2015年10月26日月曜日

ロレックス人気


 もうすぐ60歳。何か心機一転しようと思い、まず時計の新調を考えた。

 最初の時計は、セイコー5(ファイブ)で中学の入学祝いに買ってもらった。高校になると、親の知人からスイスの名は忘れたが、42石という中古の時計をもらい、気に入っていたが、どういう訳か、自宅で泥棒に盗まれた。そして20歳になった記念にロレックスの時計を親が知人に頼み、香港で買ってきてもらった。確か10万円くらいであった。その後、一度だけ日本ロレックスでオーバーホールしただけで、ほぼ35年、ほとんど狂うこともなく、毎日、肌身離さず、使ってきた。ところが8年ほど前に急に動かなくなり、弘前市の小さな時計屋で修理とオーバーホールをしてもらった。その後、5年前にはバンドが壊れ、修理。昨年は落としてガラス部分にひびが入り、リューズが閉まらなくなり、一日数分も狂うようになった。そこで二度目の修理とオーバーホールをしてもらったが、リューズの部品がなく汎用のものに変えた。何だか自分の体のようで、さすがに長年のくるいが出たのか、最近は故障が多い。それでも直すと一日に1秒くらいしかくるわないので、このまま使おうと思ったが、この際、新しい時計に変えて心機一転しようと考えた。

 調べてみると、私のロレックスは1976年製のオイスターパーペチュアルで、1002という形番号である。この時計のムーブメントは、ロレックスのムーブメントで最高傑作と言われるCal.1570であり、高精度、最もタフなものである。道理で40年間も毎日使って狂わないはずである。最新式のムーブメントの素晴らしいといわれているが、こうした履歴がないため、今後40年使えるかわからない。少なくともCal.1570について40年は十分に動くことが立証された。

 そこで改めてロレックスの値段を調べてみた。20年ほど前から狙っていたサブマリーナという機種がある。昔は40万円くらいで高いなあと思っていたが、驚いたことに今では80万円以上する。さらに人気があるため、定価より実売価格が高い。80万円と言えば、軽自動車が買える値段である。さすがに高いと他の機種を探すと、入門機であったエクスプローラーもプレミア価格となっており、さらに驚いたことに中古品も高い。私の時計はボロボロで値段はつかないが、コンデションがよければ40年前のものでも20万円以上で売っている。ロレックス自体が、知らぬ間にえらい人気になっていて、新品どころか中古も異常人気なのである。確かに5年前は1ドル80円だったのが今は120円で1.5倍になっているので、値が上がるのはわかるが、他の輸入高級時計、フランクミューラーなどはかなり値引きされているので、異常人気はどうもロレックスだけということになろう。そう見ると、家庭画報などのセフレ向けの雑誌にもロレックスの広告は少なく、広告しなくても売れるのだろう。

 先月、大阪の高島屋デパートで、時計を見ていると次から次へとお客さんが来て、見るだけでなく、買って行く。中国人の観光客も多い。店員にスマホの写真を見せながら聞いており、どうも買う気まんまんである。おそらく一日数台は売れるとすると、月で100台、年間で1000台売れれば、70万円×1000台の7億の売り上げとなる。

 グランドセイコーには、スプリングドライブというクオーツと自動巻のハイブリットの最新の時計がある。性能的にはすばらしく、クオーツと違い、電池も必要ない。ただこの先、あと一本の時計で済ますとすると、ロレックスにはかなわないように思われる。といってロレックスは価格的には異常に高く、もう少し値が落ち着くのを待とうと思う。あまりに異常な値動きで、もはや投機物となっており、実体価格とはかけ離れたものである。それにしてもスイスの時計メーカーはがんばったものである。セイコーがクオーツを出したのは1969年。70年代になると安価な時計でも、性能からみればロレックスを凌駕することになり、当時、売れ行きは急速に減少し、80年代も一部のファンを除いて、人気はなく、このままつぶれると思われた。ところが高級機械式腕時計という別のジャンルを作り、若者を中心とした流行を作り出した。こうした活動は、次第に大きな流れとなり、現在はおそらくピークであろう。何しろ、私の持っている40年前のオイスターパーペチュアル(1002)と最新型を比べると、サイズ、重量とも大きくなり、精度はそれほど差がなく、値段は5倍になっている。さらに数年に一度のオーバーホールには数万円がかかる。通常の商品では絶対に売れないもので、これは完全な趣味の世界であろう。

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