2023年1月3日火曜日

短命県青森

 


アメリカの州別の平均寿命を見てみると、2020年の集計では、ハワイ州がトップで80.7歳、二番目はワシントン州で79.2歳、逆に一番低いのはミシシッピー州で71.9歳、二番目はウエストバージニア州の72.8歳となる。ハワイ州とミシシッピー州を比べると、9歳近い差があり、驚く。大まかなランキングの傾向を見ても、特に暖かいところが長生きしているわけではないが、どうも、州による人種割合の傾向が関与しているようである。すなわち人種別で見ると、2021年の統計では、白人の平均寿命は764歳、黒人が70.8歳、アジア系が83.5歳、ヒスパニックが77.7歳、原住民が65.2歳となっている。コロナの影響が強いとは言え、アジア系と原住民を比べると18歳の差がある。アジア系の住民の多いハワイやワシントン州の平均寿命が高く、黒人の住民の多い州の平均寿命が低いようだ。

 

2020年の日本の県別の平均寿命(男女の平均)を見ると、滋賀県がトップで85.5歳、次が長野県で85.4歳に対して、一番低いのは青森県の82.8歳、次が福島県の83.7歳となる。長野県と青森県を比べると、3歳くらいの差でアメリカほどの差はないし、日本で最も寿命の低い青森県でもアメリカの州別ランキングでは一位となる。世界的に見ると、2019年の統計では一位は日本で、84.3歳で、二位がスイスで83.4歳となり、最低はレソトの50.7歳、ついで中央アフリカ共和国53.1歳となる。青森県の82.8歳というのは、7位のオーストラリアの83歳と8位のイスラエルの82.6歳の間くらいとなる。医療福祉制度の模範とされる北欧諸国、例えばノルウエイは82.6歳、スウェーデンは82.4歳、フィンランドは81.6歳、デンマークは81.3歳なので、短命県、青森と言われてもそれほど悲観すべきではない。ただ青森県男子の平均寿命は79.27歳で、これは世界で24位くらい、女子の平均寿命は86.3歳で、世界の10位以内に入ることから、青森県男子に課題が多い。

 

青森県では、現在、短命県返上として様々な活動をしている。女子ではトップの岡山県が88.29歳、青森県は86.33歳で、1.94歳差であり、世界的にも青森県女子の平均寿命はそれほど短命ではない。むしろかなり良い。一方、男子についてはトップの滋賀県が82.73歳に対して、青森県は79.27歳と3.46歳の差があり、世界的に見てもアメリカを除く欧米主要国にも劣る。また青森県男子は二番目に低い秋田県が80.48歳なので、1歳以上差があるダントツの最下位で、これは国民皆保険制度をもつ国の中でも恥ずかしい。雪国、寒さが厳しい北海道でも男子の平均寿命は80.92歳であることを考えると、少なくとも青森県男子の奮起が望まれる。

 

寿命、余命に関するほとんどの統計では、青森県が最下位であるが、唯一、まだマシなのは、健康寿命で、2019年の調査では男子では71.73歳で全国42位、女子は76.05歳で13位となっている。つまりあまり寝込まず、早く死ぬというのか。家内やうちの従業員に聞いても、80歳まで寝込むくらいなら生きたくないと口を揃えて言う。娘や息子に迷惑をかけたくない、元気でバリバリしているうちにポックリ亡くなりたいと言う人が多い。また世界の平均寿命ランキングを見ていると経済的貧困国が低く、アメリカのような経済大国であっても格差が大きい国は低い。つまり経済的な問題が大きく平均寿命に関与するように思える。ちなみに2020年度の都道府県別の平均月収を見ると、青森県が24.1万円で最下位、次が岩手県で24.6万円、秋田県24.7万円となる。それぞれ男子の平均寿命ランキングは青森県が47位、岩手県が45位、秋田県が46位と下位を占める。ただ月収44位の宮崎が寿命では32位、月収43位の山形は寿命29位、月収42位の沖縄が寿命36位となっている。逆に月収一位の東京は寿命11位、月収2位の神奈川が寿命5位、月収4位の愛知が寿命8位、月収5位の京都が3位となっていて、月収の多い県がだいたい寿命も長い。例外は、月収が3位の大阪が寿命38位、月収21位の長野が寿命2位、月収28位の福井が寿命6位となっている。

 

青森県男子の短命の原因については、今は県をあげて調査、研究し、その結果はいずれ出てくると思うが、青森県のランキング一位の中で、短命と関係する要因を探してみる。食塩消費量、ソーセージ消費量、インスタントラーメン消費量、炭酸飲料消費量、喫煙率、干物消費量、自殺率、男子小中学生肥満率、睡眠時間(ここまで全て1位)、60歳以上自殺率(2位)、男子BMI(2位)、マヨネーズ消費量(2位)、転職率(2位)、週一回以上の運動・スポーツ実施率(46位)などがある。一方、男子で一番長生きする滋賀県のランキング一位の中で短命に関係する要因は、キャンディ消費量しかない。これは驚きで、それでは2位の長野県はと言うと味噌消費量、砂糖消費量、3位の京都は、コーヒー消費量、佃煮消費量で、いずれも全国2位も含めてこれだけしかない。このことは青森県男子の食品嗜好自体に問題があり、いわゆる体に良くないと思われる食べ物が好きなのである。こうした全国一となるものを消していくのが短命県返上の決め手かもしれない。ちなみに青森県内で見ると、男子の平均寿命の高いのは、1位三沢市、2位新郷村、3位おいらせ市、4位十和田市、5位六戸町と南部地方が上位で、6位に弘前市が入るが、7位六ヶ所村、8位田子町、9位八戸市となっている。津軽地方の男子がより酷いのだろう。


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