2015年7月19日日曜日

弱虫ペダル

 昨今は、空前の自転車ブームで、弘前でもサイクルウェアーに身を固めた若者たちの姿を目にすることが多い、十年前まではマウンテンバイクが人気であったが、最近では圧倒的にロードレーサーが中心である。自転車には昔から興味があったので、ついどんな自転車か見てしまうが、多くはイタリア、アメリカの高級バイクで、おそらくは20万円以上のものである。今の若者は、自動車やバイクにはあまり興味がないようで、それらに比べると、自転車に20万円と思われるかもしれないが、ある意味、安い。こずかいを貯めて、念願の自転車を買い、部屋に持ち込み、毎日きれいにしているのだろう。気持ちはよくわかる。

 自転車の魅了は、走りもさることながら、構造が簡単なために、一通り工具を揃えると、かなり自分で分解、整備、改造ができることである。部品を買って、グレートアップできる楽しみもある。また走り、ことにロードレーサーの走りは、体験したものしかわからないが、通常のママチャリとは異次元の世界で、自分が風になったような高揚した気分になれる。50-100kmの近距離への走りは、風景の移り変わりを肌で感じることができ、さらに走破後の快い疲れ、かなりのダイエット効果もある。健康ブームにもってこいの趣味である。

 こうした自転車ブームのきっかけのひとつに、マンガ「弱虫ペダル」がある。アニメオタクの眼鏡っ子、少年が次第に自転車選手として成長する物語で、2008年から少年チャンピオンで連載され、現在、単行本で40巻になっている。これが非常に面白く、週に2巻ずつ、本屋で買ってきて読むのが楽しみとなっている。こうした子ども向けの漫画本を60歳近いおっさんが買うのは抵抗があるが、最近のマンガの中では最もおもしろい。累計で850万部売れたのは、うなずけるし、今後、海外ではますます人気となろう。自転車は欧米を中心に人気の高いスポーツで、第二の“キャプテン翼”になる可能性もある。そしてこうしたマンガで育った若者の中から、いずれツールドフランスで優勝するという夢のようなことが起こるかもしれない。おそらくマンガの方では、先に主人公はプロになりツールドフランスの山岳賞をとることでしょう。

 昔から自転車メーカーはヨーロッパが中心で、イタリアを筆頭に、フランス、イギリスもいい自転車をだすし、ドイツや北欧諸国も斬新な自転車を作っている。アメリカでも20,30年前から良い自転車を作り、ツールドフランスなどでも活躍した。一方、日本の自転車メーカーは長い間、暗黒時期にあって、一時、コガミヤタ、パナソニック、サンレンショウなどのメーカーが有名であったが、世界的なメーカーとしては育たなかった。本質的には日本人は、オートバイ同様に自転車でも世界を制覇できたかもしれないが、どうもママチャリが中心となってしまし、本格的なものに人気はなかった。ただ変速機、ブレーキ、ハブなど中心的な装備については、シマノという巨大な会社がある。数十年間までは競技自転車の装備といえば、圧倒的にカンパニョーロであったが、2030年前から、次々と革命的な新製品を開発し、それがプロ選手に使用されるにつれ、その性能の高さから、今は世界一のメーカーとなった。30年前にデェラエースという革命的な変速機が出たときに株を買おうとして結局、やめたが、未だに買っておけばよかったと悔やまれる。フレームについては、台湾が強い。イタリア製といっても多くのフレームは台湾で作られ、技術も高い。


 近くの雑貨屋の店の正面に、イタリアのレニャーノの古い自転車が置かれていた。ロードレーサーブームもさらに進み、古い自転車に乗る若者も現れてきた。昔のアルミのレニャーノの自転車も捨てようかと思ったが、少し整備してもう一度乗ろう。こうした流れが、一時のムードにならないように、行政も自転車専用道路の整備などに努めてほしい。

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