2023年7月21日金曜日

ゴ・エ・ミヨ 2023 青森県

 



ゴ・エ・ミヨというミシュランと並び評せられるフランスのグルメガイドがあります。ミシュランがお店自体の評価にたいして、ゴエミヨがどちらかというとシェフの焦点を合わせた評価と言われています。評価は厳しく、2023年版では全国の501店舗が掲載されていますが、最高ランクの5トックの店はわずか3つしかなく、いずれも東京の日本料理で、ミシュランでも3星をとっています。さらに次のランク、4トックのお店は、全国で42軒、その多くがミシェランでも3あるいは2星となっています。

 

ミシュランガイドではまだ宮城県以外のお店は掲載されていませんが、2023のゴエミヨでは東北地方のお店も掲載され、青森県では3トックの店が1軒、2トックの店が3軒、掲載されています。3トックは弘前市のイタリア料理店、弘前大学医学部病院近くの「オステリア・エノテカ・サスィーノ」が、2トックでは、八戸市の「カーサ・デル・チーボ」(イタリア料理)、青森市の「Kashu」(創作料理)、「アルチェントロ」が選ばれました。個人的に何度かいったことのあるサスィーノが選ばれたことはうれしく思います。

 

ミシェランガイドブック、あるいはこのゴエミヨでもそうですが、東京、大阪などの都市部にお店の評価が高く、数が多いと思います。地方では、高価な手の込んだ料理を食べるお客も少ないことも原因かもしれません。ただ地方で驚くのは富山県で、このゴエミヨで掲載されたのが9軒で、4トックが2軒、3トックが7軒で、4トックの「レヴォ」(フランス料理)は南栃市、「ふじ居」(日本料理)は富山市、3トックの7軒のうち、6軒が富山市のお店です。寿司もいれると5軒が日本料理店です。もちろんミシェランガイドでも評価は高く、「レヴォ」、「ふじ居」は2星、他に2星は2軒、1星は16軒あります。ゴエミヨで重複しているお店もありますので、ミシェラン、ゴエミヨで掲載されているお店は富山県に22軒あります。このうちさらに16軒が富山市のお店です。富山県の人口は105万人、富山市41.9万人に対して、青森県の人口は125万人、青森市29万人と県庁所在地の人口は富山市の多いものの、県の人口でいえば、青森県の方が20万人多いことになります。青森県はまだミシュランで掲載されていないとはいえ、富山県に多くのグルメ名店があるのは確実でしょう。

 

富山県は日本海に面し、青森県は太平洋、津軽海峡、日本海に面しており、いずれも魚の漁獲量の多いところです。それでも実際の漁獲量を調べると、青森県が11.6万トンに比べて富山県は5万トンと半分以下です。また野菜産出額でみても青森県が821億円、富山県は54億円と15分の1以下です。つまり料理の素材となる魚、野菜などは青森県の方が富山県より取れるようです。料理の友、日本酒についてみると、日本酒の生産量は青森県が19位、富山県は22位とこれは拮抗していまし、米の生産量でいえば、青森県は26万トン、富山県は20万トンと、これも拮抗しています。いずれにしても青森県、富山県ともに、美味しい米、野菜、魚、酒に囲まれた自然豊かな県であることは同じです。ただミシェラン、ゴエミヨの掲載店を見てみますと、青森県の場合、日本料理店、寿司屋が一軒もないことが違うようです。富山県ではゴエミヨでは日本料理では3軒が、寿司では2軒が、ミシェランでは日本料理店が7軒、寿司屋が5軒掲載されています。

 

細かくみていくと、富山県のお店も老舗のところは少なく、比較的若いシェフや板前の店で、最初からこうした評価を狙ったしつらえ、サービスをしていて、値段も地方にしては高く、だいたいディナーで2万円くらいするところが多いようです。それに比べて青森県のお店は、サスィーノは、今はディナーが18700円ですが、以前はもっと安いコースもあり、10000から15000円くらいのところが多いようです。東京に比べてディナーにそんなに高いお金をかけたくないということでしょう。実際、サスィーノでも県外のお客が多いようです。

 

東京、大阪のお店を太刀打ちするような味、サービス、しつらえをするとなると、地方でもかなり高い料金となります。富山でも県外からの客も多いとはいえ、基本的には地元の人に支えられたお店であり、こうした客層の多寡により地方の料理店の質も関係するのかもしれません。東北地方でいうと、ゴエミヨの掲載店は岩手県が5軒、宮城県が4軒、山形県が6軒、秋田県が5軒、青森県の3軒は少ないし、宮城県の4軒も少ないと思う。こうしたガイドブックの掲載店になるのは無意味なことかもしれないが、本当の小さな地方の町でも、若く、開業して10年くらいでも載ることができるので、青森の若い人のどんどん挑戦してほしいものです。


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