2015年11月8日日曜日

各国の貨幣制度



 韓国の通貨、ウオンのレートは、1ドルが1136ウオン、1円が0.106ウオンとなる。日本でも消費税がなければ、1円を実際に使うことはあまりないし、1個=1円の商品は少ない。アメリカでも最小貨幣の1セントは1.2円、まあ近代社会では商品の最小価格は日本円で1円くらいであろう。ところが韓国では1ウオンは0.1円、最大紙幣が50000ウオン、すなわち5000円くらいである。これでも発行されたのは2009年からで、それまでは10000ウオン、1000円が最高額紙幣であった。

 どうしてこんなことになったかと言えば、ウオンの為替変化を見れば納得する。ウィキペディアによれば、1945年のウオン/ドルレートは1ドルが15ウオンであったのが、1951年には6000ウオンに上昇、これではいけないと、1953年に新通貨ファンを作り、100ウオンを1フォンとした、結果、1ドルは60ファンとなった。ところがインフレにより再び、1961年には1ドルが1250ファンとなった。そのため、朴大統領は10ファンを1ウオンとし、結果的には1962年には1ドルが125ウオンとなった。ここまでで、1ドルに対するウオンのレートは、1945年から1962年までに800倍になったことになる。さらに現在は1ドル=1200ウオンとすれば1962年から10倍、つまり1945年からは8000倍になったことになる。すべてがインフレによるものではないにしても、この上昇はひどい。ちなみに日本の円は1945年、1ドルが15円であったものが、1949年には360円、そして2015年で120円であるから、1945年に比べても8倍程度の上昇で、1945年に比べると逆に1/3に下がっている。韓国の上昇率の1/1000あるいは1/30と言えるかもしれない。

 実際に韓国では1ウオン硬貨は廃止され、最小額硬貨は10ウオンである。ちなみに硬貨は1050100500ウオンの4種類、紙幣は100050001000050000ウオンの4種類となる。日本人の感覚からすれば、1000ウオンの硬貨がなく、紙幣しかないのは使いにくいだろう。アメリカドルは硬貨が15102550100セントの6種類、紙幣は125102050100ドルの7種類、ユーロは硬貨が125102050セント、12ユーロの8種類、紙幣が5102050100200500ユーロの7種類となる。日本は紙幣が1000(2000)500010000円の4種類、硬貨が1、51050100500円の6種類となる。

 これを見ると、韓国では10ウオンが最小額となり、これ以下の硬貨がないということは、今すぐに10ウオンを1新ウオンにするデノミを行っても全く問題がないことを意味するし、貨幣価値からすれば、そうすべき時期である。逆に日本の500円硬貨はドル、ユーロに比べてもかなり高額の硬貨である。

 ついでに中国の元(園)についてみて見ると、1955年にデノミを行い、10000元を新1元とした。その後は、米国ドルとのレートでみると、1971年まで1ドル=2.4618元であったのが、最新のレートでは1ドル=6.3528で約2.5倍である。1元=19.39円となる。紙幣は100元、50元、20元、10元、5元、1元、硬貨は1元、5角、1角、5分、2分、1分となる。1元が10角、100分となるので、最小額紙幣は日本円で換算すると、紙幣は約20円、硬貨は0.2円となるが、2007年からは分硬貨はほとんど流通していない。逆に1981年の1分硬貨は今やコレクターでは2000元の価格となっている。つまり実際の最小額硬貨は1角=2円となり、最高額紙幣が1939円であるが、これはあまりに低い。じきに5001000元紙幣がでるだろう。

 紙幣、硬貨体系は現金、クレジットの選択と関係する。現金社会では借金がしにくく、債務者が減少する一方、韓国のようにインフレで貨幣価値が極端に変わり、高額紙幣のない社会では、どうしてもクレジットに頼ることになり、ひいては借金づけとなる。財布をみて生活を考えれば、借金はない。

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