2020年4月5日日曜日

人間の品性 安物買いの銭失い

説明を追加


ニコンF4でこんな写真が撮れました(カラーで撮影したのに)



 自分でも呆れるくらい、品性の低い男だと思っている。歯科医の家に育ち、これまで人生であまり金に困ったことはないが、人間の品性が低いせいか、どうも安売りに弱い。小学五年生の頃、三和商店街の近くにあったみどり電気で、展示品に限り全品半額という企画があった。AMだけでなくFM、短波も聞けるソニーのラジオが欲しく、それまで貯めたこづかい全額を持って、電気屋に走った。半額で確か6000円くらいであったが、500円くらい足らず、店員に30分ほど泣きついて有り金全部で購入した記憶がある。安く買ったというのが一番嬉しかった。

 大学に入り、スキーをやろうと、仙台のスポーツ店を回った。何と80%引きのスキー靴がある。カベールというメーカーで最上級者向けのものが8000円くらいで売っていた。全傾がきつくてお店の人にも初心者には向いていませんといわれたにも関わらず、安さに負けて買ってしまった。慣れるのに相当苦労した。

 最近でこそ、安売りもそれほど珍しいものではなくなったが、昔はセール期間以外、安売りすることは少なく、三宮の地下街でも年に2回のセールが行われ、全製品が安くなった。そのためお客さんは前日までに試着し、セール当日になると開店と同時に購入するパターンであった。セールの期間は人でごった返すのが毎年のことであった。

 最近では、ヤフーオークションが安売りの場となっており、ここでの購入が多い。ある時、憧れのニコンのF450mmレンズ付きで1万円くらいで売っていたので、即購入した。フィルムカメラなので、すぐに動作確認はできず、36枚撮りポジフィルムで撮影し、現像所に送ったところ、半分以上の露出が狂っていた。露出計に問題あるようで、アイフォンに簡易露出計アプリを入れ、それで露出を測り、マニュアルで撮影していたが面倒なので使っていない。またイタリアのカンタレリというメーカーのスーツが80%引きで出ていたので、これも購入した。スーツというのは通販やオークションで購入するのは最も向いていないもので、サイズ合わせが難しい。それでも同じメーカーのスーツ、ジャケットを持っていたので、大丈夫と思い、購入した。届いたスーツを着ると、丈が相当長く、結局修繕費に相当費用がかかった。こうした安売りに負けて購入し、失敗することが後を絶たない。これはどうも人間の品性に問題があるように思える。

 大阪人の変な癖に、知人に安く買ったことを自慢する癖がある。大阪以外でこんなことをすると、それこそバカにされるが、大阪ではすごいねえと逆に褒められ、羨ましがられる。この背景には、大阪の商売人根性があり、商売の基本は安く仕入れて、高く売ることであり、安く買うことができる才覚があるということになる。昔は安く買うには、店員と交渉することであり、交渉テクニックで安く買うことができる。昔、インドのニューデリーの中心街コンノートプレースで、キャッツアイを安く購入するために30分くらい粘り、最後は日本の平凡パンチをおまけにして半額くらいの値段で買った。帰国後、ネックレスにしようと宝石店に持っていくと、これは人工宝石であると言われ、安く買った値段よりさらに安いものであった。インド商人の方が一枚上だった。物を買った以上にこうした記憶が後まで残る。

2020年4月2日木曜日

弘前レンガ倉庫美術館オープン





 今年の春にオープンする弘前れんが倉庫美術館、館長に三上雅通氏が決まった。三上さんとは弘前ロータリークラブで少し面識があるが、頭の回転が早く、本職の弁護士でも母校の慶應義塾大学の法科大学院で教授をしていたほどの学識を持つだけでなく、こと映画に関する知識は半端でなく、ほとんどオタクと呼べるほどすごい。さらに弘前で行なった奈良智美さんの3回の展覧会でも主要なメンバーとして活躍し、成功に導いた。そうした意味では弘前の知識人の中でも最も新しい美術館の館長にふさわしい人物といえよう。もっと早く内定して欲しかったという不満はあるものの、本当にいい人が館長になってよかった。

 三上さんが中心になって活動しているNPO法人Harappaの活動を見ていると、新美術館の活動がおおよそわかる。ズバリ弘前市民にためにアートを切り口にいろんな活動をする拠点にするというものであろう。弘前市は観光拠点に美術館を考えているが、もちろんそうした要素は重要であるが、さらに弘前市が全国的にもアートの街として有名になり、そこに住む住民も自分の街をアートの街として誇れるようになってほしい。美術館の周囲に古民家や古い家をリノベーションした喫茶店やレストランがあってもいいし、古い映画館がリバイバルしてもいいだろうし、音楽祭や映画祭もいいなあ。また若者が作った陶器や家具を売る店もあってもいいだろうし、自分のデザインした服を売ってもいいだろう。

 2ヶ月ほど前、土手町を歩いていると、中年の外国人女性が地図を片手に困っていた。近くのメガネ屋に入ってその店主に聞いているようだが、英語がわからなく無駄だったようだ。そのまま行き過ぎようと思ったが、途中で引き返し、その女性に何か探しているのか聞くと、英語で書かれた弘前の小物、インテリアショップのマップを見せてくれた。イタリアから来たようだが、日本の小物が可愛いく、弘前でもいろんな店を探しているということだった。探している店は代官町にある店だったが、その日は定休日で、違う店を教えて別れた。わざわざ海外から来て弘前の店を探すのかと思ったが、逆のこと、私がイタリアのミラノに行けば同じように地図片手にミラノの骨董店に行っているかもしれない。

 こうした街を探索するのは楽しいことであり、さらに一軒一軒の店が全国にもここしかない商品がある店であれば、それは個性があり、面白い。これも一種のアートであろう。大きなシッピングモールもいいのだが、こうした個性的な店が集まった街はもっと面白い。

 以前のブログで是非、美術館では野外シネマ上映をしてほしいと述べたが、館長が三上さんであれば、より可能性は高くなった。ただ野外シネマの問題点は近隣の住民に反対される可能性がある。多くの人が集まれば、近くの住む人からすれば騒音になり、迷惑になろう。おしゃれな美術館であれば、“ロシュフォールの恋人たち”や“シェルブールの雨傘”などのフランス映画がいいなあと思っていたが、ふとここは、成瀬巳喜男の“石中先生行状記”はどうだろうか。撮影は地元弘前で行われており、1950年当時の弘前の街を映し出している。美術館近所に住む住民にも懐かしい映画、風景であろう。近くに住んでいる人々が楽しい野外シネマという点ではこうした地元の作品、例えば美空ひばりの“リンゴ園の少女”や“八甲田山”もいいかもしれない。

PS:もうすぐ見られなくなると思うが、“石中先生行状記”がyoutubeで挙げられている。昭和25年当時の弘前の姿が出ていて面白い。杉葉子さんという女優、今風でスタイルが良い。三船敏郎さんもハンサム。藤原釜足さんは親父の旧友で、いい味を出している。昔の土手町界隈はわかるが、他の場所はあまりわからない。第二話の芝居小屋は弘前のものだろうか。教えて欲しい。

https://www.youtube.com/watch?v=1EfbRTMPD_M

2020年3月31日火曜日

新型コロナウイルス と歯科医院 2


 メリーランド大学歯学部の齋藤花重先生の緊急レポートの第二弾が出ていたので報告する。https://www.whitecross.co.jp/articles/view/1592

 アメリカでは現時点のような非常事態下、エッセンシャル(生活必需)に当たらないビジネスは閉鎖するようと勧告されている。そして歯科医院でも「緊急性のある治療」以外はエッセンシャルでないと位置づけられ、緊急性のある急患がなければ休診することになる。こうしたエッセンシャルでない施設として、映画館、劇場、ナイトクラブ、コンサートホール、博物館、フットネスセンター、ジム、美容院、床屋、スパなどが指定され、場合によっては公園、アパレルショップも指定される。ただ不思議なことに、ペットショップ、酒屋、ランドリー、クリーニングはエッセンシャルに指定されている。

 齋藤先生は、メリーランド大学歯学部病院の急患対応を紹介している。朝8時に、担当スタッフはミーティングし、まず電話にてスクリーニングをして、来院した患者を建物エントランスで一般歯科医が再度、問診をして緊急性があるか問診をする。そして患者をみる場合も各診療用個室は使用後消毒し、最低でも90分以上、なるべく3時間の間隔を開けてから使用する。コロナウイルス3時間くらい空中に漂うからである。そして隣同士の個室は使わない、事前に器具をユニットテーブルやその他の台に置かないことになっているので、準備する時間もかかる。さらにエアゾールを防ぐためにタービンの使用は原則禁止となっており、バキュームによる吸引すら必要な時のみに限られている。結局、著者が診たのは4名で、それもインプラント手術に伴う抜糸だけであった。ごく簡単な処置である。

 レポートにはN-95マスクのことが書かれているが、もちろんそれ以外にもゴーグル、シールド、ガウン、グローブなどフル装備で治療したと思われ、原則的にはこれらは患者ごとに交換である。さすがアメリカの大学は違うと感心したが、よく考えればこれらの費用はタダではなく、後で莫大な請求されそうである。処置時間以外に3時間空けるのであれば、1日に歯科用チェアー、一台で二名しか見られないことを意味する。うちのような歯科医院では、完全に分離した個室となっていないので、1日に二名しか見られないことになるが、ただ窓を全開すれば換気は30分くらいで大丈夫だろう。前回述べた武漢大学歯学部病院の場合は、タービンは使っているようなので、アメリカほど厳格ではないが、例の白ずくめの防護服で交換なしで治療しているのかもしれない.

 アメリカ歯科医師会ではHP上に、この緊急性の高い処置の具体例を挙げているが、矯正歯科の分野ではワイヤーが刺ったり、矯正装置により潰瘍ができた場合の処置がある。他は歯の痛みに関するものが緊急性のあるものとしている。ただ処置はできるだけ最低限の処置をするようにとなているので、痛みについては鎮痛剤か、開放あるいは抜歯、義歯の疼痛は義歯を外して様子見るくらいか。これまでの休日診療の治療内容から見れば、本当の緊急性のある処置は少なく、おそらく弘前市、20万人程度の町でも二軒くらいの歯科医院で十分に対応できる。マスクやガウンのことを考えると固定した診療所が望ましい。あるいは武漢大学病院のように中心病院のみの受診が良いかもしれない。
https://www.ada.org/~/media/ADA/Advocacy/Files/200324_cdc_director_cov19_guidance_nosig


PS: 喘息治療薬のシクレソニド(オルベスコ)が初期から中期の新型コロナウイルスに効くという報告が3/9に神奈川県足柄上病院からあり、その後、日本感染症学会はその効果検証のための投与観察研究参加を提唱した。その結果が、少しずつ出てきた。3/30の報告では、大阪急性期総合医療センターの報告が、旭労災病院でもファビピラビル(アビガン)と併用した報告が出た。他にもファビピラビルによる2例報告が出ており、早い段階の治療法としてオルベスコとアビガンの効果が少しずつ出てきた。アビガンには催奇性があるが、催奇性に関係ない患者では、他には大きな副作用も少ない。インフルエンザ薬、タミフルのような使い方ができれば、大きな福音になるかもしれない。

2020年3月26日木曜日

新型コロナウイルス と歯科医院

この写真のようなサージカルマスクではダメであろうし、帽子、チェアー、ライトのカバーも必要

 青森県でも6名の新型コロナウイルス感染者が発生し、深刻な状態となっている。当院でも、標準予防策(スタンダードプレコーション)に沿って治療を行ない、患者ごとの手袋の交換はさらに徹底して、途中でカルテ書きなどをする場合は一度外し、アルコール消毒をして再び新しい手袋をするようにしている。また歯科用チェアーやライトなども患者ごとにアルコールあるいは次亜塩素酸で拭くようにし、入口の外、受付、便所、歯磨きコーナには手指用のアルコールを設置して患者に使うように指示している。また時間があれば、入口や便所の取手、待合室のソファーのアルコールによる清掃をしている。さらに注文中の非接触式体温計が届けば患者の体温測定をするかもしれない。また患者同士の接触をできるだけ減らすことと、周辺機器の清掃に時間がかかるために、予約時間を長く取り、間隔を開けるようにしている。

 ただこうした標準予防策で、今回の新型ウイルスに対処できるかといえば、誠に心持たない。歯科診療は直接、至近距離で患者さんと接するため、非常に感染リスクが高い。唾液中には多くのウイルスが存在し、歯科治療、特にタービン、あるいは超音波スケーラーによるエアーゾルが発生し、ウイルスは周囲に拡散する。それを吸い込むことにより歯科医あるいは歯科衛生士の感染リスクは非常に高まる。こうしたこともあり、感染のひどい中国やイタリアでは歯科医院はどうしているのか非常に気になった。日本歯科医師会や青森県歯科医師会からは、こうした場合の対処法に関しては一切の情報はない。少しずつ出てきた中国の科学者の論文を調べていると、中国の武漢市の歯科医の論文が見つかった。

 歯科の基礎科学では有名な“Journal of Dental Research”2020.3.12の論文で、”Coronavirus Disease 2019(COVID-19): Emerging and future challenges for dental and oral medicine”という論文で、著者は武漢大学歯学部のL.Meng, F.Hue, Z. Bianの三名である。武漢といえば中国で最初に感染者が出て、史上稀な1000万人都市の完全閉鎖を行なったところである。
ひどい状態を体験したドクターの論文だけに、多くの示唆に富んでいる。まず著者は、今回の新型ウイルスはこれまでの標準予防策では対処できないとしている。より厳重な予防策、例えば、これまで以上の頻回な手洗い、マスク、手袋、ガウン、メガネあるいはシールドの着用を必要とし、エアーゾールによる空気中の感染を防ぐためにN-95マスクの着用が全ての治療で必要としている。さらに重篤あるいは緊急性の高い患者のみ、指定病院でみることになっており、武漢大学歯学部はその指定病院になっており、新患には住所、連絡先、行動履歴(旅行の有無など)を聞き取り、さらに全員に体温測定をする。論文には書かれていないが、緊急性の低いと判断された患者は追い返すのだろう。さらに歯科用レントゲン写真は唾液接触の少ないパントモあるいはCT撮影を勧めている。また歯髄処置を必要とする患者は、院内感染の恐れから、治療の最後にして、隔離された部屋、できれば陰圧環境下での治療を勧めている。他にも細かいことが書かれているが、詳細は論文を見て欲しい。

 武漢の一般歯科はどうしているかは、この論文ではわからなかったが、おそらくは一般歯科ではこうしたより厳しい感染予防対策は取れないので一時的に閉院し、緊急患者のみ武漢大学付属病院などの大きな病院で対応したのであろう。もちろん矯正治療など全く緊急性はないので、武漢市の閉鎖時の矯正治療はストップしたと推定される。さらに一般歯科医でも義歯の製作、調整、小さなう蝕、補綴物の再製作などすぐに治療が必要なものが意外に多く、すべての歯科医院は休診状態だったろう。もちろん一般歯科でも、これまでの休日における急患対応で何とかできるかもしれないが、実際は上記のようなより厳しい感染予防対策、例えば患者ごとのガウン交換など一般歯科では準備できないので、口腔外科のある大学病院、県立病院、市立病院、大きな民間病院が受け皿とならざるを得ない。ただ調べる限りにおいては、これまで都市閉鎖で歯科医療をどうするかという危機管理は日本にはない。

 アメリカではすでに、裕福な医者は医院を閉鎖して別荘に逃げるという事態まであるようだ。流石に日本ではこうしたことはないと思う。それでも患者からの感染でいえば、歯科医院は多くの感染患者に接する内科に匹敵するリスクがある。都市閉鎖という恐ろしい事態は絶対になって欲しくはないが、そうした場合の歯科医療の指針について、少なくとも日本歯科医師会でもイタリアや中国、さらにアメリカの状況を調査して、すぐに指示が出るよう準備して欲しい。緊急患者の受け入れ、例えば、弘前市では弘前大学医学部附属病院歯科口腔外科、五所川原ではつがる総合病院歯科口腔外科、青森市では青森県立病院歯科口腔外科が、中国の武漢大学病院のような役割を担うが、人員的に厳しい機関もあり、その際に歯科医師会からの歯科医の派遣も必要となる。こうした取り決めは、無駄かもしれないが早急に地区歯科医師会と病院科長、病院責任者と話し合うべきであろう。ニューヨーク歯科医師会では3/25の緊急声明として、ニューヨーク市の歯科医院は、少なくとも3週間は緊急の歯科疾患以外は受け付けないようにアナウンスした。ただ感染予防処置の煩雑さ、歯科医、従業員の感染リスクを考えれば、こうした指示にも関わらず休診にする歯科医院も多いと思われる。https://www.nysdental.org

 ついでに言うと医師休業補償では、先生自身が新型ウイルスに罹り、休業した場合は、その期間の休業補償は出るが、従業員あるいは患者の中から感染者が出て休業する場合の保障はなく、逆に従業員については休業手当を払わなくてはいけない(平均賃金の60%以上)。それに準じれば都市閉鎖期間の歯科医院の休業保障はないと考えてよい。

PS:フェイスブックで知人のドクターから、アメリカの歯科事情を伝えるメリーランド大学の斎藤先生のレポートを教えてもらった。緊急性のない治療はしない方針や具体的な患者対応についての情報が載っているので参考になる。感染者数423名のメリーランド州でもこういうことになっている(メリーランド州577万人)。
https://www.whitecross.co.jp/articles/view/1585?fbclid=IwAR0uU1LbE7ppyQsYyi5NeRMq2sAxYaWxrs4Lkyiw8g6BtFCYUolj4oUmeSI

2020年3月15日日曜日

買って損しない衣料 パタゴニアR2

2020年のR2     スリムな昨年よりは2012年のスタイルになっている

2012年のR2

2012年、2018年、2020年のR2  サイドのパネルが広くなっている

襟が厚くなってる


 パタゴニアのR2をまた買ってしまった。自分用で3着目、家内に1着、お袋に2着、伯母さんに1着買ったので、都合7着のR2を買ったことになる。R3も1着、R1も1着あるが、やはりR2が最も使いやすい。秋から冬、春の半年以上使用可能で、汎用性は高い。10月から12月頃までは下着の上にR2を羽織り、その上にゴアテックスなどのジャケットを着る。冬になるとその上にダウンジャケットを、そして春になると薄いジャケットか、R2のみで過ごす。かなり長い期間の使用となる。今回買ったのも、最初2012年に買ったR2がややくたびれてきて、もう一枚のR2と使い回すのがきびしくなったからである。ほぼ年間150日をR2で過ごすことになり、価格は高いが十分に元は取れていると思う。

 うちの母親にも数年前にR2をプレゼントに買ったが気に入り、その後、もう一枚買い、この2枚で冬の間過ごしている。ほとんどセーターを着ていないという。私も考えれば、ここ数年、羊毛のセーターはほとんど着ておらず、R2がセーターがわりになっている。たまにセーターを着ると、体が締め付けられるようで、また重さが気になる。同じことは高齢の母親も言っており、R2の軽さと動きやすさが病みつきとなる。

 パタゴニアの商品でもRシリーズは最も基本的なアイテムで、とりわけR2R1の評価が高い。値段ははっきり言って相当高いがそれでも使用頻度を考えれば安いと思う。定価で26200円、今回はパタゴニアのアウトレットで買ったが16940円、これは衣料として半端なく高い。それでもこれだけは自信を持ってお勧めできる。特に年配の方にとっては、動きやすく、暖かく、そして消臭性もあり、洗濯をあまりしなくても良い。生活そのものがラクになる。

 このR2もほぼ毎年変更しており、2012年からほぼ1、2年おきに買っているが、若者に要望に合わせて年々、サイズがスリムになってきて、私のような小太りな体型のおっさんにはきつくなってきた。ところがようやく2020年になって、少しゆったりしたデザインとなった。いつもMサイズを買うのだが、今回はゆったり着たかったのでLサイズにしたが、今年のデザインならMサイズで良かったのかもしれない。脇の下のパネル(R1の生地)はこれまで最大の大きさとなり、動きやすくなった。全体的にフリースが厚くなり、首回りはより厚くなった、首からの冷気をシャットアウトして暖かい。最高に素晴らしい仕上げになっている。R2は総じて吸汗性、速乾性は高く、この下にはパタゴニアのキャプリーンサーマル、ミッドウェイトを着ているが、ただ気をつけたいのはユニクロのヒートテックはやめたほうが良い。ヒートテックは暖かいのだが、汗をかくとなかなか乾かずにかえって寒くなるからだ。

 衣料なんてお洒落で、それほど生活には支障の出るものではないと思いがちだが、このR2を着てみて初めて衣料の必要性を知った。外界から身を守る、雪、風、雨、寒さから毛のない人間が身を守るためには衣料を必要とした。特に寒さに対して、衣料がなければ人間は死ぬ。津軽の女性は麻の着物に綿の刺し子をして寒さをしのいだ。彼女らにとって綿の暖かさは憧れであった。その後の羊毛は驚きであったろう。そうした衣料の機能的な働きを再認識させるのがR2であった。

 特に年配の方にとっては、重くて動きにくい衣料は苦痛となる。その点、R2は最高の性能を持ち、軽く、暖かく、前ジッパーで着脱しやすく、冬場は完全にセーターに代品となるため、父親や母親のプレゼントには最適であると思われる。2020年度のモデルはこれまでのモデルチェンジに比べても格段によくなった。以前、屋内用のナイロン素材の薄手のダウンを買って母親に送ったが、どうもナイロンのカサカサ感と衣摺れが嫌で着なかった。それに対してR2のフリースはビロードのような毛並みで、またこれまで8年間使っているが、毛並みの変化も少ない。唯一の欠点は、白人に合わせて袖が長い点であるが、これについては、袖口がへたらないので、それほど気にならず、むしろ寒い時は袖を伸ばして、手袋がわりにできる。

2020年3月14日土曜日

矯正治療 早期治療


 先日、7歳頃から反対咬合の治療のために来院し、14歳頃に中断された患者さんが数年振りに来られました。すでに21歳になり、顎が明らかに大きい骨格性反対咬合を呈しています。手術を併用した治療が必要な症例です。カルテを見ると、初診当時から上下の顎のズレが大きく、将来的には外科的矯正の適用になる可能性が高いと親には説明しました。その後、少しでもよくしてほしいと熱望されたため、上顎骨前方牽引装置による治療を2年間ほどして切端咬合くらいになりましたが、再び少しずつ下顎の成長が大きくなりました。やはり成長が終了してから手術を併用した治療法が良いと説明しましたが、来院されなくなりました。ある意味、7歳の初回検査時の診断が当たったのですが、長年、矯正治療をしていますと、何となく、将来顎が伸びる症例がわかります。もちろん、両親の遺伝もありますが、子供にしては下顔面の長い、大人びた顔をしているなどの特徴があります。

 下顎の小さな上顎前突の場合では、下顎ががっちりした症例では機能的矯正装置などの早期治療で下顎がかなり大きくなるケースを多く経験しますが、逆に下顎がきゃしゃな症例ではあまり効果がないことがあります。前者の場合は、本格的な矯正治療しなくてよい場合がありますが、後者の場合は小臼歯抜歯+マルチブラケット装置による本格的な治療を必要とします。

 反対咬合であれ、上顎前突であれ、成長期の早期治療で、良好な経過を示す場合がある一方、あまり効果がない場合もあります。経験上、早期治療のみで治るのは20-30%くらいで、さらにこのうち全くでこぼこもない理想的なかみ合わせは5%くらいで、その他の症例では通常マルチブラケット装置による二期治療を必要とします。矯正歯科医院も経営のことを考えると、一人の患者に期間をかけるわけにもいきません。いかに効率的に運営するかを求められために、アメリカの矯正歯科医の多くは、あまり早期治療をしません。それに対して日本では、患者さんの親の要望もあるため、多くの矯正歯科医院では早期治療をしますが、基本的には二期治療におけるマルチブラケット装置の治療を重視します。当院もそうした方針です。

 一方、一般歯科医では、早期治療をかなり重視する歯科医院が増えています。早い段階で治療すれば、歯を抜く必要もないし、本格的な治療が必要なくなるといううたい文句です。中には5,6歳から上アゴを広げるような治療をします。ただこれらの歯科医の多くは、床矯正であれば、1個6万円と矯正装置ごとに値段を取っているために、ある程度、治れば患者は途中で来なくなりことが多いと思います。そのため先生は長期の患者の経過を知らず、マルチブラケット装置による治療そのものを考えていない場合もあります。永久歯列完成時に治療を要求すると、ここまでしか治らない、後は専門医で治してくださいと言われるかもしれません。矯正専門医で治療することになっても、全く新患扱いとなり、これまでの装置代が全く無駄になります。しかしながら最初の説明では早期治療の長所だけを述べ、あまり永久歯が完成してからの仕上げの治療についての説明はないようですので、こうした場合の対応も十分に聞いておいて欲しいと思います。一般歯科の先生は、矯正歯科医が目指す理想的な咬合を目指しておらず、ある程度(非常に範囲が広い)の、でこぼこ、出っ歯があっても、あるいは上下の歯が前に出ていて口が閉じにくくても、問題ないと考えています。そうでなければ、マルチブラケット装置なしの矯正治療は絶対に患者に提示できないはずです。綺麗な歯並びを目指しているなら、最初から矯正専門医に行くべきですし、多少でこぼこがあっても安く治療したいと考えるなら装置代ごとの一般歯科での治療がいいかもしれません。

 私自身、一般歯科での矯正治療はかまわないと思っています。ただし費用が安いという前提です。早期治療で治ると言われて高額な治療費を払ったにも関わらず、これ以上の治療はできませんでは、納得いきませんが、料金が安ければ文句は少なくなります。世界中の矯正歯科医のメインの治療法はマルチブラケット装置であり、早期治療でマルチブラケット装置による治療が必要なくなるなら、皆そうした治療をしています。現在、早期治療と言われる床拡大装置は1970年代頃までヨーロッパで行われた治療法で、ドイツや北欧諸国では矯正治療も保険が適用されたため、費用の安い床矯正治療がメインで行われていました。ある程度、こうした治療法も効果があったのかもしれませんが、今では世界中のほとんどの国でマルチブラケット法が主たる治療となり、本家のヨーロッパではそれと併用して床拡大装置や機能的矯正装置が使われているのが現状です。そうした意味では“早期治療でマルチブラケット装置による本格的な治療をしなくてよい”という考えは、学問的なエビデンスもありませんし、世界中のほとんど矯正専門家は臨床的経験から否定するでしょう。何も古いものが悪いということではありませんが、ヨーロッパの多くの矯正歯科医が床矯正装置を使わなくなったのは、適用が狭く、効果が不確実なためと思われます。逆にいえばこの装置でもうまくいく症例もあり、安い費用ならやってみる価値があるかもしれません。

2020年3月11日水曜日

貨客船 はくおう を病院船に

医療モジュール

貨客船 はくおう


 横浜港に寄港したダイヤモンドプリンセ号の新型ウィルス対応については、船内で多くの感染者が出たことから疑問の声が多い。同様の事例であるアメリカのグランドプリンセス号では全乗客の下船を予定しており、その乗客は軍の施設で二週間隔離することになった。アメリカでは2000人以上の乗客を収容する軍の施設があるということだが、日本ではそうした施設があるのだろうか。

 今回のダイヤモンドプリンセスの対応では、自衛隊のチャーター船である“はくおう”が活躍した。“はくおう”は当初、武漢からのチャーター機乗客の隔離に使われることになっていたが、最終的には千葉のホテルでの隔離に決まった。そこで横浜港に回航、ここを拠点に自衛隊員がダイヤモンドプリンセスの船内の消毒、乗客の生活支援を行った。隊員は、万一の感染を恐れ、はくおうで生活した。ただ“はくおう”は17000トンの大型客船であるが、隊員相互の感染を防ぐために、客室を個室として活用しなくてはいけないために、80名の隊員しか宿泊できなかった。“はくおう”は、熊本震災では避難所生活の人への宿泊、食事、風呂などに活用され、最大500人の宿泊は可能だが、感染隔離となるとこうした客船も活用は難しい。

 “はくおう”は全長200m29.4ノットを誇る大型客船で、トラック122台、乗用車80台、515名の乗客を乗せることができる。陸上自衛隊の普通科連隊の大隊が定員805名、特科連隊の大隊が609名なので、ほぼ特科連隊の大隊規模の部隊が運べる。2014年の北海道演習では戦車、大砲、重機など130台が名古屋から送られたというから、その輸送力が半端でない。2014年から自衛隊のチャーター船として活躍していたが、主だったものでは、2016年の熊本地震では自衛隊員、車両、物資の運送に使われ、また一泊二日のホテルシップとして2600人の熊本市民が宿泊、食事、入浴のサービスを受けた。また2018年の中国地方の集中豪雨でも支援物質の運送や入浴サービス、ミニコンサートなどを行った。2018年の北海道胆振東部地震でも入浴支援などで活躍した。まだ海外への派遣はなく、また航続距離など不明であるが、東アジアの国くらいは高速でいけると思う。自衛隊は民間船のチャーターは双胴船の“ナンチャンワールド”とこの“はくおう”があるが、ここ六年の運行実績からすれば“はくおう”に方が使いやすいのだろう。海上自衛隊の補給船、輸送船に比べて設備が充実しており、一般市民の使用には向いている。最近では何か災害があれば、“はくおう”の出番となり、活躍している。

 今回の新型ウィルス問題から病院船のことが議論されているが、“はくおう”の医務室機能を拡大するか、ちょっとした手術や入院も可能な構造に改造するのが最も現実的な気がする。レストランや大浴場は避難民に活用されているが、サロンやスポーツジムなど災害時に活用されない空間を改造して、医療室を作り、病院船の機能も併せ持つようにできる。さらに後部甲板は一応ヘリポートとなっていてヘリコプターの離着陸はできるが、もう少し飛行甲板を広げれば、重症患者などを陸の病院に移送することが容易となる。もちろん戦時には兵士を戦場に輸送するだけでなく、負傷者の後送にも使われるためにこうした医療設備が必要となる。

 病院船については、議論も大事であるが、これまでの実績を考えると“はくおう”の改造が最も費用が安くて、使いやすと思われる。おそらく医療関係の設備はコンテナ型の医療モジュールで対応できるので、最低限の医療空間の確保、エレベーターの大型化(ストレッチャー対応)、階段の拡大、ヘリポートの大型化とそれに対応した通路などが大きな改造箇所となる。それほど大きな費用はかからず、またこうした設備は災害支援や自衛隊の演習などでも活用でき、ますます災害船としての活躍は期待できるし、できればその高速性を利用して海外での災害活動にも参加してほしい。トラックごと物品を運べることは物資の搬入の手間が省けるだけでなく、現地でもトラックですぐに救援物質を救援地へ運べる。また災害援助に必要なブルドーザーやクレーン車もそのまま運べる強みもある。他の大型カーフェリーについても、大災害時の緊急輸送や海外からの邦人避難などにも活用される可能性があり、そうした可能性も考えて、国も新造船には何らかの補助を出して、無線などの設備については非常事態に対応できるようにしてもらいたい。