2013年9月21日土曜日

安部首相、南京



 日中関係が1972年の国交回復以来、最悪の状況となっている。尖閣問題、それに続く反日デモが尾を引いている。安部首相と習主席との首脳会議いまだに開かれず、アジアのトップ2同士の関係がぎくしゃくしている。

 日中間の戦争を叫ぶ一部マスコミ、政治家もいるが、私も含め、日中の国民が本気で戦争をしようとは思っていない。先の大戦でもそうだが、真っ先に戦争を仕掛けたのは、マスコミ、学者、扇動者であり、こういった連中は、戦争に負けると、真っ先に逃げ出し、180度言うことを変える。日中、日米戦争でも簡単に戦争になった訳ではなく、多くの戦争回避の努力がなされたにもかかわらず、戦争を煽り立てたのは、朝日新聞はじめマスコミによるところが大きい。

 今の状況で日中友好を唱えるのは、許されない雰囲気であるが、それでも敢えて日中友好のレールに戻ってほしいと希望する。尖閣列島にしても、その象徴的な存在を除くと、少しの漁業、誇張された石油資源がある小さな無人島であり、この島の攻防に日本全国民を犠牲にしても守る意思があるかということだ。日中双方ともその意思はないであろう。であれば、台湾と結んだ漁業協定を中国とも行い、所有権は日本にあるが、漁業については台湾と同様な協定を結ぶ手はある。日本の尖閣列島には人を常駐しない無人島のままにしておくが、中国政府も島には一切タッチしない。もし石油資源を開発する場合は共同ですればよい。いわゆる棚置き論である。プラス漁業権を緩めるのである。

 日中歴史問題については、安部首相と胡錦濤主席の会合で、日中の歴史家が集まり、歴史問題を協議することになった。その報告書もすでに出ている(日中歴史研究会報告書)。南京事件については、虐殺者数は日中の学者で相違はあったものの、多くの中国人が殺された事実は共通の認識として報告されている。このことはきちんと謝罪し、未来思考に向かうべきであろう。

 「毛沢東 大躍進秘録」(楊継縄著)はジャーナリストの覚悟を示した大著で内容は濃い。原題は「墓碑」といい、死を覚悟して書いたものである。そこに描かれる人間関係は、まるで戦国時代、「史記」の世界である。とんでもない悪い奴(毛沢東含む)がいる反面、義の人もいる。例えば、党支部書記の崖日堅という人物は、民衆がばたばた餓死するのを見て、倉庫を開けて食料を飢えた民に配った。義人である。それがどうなったかというと、党籍を剥奪され、一切の職務を解くと、県や村を引きずり回され、餓死した。同様に大躍進政策、大規模な飢餓を非難した安徽省副省長の張懐帆は51日間の批判闘争、200日の監禁を経て、鉱山に送られた。厳しい政治環境の中でも、こういった義の人がいるのも中国である。

 ここで提案である。安部首相が義の人であれば、まず東京の谷中にある義の人、山田良政の碑にお参りすることである。それとは別に南京、中山陵にあった山田良政の碑(かってそこにあった。南京、楓林、棲霞山か?)を再建するように中国政府に根回しし、その除幕のために安部首相が南京に行く。その際に、南京では中山陵とともに、南京大虐殺紀念館を訪れるたらどうであろうか(すでに昭恵夫人は行っている)。この館自体は展示内容については問題があり、首相の訪問はその歴史事実を認めたと負の意味で政治的に利用されうるが、逆に中国革命に協力した日本人を知らせることで正の認識を与える契機ともなる。先に述べた日中歴史共同研究は安部首相の発案でもあり、それを認めた上、南京で南京事件、日中戦争をおわびする場所としては最もふさわしい。これは日中関係を劇的に修復する可能性をもつ。是非とも東京オリンピックに前には中国との関係を修復し、正常な経済状況に戻しておきたいものである。

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