2015年8月16日日曜日

県外弘前市民パスポート




 「東奥日報」、815日の朝刊に、地元では有名な路地裏探検隊の隊長、鹿田智嵩さんの記事が載っていた。“地域活性化 直言エッセー ジュッパツ 振興”という連載で、「土地に暮らすような旅から弘前ファンに 青森県は『人に会いにゆくツーリズム』」と題して、ただの旅行ではなく、弘前のファンになってもらうこと、それには地元の人との繋がりが必要だとしている。弘前が気に入って毎年のように来る方がいるが、多くは街歩きツアーやねぷた祭を通じて、地元の人と交流し、それが縁でリピーターとなって毎年のようにやってくる。そして「観光は多様化、何でもアリの時代になったが、『人に会いにゆく(来る)ツーリズム』これこそが魅力的な『人』が多い青森県にふさわしいスタイルではないだろうか」と新たなツーリズム観光の型を提案している。

 実は私の知り合いにも多くの弘前ファンがいて、毎年あるいは年に何回も弘前を訪問している。Aさんは弘前の教会関係の知人がいて、その方々に会うのが楽しみで弘前を訪問し、Bさんは息子が弘前大学にいるため、最初は息子に会いに来たが、次第に弘前の町並みが気に入って年に何回も来ているし、Cさんは弘前大学主催のサマーカレッジに、老齢にも関わらず出席し、Dさんは恩人の墓参りに毎年来ている。

 弘前は、昔と今が混在した町で、弘前城を中心とした江戸文化と明治の洋館、そして若者たちが始めた今風の店があり、周辺にもノスタルジーにあふれた黒石、世界遺産白神山地のある目屋、雄大な景色の十和田湖、そして泉質の違う多くの温泉がある。食も、ほとんどの食材、魚、肉、野菜、果実も自給自足でき、山菜、きのこなどの山の幸、そして豊盃に代表される日本酒や最近飲んでみてうまいと思ったリンゴシードルもある。地球温暖化に伴い四季の変化の乏しい日本にあった未だにはっきりとした四季があり、長期滞在だけでなく、一年中見所が多いところである。

 ふるさと納税が、今、豪華な特産品がもらえると人気がある。弘前市のふるさと納税を調べると、一口城主として弘前城天守閣曳屋イベント参加と3施設共通券がもらえるだけである。これは正しい。特産品で納税をつるというのは、本質に背くものであり、やはり弘前を応援するという趣旨のものではならない。本を出版したことから、先祖が弘前という方からのメールが多くいただき、何度かは実際に先祖が住んでいたと思われる場所に案内したことがある。こうした体験から、弘前出身で、今は県外、東京に住むという方は非常に多い。34代前が弘前出身となると、もはや墓所も移し、弘前には縁者もおらず、ほとんど弘前との関係はない。それでも元々の故郷としての弘前を懐かしむ人は子孫も含めて多く、こうした方々から弘前を第二の故郷、元々の故郷と思っていただきたい。


 そこで提案であるが、ふるさと納税、1万円以上をしてくれた方を“県外弘前市民”と認定して、パスポートと広報弘前、TekuTeku、弘前酔連、月刊弘前などの雑誌、弘前人物志などの郷土本など、主としてアップデートな情報を流し、より弘前を身近に感じてもらう。多くの講演、手作り体験などが弘前文化センターなどで開催され、安い費用で受講できる。また弘前バル街、宵宮、花火祭りなどの期間情報は意外と県外の人には知られていない。観光のきっかけになるだろう。そしてパスポートは弘前城、藤田庭園、りんご公園、博物館などの施設やレンタルサイクルなど市が管轄するものについては、すべてタダにするようにし、場合によっては協力してもらえるレストラン、居酒屋、お土産屋では10%OFFといったサービスも含める。パスポートを首からかければ、県外から来た“弘前市民”として地元の人も声をかけやすいし、話の端緒になる。県外からの観光客をもてなす心が大事であり、こうした観光客のなかから弘前に移住し、本当の弘前市民になる人が現れないとも限らない。物でつるのではなく、アイディアで観光客、リピーター、定住者を増やそう。

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