2021年5月2日日曜日

おいしいダイバーシティー

 



 “おいしいダイバーシティー”(横山真也著)を読みました。主としてイスラム圏からの観光客への対応を述べた本で、アジアにもインドネシアなどイスラム教徒の多い国があり、そこからの観光客への、主として食を中心にした対応は早急に必要と感じました。この本の中には日本のGDP1990年ごろからほとんど変化していないのに対して、欧米では3倍くらいに、中国では7倍くらいになっていることを示す図がありました。また2019の世界能力ランキングでは日本は世界35位、アジアではシンガポール、香港、台湾、マレーシア、カタール、サウジアラビア、UAE、韓国より下です。さらに世界の企業時価総額ランキングで1989年では10位以内に8社あったが、2019年には42位のトヨタが最高で、ここ20-30年の日本の凋落を嘆いています。そしてその原因として移民の少なさ、移民に対する環境整備の不備を訴えています。

 

 確かにジャパンアズナンバーワンと言っていた1990年に比べると、 日本の世界的な評価は小さくなっており、GDPの低下もその通りです。ただ日本に住む外国人は不満に感じているでしょうか。日本に長年住む外国人では、賃金も上がらず、物価も上がらない日本はどうかという話題が多いようです。結論としては、毎年物価が上がり、給料も上がる母国より、給料も上がらないが物価も上がらない日本の方が住みよいとなるようです。各国の消費者物価の推移を見ると、1990年を100とすると日本は2019年でも変化はないのですが、アメリカは170、ドイツは140、世界平均で270になっています。実際にアメリカでは、2008年から住居費で35%、病院診療代で70%高くなっています。おそらく給料もこれ以上の増え方をしないと生活は厳しいでしょう。さらに年金も物価スライド制になっていればいいのですが、そうではなく、貯金も年々、目減りしていきます。

 

 私のところでの矯正治療費も開業して26年になりますが、全く変わっていません。もちろん、使っている製品の多くは輸入品なので、かなり値上りしていますが、テナント代も変わりませんし、人件費も通常の昇給の範囲で、値上げする要因がありません。おそらく他の業種においても、値上げがしにくい状況が続いているのでしょう。ただ日本を除く、他のほとんどの国がインフレ傾向があり、物価が上がっていることを考えれば、日本だけ、物価が上がらないというのはもはや限界にきているかもしれません。

 一方、外国から見ると、日本は本当にお得な国になっています。30年前まで、日本は他の国に比べても物価の高い国で、欧米から来た観光客も日本の食事や宿泊代の高さを嘆いていましたが、今や物価の上昇していない日本は世界から見れば相対的に安い国となり、特に欧米の人から見れば美味しいランチが1000円以下で食べられる国であり、その安さに驚くようです。またアジアの人々から見ると、30年前の賃金や物価から見ると日本は自分たちの国の3から10倍くらい高く、とても日本へ観光旅行する余裕もなかったのですが、近年、中国、タイ、ベトナムなどの経済発展により、この格差はかなり少なくなってきました。最近の統計では、上海の平均年収は160万円くらいで、日本のほぼ半分くらいになっています。中国のお金持ちにすれば、日本旅行はコスパの高く、何度も来たい所のようです。

 

 周囲の国の経済発展に伴い、日本観光の相対的なお得感はますます増加していくため、コロナ騒ぎが終われば、また多くの外国人観光客が来るようになるでしょう。




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