2007年2月26日月曜日

ブラケット4(セルフライゲーションブラケット)



active型のSpeedブラケットの構造を示す(写真上)。最新型も大体同じ構造ですが、日本の会社(トミー)が最近、ばねの部分以外は透明な素材で作ったブラケットを販売しました。かなり見た目がよくなっていますが、大きさはツイン幅になっています。せっかくactiveタイプにしているのに、なぜツイン幅にするのかわかりません。矯正歯科医はツインブラケットになじんでいるため、できるだけ違和感を少なくしようとの考えか、あるいは強度的な問題があるのでしょうか。メーカーは結紮線もつかえますと言いますが、この種のブラケットは基本的には窓を開けたまま、結紮することはありません。私のところでも、この最新型のブラケットを購入しましたので、試してみたいと思います。
Passive型のブラケットの最新型はデーモン3(オームコ 写真下)と呼ばれるのもです。edgelokの発展型とも言えます。edgelokは開発されて35年もたち、15年ほど前からEdgelok2の開発が噂され、実際に開発されたようです。一方、あまり普及が低いので、従来のツインブラケットに近い形態のものを出しました。これがデーモンブラケットで、基本的にはEdgelokと同じ考えからでたものです。デーモン3では半分が透明になり審美性が改善されました。さらに今月デーモン3MXが発売されましたが、再びメタルに戻り、丸っぽいデザインになりました。
もともとアメリカでは矯正患者数が日本と違い、一日に100人以上もいて、いかに診察時間を短くするかが、求められました。さらにエイズの問題もあり、結紮線の断端による針刺し、これは手袋をしても防ぐことができないため、セルフライゲーションブラケットによる結紮時間の劇的な減少、針刺しの防止が歓迎されましたし、開発の目的になっていました。ところが15年ほど前からブラケットとワイヤーのすべりの問題が言われるようになり、セルフライゲーションブラケットを使った方が治療期間の短縮につながるという考えがでてきました。結紮時間の短縮や針刺し防止はあくまでドクター側の利点で、患者にとっては利点ではありません。むしろ審美性の点ではメタルのものは劣るため、いくら診療時間が短い、歯磨きがしやすいといっても、やはり審美性ブラケットを患者は選択します。そのため、最近ではこのブラケットを使えば治療期間が短縮されますという患者側の利点を全面に出して、メーカーもドクターも勧めているようです。デーモンブラケットは久々のヒット商品になっています。メーカーの商品戦略がうまくいったのでしょう。はたして治療期間はどれくらい短くなるか、後で話してみたいと思います。

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