2009年6月23日火曜日

第25回東北矯正歯科学会




 6月19,20,21日と第25回東北矯正歯科学会大会参加のため福島県の郡山に行ってきました。会場は駅前にあるビックアイという高層ビルで、その最上階に世界一高いプラネタリウムがあります。ホテルが遠かったのですが、会場まで歩いていったおかげで、郡山の街は探索できました。青森市とよく似た町並みです。

 大会長の奥羽大学の氷室教授の発案で、会場は扇型に開いた席になっており、アットホームな雰囲気でよかったと思います。設営は大変だったでしょう。奥羽大学の皆さんごくろうさまでした。

 学会では、福島大学人間発達学類の高谷理恵子先生の「乳児期初期の身体制御の発達過程」という講演がありました。乳児では仰向けに寝かされると手足を色々に動かし、その動作はダンスのようにエレガントなものである。この動作はチンパンジーなどの人間に近い霊長類
でも幾分観察されるようですが、ヒトほど複雑な動きはないようです。脳機能の発達障害をもつ赤ちゃんでは、この動きが協調的で、右手を挙げる時には左手も上げるという風に、一緒に動く動作を示す場合が多いのに対して、そうでない赤ちゃんでは協調性はなく、ランダムな動きをしながら、エレガントな動作をするようです。この赤ちゃんの動き方を観察することで発達障害の評価につなげようとする研究です。

 あごが左右にずれた子どもたちを見ていますと、小首を少し傾けた姿勢をとる子どもたちが多いようです。通常、左右の眼は地面と平行にあるのですが、こういった子どもたちはやや傾いた状態が落ち着くようです。右に頚を傾ける癖のある場合、下あごはこの状態に対して重力に沿って垂直に成長し、結果的にはあごが右にずれていきます。産道を抜けるとき赤ちゃんはある程度、斜頸の傾向を示しますが、次第に消失していきます。

 あごのずれについては、頬杖、うつぶせ寝、咀嚼習慣や姿勢などの種々の要因が絡んでいるようですが、はっきりしません。高谷先生にそのあたりのことを質問させてもらいました。ごく最近の研究はお話いただきました。赤ちゃんも寝る向きがあり、無理に矯正させ、まっすぐにさせても、かえって視覚狭くなくことがわかったようです。すなわち右向けに寝る赤ちゃんにとっては上向きに寝かせられるより、いろんなものがよく見えているようです。こういった癖は相当早い時期に決まってしまうものかも知れません。

 一方、欧米などで古くからある新生児を布でミイラのようにぐるぐる巻きにする、スワドルというものがあります。生後数週間使うようですが、なかには1年以上も使うようで、ハイハイなしでいきなり歩くようです。赤ちゃんにはこういった状態の方が安心感があるようで、股関節脱臼の予防にもあるようです。日本ではあまり見かけません。こういった方法で赤ちゃんの自発運動を抑えることがその後の精神発育にどういった影響があるか、あるいはあごのずれとどう関係するのか気になるところです。

 矯正歯科というと歯並びの治療のみと考えがちですが、あごの発育という点では小児あるいは乳児、胎児まで関連してきます。それだけ広い範囲の研究が求められます。大学の先生方の今後の研究を期待しています。

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