2014年12月11日木曜日

歯科医院の空気清浄機





 今年は、ハンドピースやエンジンの感染問題が話題になり、遅ればせながら、当院でも短時間で滅菌できるStatim2000というカナダの機械を購入した。ここ半年くらい使用しているが、非常に調子がよく、全く問題はない。ハンドピースやエンジンの個数も多少増やした。一日に大体2回くらい回して、主としてハンドピース、エンジン、PMTC用のヘッドなどを滅菌しているが、とくに切削機械のトラブルはない。

 患者さんの治療に切削器具が必要になった時点で、滅菌袋から切削器具を取り出し、ユニットに取り付け、治療を行うようにしている。普段のユニットにはまったく切削器具がついていないことになる。乾熱滅菌とこのオートクレーブでほぼすべての器具が滅菌できるので、薬液消毒をする機会が減り、来年度は廃止に方向で進めたい。

 次の滅菌、消毒段階として空気清浄機を考えた。これまでダイキンの2台の小型空気清浄機を待合室とスタッフルームに置いていたが、どうも最近は年中、カゼをひいたり、ある患者さんが来るとくしゃみがでることがある。細菌や何らかのアレルギー物質が診療所に持ち込まれるのであろう。3台のエアコンにも空気清浄機能はあるが、効果は少ない。

 そこで歯科医院に適した空気清浄機を探した。アメリカの歯科医院で人気の高いのはIQAirDental シリーズである。5段建のボックスで中には厚いフィルターが入っている。荒いフィルターで大きな浮遊物をとり、最終的には目の細かいHyper HEPAフィルターで0.003インチのものまで浄化する。アメリカでのDentl Proの定価は1449ドル、大きなチューブがついて部屋ごと清潔域にするDental HG FlexVac2549ドル、これはインプラントなどの手術室に用いられる。交換用のフィルターも高く、HEPAフィルターが199ドルする。空気清浄機としてはかなり高額のものであるが、多くの歯科医院で使っているようだ。

 そこで日本で売っているところを調べたが、日本では代理店がない。Amazon USA900ドルくらいの家庭用が20万円くらい、ヨドバシカメラでは41万円、森林倶楽部というところで386640円と、いくら為替を考えても2から3倍高い値段で売っている。これではいくら何でも高すぎる。そこで他にないかと調べると、スウェーデンのBlueairという空気清浄機も性能がよいようだ。日本のダイキン、パナソニック、シャープも日本らしく、イオン、プラズマなど色々な機能を付けて、あまりフィルター交換がないようにしている。フィルターなどの消耗品が高いと消費者から嫌われるからである。ただイオン、プラズマについては人体に有害との意見もあり、独特の匂いをいやがる人もいる。それに対して、IQairBlueairは強力なファンで空気を機械内に通し、厚いフィルターに強制的に空気を通して汚れをとる仕組みになっている。汚くなったフィルターは早めに交換して捨てるという単純な考えである。Bluairの場合も半年ごとに1万円くらいのフィルターを替えるのだから高い。私の場合も自宅で使う分にはこんなに維持費の高いものは買わないが、診療所は多数の患者さんが来るので、できるだけきれいな空気であった方がよいと思い、Blueairの一番大きな650というシリーズを買うことにした。どれくらい効果があるかは、使ってみて感想を述べたいと思う。


 ついでに言うと、歯科外来診療環境体制加算に必要な口腔外サクションについては、欧米ではほとんど使用されておらず、部屋ごとにIQairを置いて、空気中に散らばった削りかすなどを清浄する方式が取られている。タービン使用時の粉塵数と細菌コロニーの実験では口腔外サクションの効果が唱われているが、取り残した粉塵は空気中に漂う。こういった局所用のものよりは、外来環境としては部屋全体の粉塵、アレルギー源、細菌を取るような強力な空気洗浄機の方が、従業員、患者の健康被害を減らすためには理にはかなっているように思える。アメリカの歯科医師会、感染予防センターも、口腔外サクションについては全く触れていないが、こういった強力な空気清浄機の診療室の設置をとなえている。どこか歯科メーカーがIQair Dental Proを適正価格で取り扱ってもらえば助かるのだが。

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