2018年9月8日土曜日

関西空港の孤立化と自衛隊の活用

計画頓挫した泉州港、大型の船が着岸できる

輸送船 はくおう

大活躍の輸送船おおすみ型



 最も効率的な輸送手段は船であり、これこそが人類最大の発明といえる。どんな重いものも、水の中での浮力を利用すると、実に小さな力で動く。そのため、江戸時代では多くのものが船を利用して運送された。江戸の町は、血管のように運河が巡らされ、米、水、木材など重いものはできるだけ、消費地に近い所まで、船の大きさを変えて運ばれ、これ以上は無理というところで、馬、牛、人力などで運ばれる。いまでこそ、こうした町の水路は道路になってトラックが船のかわりとなっているが、運送量で言えば、船とトラックでは桁違いとなる。大型のトラックでも10トンくらいだから、数万トンの運送量を誇る船にはまったく太刀打ちできない。それゆえ、現代でも海外からの輸送は船が主力となる。

 今回、台風により関西空港への唯一の道路が閉鎖され、復旧するまで数千人の人々が取り残された。翌日、一部道路が復旧されてもバスに乗るためにかなりに時間を待つ人々がテレビで映し出され、また神戸空港への高速船に乗るための長蛇の列の人々も写されていた。高速艇は110人乗り、84トンの小型船である。これではなかなかさばけない。大型のフェリーであれば、定員で500名以上、大阪南港や神戸港に送る程度の短時間運送なら充分に1000名以上の人を運べる。大型バス(定員50名)の約20台分に相当する。今回の5000人が関西空港に取り残されたというが、船なら数回の運送で片付いたと思われる。

 ところがどうも関西空港には大型船の発着する港がグーグルマップで見ても見当たらない。中部国際空港、神戸空港、長崎空港などの海上空港をみても、関西空港と同じように陸とは一本の道で繋がっている。ところが関西空港以外の海上空港には大型船が着岸可能なところがグーグルマップでも確認でき、唯一の連絡道が使えなくなっても、船のよる輸送が可能となる。どうも関西空港はこうしたバックアップシステムが不十分だったように思える。計画では北側のB滑走路がある人工島の東に泉州港が作られ、ここに貨物船が着岸できる計画であったが、資金難で頓挫した(これは将来的には必要な設備と思われるが)。

 一方、自衛隊のおおすみ型輸送艦は1000名以上の収容が可能で、未整備岸壁にも着くことができ、大型船の港のない関西空港でも着岸可能であろう。さらに自衛隊は輸送船としてははくおうとナッチャンワールドの借り上げ契約を結んでいる。こうした輸送船がどこにあるのか、すぐに出動可能か不明であるが、今回の台風による海上空港の孤立には、最終的には使用料金をとってレンタルできるような体制はできないであろうか。もちろん平時に限ってのことであるし、自然災害に伴う人的被害に関わるものに限ってのことだが。実際、離島で病人、けが人がでると、あたかも都市部の救急車のような扱いで、自衛隊のヘリコプターが使われる。鹿児島県十島でも鹿屋基地から訓練と称してヘリコプターが飛んで来た。

 神戸のような居住地が少ないところでは海上に人工島が作られてきたが、基本的にはこうした人工島は1ないし2本の橋で本土と繋がれており、地震、台風などにより容易に孤立状態となる。その際、輸送力の点でもっともたよりになるのは船舶による運送である。自衛隊の輸送船、おおすみ型の3隻とはくおう、ナンチャンワールドは、使用料をとって民間に協力できるような法整備ができないだろうか。例えば、海上空港会社は、前もって防衛庁と契約、緊急の事態が起こった場合には輸送船の貸し出しをできる契約を結んでおき、訓練もすべきであろう。政府もこうした自衛隊の輸送船の扱いを検討すべきでなかろうか。その際、生死に関わらない緊急性のない場合は、きちんとした利用料を担当業者からとるべきであろう。

 さらに言うと、関西空港は戦時には伊丹空港よりは航空基地として有効に活用できる空港であり、連絡橋に対する一発のミサイル攻撃で機能消失するようでは困る。戦時、海上からの物資、装備の輸送が重要であり、そうした状況も考えて訓練する必要があろう。今回は大儀名分もあったから、自衛隊輸送船を孤立した海上空港支援の訓練になったのだが。四方を海に囲まれた日本では、戦時、災害時に関わらず、必ずどこかの孤立化が起こる。ヘリコプターなどの緊急支援も大事であるが、大掛かりな支援のためにはどうしても輸送船の活用が求められ、それに対する訓練、装備も重要である。

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