズはこれもお勧めのシグマ70mmマクロにしました。またカメラ本体はニコンのD80か、最近発売されたD60のどちらかに迷いましたが、プリズムファインダーを用いたD80の方が圧倒的にファインダーが明るいことと、値段の差もあまりなく、D80にしました。。

 使ってみると、こりゃ本当に便利です。ピントがばかみたいに合わせやすいし、LEDランプのおかげでミラー像もくっきりします。すぐにモニターで確認できるため再撮影の頻度も減りました。またフィルム、現像代の節約にもなります。口腔内撮影は、シャッター速度200、絞りF20のマニュアルで撮るように推奨されていましたが、顔面写真はメーカに聞くと、カメラ本体のストロボを使うように言われました。いちいちリングストロボを外すのは面倒と思っていましたが、撮影距離最大にして、絞りF5のマニュアル撮影でだいじょぶです。実は口腔内写真より顔面写真、とくに側貌のピント合わせが難しく、目の衰えに伴い困っていました。正面、側方とも目にピントがいかなくてはいけず、側貌は難しかったのですが、オートフォーカスにすると大変性能がよく完璧にピントが合います。重さも案外軽く、これまで使っていた京セラ(ヤシカ)のデンタルアイIIより軽いくらいです。

 一緒の購入したMacBookとTimeCapsuleにデーターを入れ、活用する予定です。患者さんの名前とカルテ番号を一枚目に写し、付属のCaptureNXにデーターを転送して、患者ごとのフォルダーに入れればOKです。2GのSDカードにRaw+Jpegで約130枚のデーターが入りますが、15分くらいでフォルダー分けまで処理できます。ただデーターの保管は、今後の課題です。