2018年9月17日月曜日

サーモス山用ボトル 水筒

赤いのがサーモス山用ボトル


 どうも昔から「世界最高性能」、「南極観測隊御用達」、「エベレスト登山隊使用」といったキャッチフレーズに弱い。日常生活を送るのに、こんな高性能も必要ないのだが、実際に使うとどんなにいいのかとつい考えてしまい、買ってしまう。最近では、ネット上に商品評価やコメントがいっぱいあって、それを参考にすることも多いし、自分が使っていて便利なものは投稿したりしている。

 今回、買ったのは魔法瓶で、アマゾンやネットでの評価は最高で、そのあまりの性能に驚く声が大きい。もちろん魔法瓶など、家族二名しかいないのに、小型のものだけでも4個もあり、実際によほど暑い時に持っていく以外は使うこともない。この魔法瓶はサーモスの山用ボトル(FFX900,FFX500)といい、山登りをする人には必須アイテムとなっている。何でも山に登る前に入れたお湯が登頂後もほとんど冷めず、おいしいカップヌードルが作れた、熱いコーヒが飲めたという声が多い。保温性能が抜群で、なおかつ重量が軽く、持ち運びしやすいという。

 私は山登りなどしないので、山頂で暖かいコーヒーを飲もうとは思わないが、朝コンビニでコーヒーを買い、昼休みに診療所で飲みたい思いはある。これまでカンティーンの水筒がヤマダ電機で30%オフで売っていたので、これを使っていたが、どうも重く、保温性能はそれほどではない。不満があった。サーモスの山用ボトルは500ml900mlの2種類ああり、900mlの方が保温性能が高く、人気があるが、山に登るわけでなく、一人で使うのに900mlはさすがに大きく、500mlのものを購入した。4200円。1500円くらいで結構いい魔法瓶が買えるのに、この値段は高い。

 早速、ケトルで沸騰するまでお湯をたき、それを家庭用魔法瓶で一番売れているサーモスステンレスポット1.5Lとこの山用ボトルに入れた。その12時間後、お湯を注いでみるとステンレスポットの方はかなり温くなり、コーヒーを作るのはためらわれる温度であるが、山用ボトルの方は全然、問題ない。さらに24時間後では、ステンレスポットは完全に温くなっているが、山用ボトルはステンレスポットに12時間後と同じくらいであった。多くのコメント通りの結果であった。おそらく冷たいものを入れた時も同様な結果であろう。

 ただこの山用ボトルは一般のお店には売っていない。弘前中の主だって店にはないし、先月、大阪に行った時もそごう、阪急、阪神デパートにはないし、東急ハンズにもなかった。おそらく登山店にはあるのだろうが、普通の人が行くようなところにはないようだ。冷たいものは体に悪いと信じきっている中国人は常にポットに各自好みの暖かいものを入れて持ち運んでいるが、この山用ポットなどは最高の贈り物になるし、彼等が観光で行くようなデパートなどには置いていないので、希少価値もあろう。

 サーモス社は日本が誇る魔法瓶メーカーで、世界最大の販売、生産量である。サーモスとは英語では魔法瓶のことをさし、もともとドイツのテルモス社に由来する。日本酵素が世界初のステンレス製魔法瓶を開発し、その後、日酸サーモとなり、テルモ社の商標を買い取って、現在のサーモス社となる。同社の最高性能の魔法瓶が山用ボトルであるなら、宣伝はしていないが、おそらくこの山用ボトルは世界最高性能なのだろう。

2018年9月16日日曜日

臥蛇島 自衛隊




 今朝の産經新聞のニュースで、離島奪還の訓練地として鹿児島の臥蛇島を防衛庁が検討していることが載っていた。自衛隊は中国、韓国による離島防衛あるいは奪還を目的として垂直離着陸輸送機オスプレイや水陸両用車の装備、さらには強襲揚陸艦の導入計画があり、日本版海兵隊の新設も行ってきた。ただ適切な離島訓練地が国内にないため、これまでアメリカの基地で訓練を行ってきたが、期間や経費がかかることから、国内の訓練地を探し、その候補となったのが鹿児島県十島村臥蛇島である。

 臥蛇島は以前、人が住んでいたが、昭和45年から全世帯が移住して無人島となっている。面積は4.07km2で、周囲は9km、最高標高は487mとなる。これは日中間で紛争となっている尖閣列島最大の島、魚釣島に近い。魚釣島は面積3.82km2で、周囲は11km、最高標高352mである。どちらも海から切り立った断崖に囲まれ、港となる場所は限られ、攻撃、防御とも難しい。

 1990年、鹿児島大学に勤務していた頃、十島村巡回診療のため4度ほど口之島、中之島、平島、諏訪之瀬島、宝島、小宝島などの島を訪れたことがある。現在、人口は733名、一番人口が多いのは中之島で155名、少ないのは小宝島で49名、臥蛇島、小臥蛇島、上之根島、横当島は無人島となっている。臥蛇島以外の島はもともと無人島で、ここに人が住んだ記録はないが、臥蛇島は戦前、カツオ漁が盛んで100名以上の住人がいた。中之島は何度か泊まったが、海岸沿いの港近くに隠れた公営温泉がある。ここからは沖の臥蛇島も見えるし、トビウオ漁などはこの島の近くまで行くのであろう。私が行っていたときは、一部の島、小宝島などは艀を使っての上陸で、波が1m以上上下する中を艀に乗るには勇気がいった。それでも波が2m越えると上陸できない港もあり、最高1週間以上、船が来なくて島に閉じ込められたことがあった。

 今回、自衛隊が訓練地に使うということだが、その場合に、臥蛇島に自衛隊が常駐することになると思うが、かって人が住んでいた点、電気、水道などのインフラは何とか整備できるであろう。また中之島までの20kmを連絡船で繋げば十島丸による定期連絡船を使え、臥蛇島にそれほど大型船の着岸設備は必要ない。ただ臥蛇島は周囲が豊富な漁場だけに、訓練地として爆撃、砲撃があるなら、当然、中之島を中心とした島民への漁業補償や十島村のインフラ整備(港、船)などの援助が必要となろう。かってヒッピーは住んでいた諏訪之瀬島を除くと基地、訓練地反対となる住民は少ないと思われる。あと、これは全く根拠ないが、鹿児島、東京から沖縄への飛行航路は、十島村上空を通る。もちろん現在の飛行はすべて自動運行でルートが決まるが、有視界で中之島、諏訪之瀬島、宝島は上空からの大きな目印となる。離島奪回の訓練には多くの戦闘機も参加するため、こうした民間飛行のルートになる場合は問題となるいかもしれない。

 ついでに言うと、ミサイル迎撃システム、イージスアショア配置の候補として秋田県の陸上自衛隊の新屋演習場を候補にしているが、ここはあまりに秋田市内に近く、当然、反対の声は大きい。むしろ秋田県なら航空自衛隊の加茂分屯基地や内陸になるが三種町の秋田射撃場、あるいはいっそ基地防衛設備も含めると青森県の車力分屯基地の方がよい。車力基地にはパトリオットミサイルやアメリカ軍のXバンドレーザーもあり、かなり強力は防御施設がある。青森県にはむつ市の釜臥山山頂に通称、ガメラレーダーがあり、これにイージアショアの基地ができれば、青森県は日本最大の防衛拠点となる。日本ではごねれば金になる風潮があり、人口のほぼ同じ沖縄県(142万人)と青森県(138万円)を比べると沖縄県の一般会計は7310億円に対して青森県は6846億円、歳入をみると、沖縄県の県税は1239億円、地方交付税が2030億円に対して青森県は県税が1167億円、地方交付税は2142億円で差はないが、国庫支出金が沖縄では1993億円に対して青森県は1044億円で950億円の差がある。これが沖縄振興交付金の差なのだろう。金をよこせとは言わないが、青森県には本土最大の米軍基地である三沢基地、海上自衛隊の大湊基地はじめ多くの基地があり、せめて日本の防衛に大きな貢献をしている点はわかってほしい。

2018年9月11日火曜日

矯正治療の失敗

開咬

側方への開咬


 長年、矯正歯科をやっていると、正直なところすべての治療がうまくいったとは言えません。感覚的には非常にうまくいった症例が20%、まあまあと思うと症例が60%、あまりうまくいかない症例が20%くらいです。矯正専門医の多くの先生も同意見と思います。もちろんあまりうまくいかない症例といっても患者さんや一般歯科医からは特に問題はないと思われるかもしれませんが。具体的な例で言えば、咬合が甘い症例です。反対咬合で来院した患者さんで、反対咬合のまま治療終了することは決してありませんし、叢生(でこぼこ)に患者さんもでこぼこのまま終了することはありません。ただ上顎前突の症例で前歯の出っ歯が残ることや開咬(前歯が開いている)の患者さんで前歯がまた開いてくることがうまくいかない症例となります。この原因として3つのことが考えられます。多い順で

1.      舌機能による後戻り
 舌の機能は複雑で、開咬など舌の機能が関連する不正咬合では、舌の習癖、例えばつばを飲み込む時に舌を前に出す(舌突出癖)が悪さをします。ワイヤーやゴムなどできれいに咬ましても舌癖により再び前歯が開くことがあります。こうした不正咬合では治療がなかなかうまくいきません。またこれ以上に多いには側方への舌突出癖です。小臼歯部はかなり気をつけて咬ましますが、咬合力が弱い人や側方への舌突出癖があるとそこが咬まなくなってきます。経験上、右のかみ合わせが甘くなります。

2.      診断の間違い
 重度の上顎前突(出っ歯)の症例では、いつもアゴを前に出しているために、前で咬む癖が固定している症例があります。こうした症例ではもともと出っ歯の程度が悪く、装置を入れてでこぼこを取っていると、下あごがどんどん下がっていくことがあります。5mm以上、下あごの位置が下がる症例もあり、こうした症例では外科的矯正の適用となります。反対咬合ではこうしたことはありませんが、上顎前突では下あごが下がる症例がマレにあり、治療途中で手術を勧めても拒否され、結果的に出っ歯が残ることがあります。治療前にスプリントなどで顎位を探ればいいのでしょうが。

3.      患者の非協力
 治療の過程で、患者さんにゴムの装着などをしてもらうことがあります。指示通りにしていただければ、きちんと治るのですが、なかなかゴムを使ってくれないことがあります。この場合は、治療がうまくいきません。また歯磨きをきちんとしてもらえず、むし歯がたくさんできる場合も治療途中で終了あるいは中断することがあります。経験上、中学生の男子ではこうしたことがあるので、中学生以上では本人が治療を希望しない場合は、矯正治療を開始しません。また治療が終了しても保定装置を使ってくれないと後戻りが起こります。

4、 手術のミス
 外科的矯正の症例では、これは矯正歯科医のミスではありませんが、外科手術が計画したように行われないことがあります。術前矯正で、例えば、右10mm、左5mm、下あごを後ろに下げるように手術を依頼したとしましょう。もちろんスプリントと呼ばれる位置決め用のプラスティックのマウスピースのようなもの作り、そこで下あごを固定してもらいます。ただ切り離した下あごをチタンプレートで固定する際の位置決めが非常に難しく、下あごを引っぱって固定すると、当初の計画とは全く違ったかみ合わせになります。右が8mm、左が4mmの移動量では全く噛み合ないことになります。術後矯正で何とか咬ませるようにしていきますが、計画とのずれが大きい場合は結果的にはきちんと治せないことになります。

 おそらくどのような名医でも、うまくいかない割合は同じようなものと思います。ただこれはあくまで主観的なものなので、名医から見れば、一般医の治療結果は10%がまあまあで90%が上手くいっていないと見るのでしょうし、自分の昔の症例をみても同じように考えるのでしょう。こうした点では、あくまで治療結果のみの判断ですが、日本矯正歯科学会の専門医試験の審査をお手伝いしたことで、客観的な判断ができるようになった気がします。他人の症例を審査することで、自分の症例を客観的に評価できます。そうした意味では他人に自分の症例を見ることや転医なども、いい勉強になります。