2023年7月27日木曜日

弘前人気

 



弘前市出身の王林さんがテレビで活躍し、そのせいもありバラエティー番組などで弘前市が取り上げられることも多い。最近も、弘前市を舞台にした2本の映画が立て続けに制作された。

 

一つは、91日から公開される『バカ塗りの娘』で、津軽塗りの職人になる若い女性を描いた作品で、監督は黒沢清門下の鶴岡慧子さんで、原作は高森美由紀さんの『ジャパン/ディグニティ』、ディグニティーとは威厳、尊厳、品位の意味である。高森さんは八戸出身で、それほど津軽塗りとは関係がなく、かなり取材をしてこの本を執筆したのだろう。この映画は全編、弘前市でロケしたようで、おそらく映画にも見知った場所が出てくるだろう。もう一つは熊切和嘉監督、菊地凛子主演の『658km,洋子の旅』で、弘前に住む父親の危篤の知らせを受けて不仲であった娘がヒッチハイクで弘前に旅する映画である。上海国際映画祭で、」最優秀作品賞、最優秀女優賞、最優秀脚本賞を受賞した。熊切監督は北海道の帯広市出身で、今朝の東奥日報でも、弘前ロケでは、最後のシーンで奇跡的なタイミングで雪が降ったことや、重要なシーンで弘南電鉄の信号機がうまいタイミングで鳴り出す、など幸運なことが重なったと熊切監督はインタビューに答えている。

 

アニメでは、弘前市出身の石塚千尋さんの『ふらいんぐうぃっち』は弘前を舞台で、2012年から別冊マガジンで、2016年にはアニメ化した。現在12巻、今年の6月にも最新刊が発行され、アマゾン評価も1093人から4.9の高い評価を得ている。アニメの聖地巡礼で弘前に来るファンも多い。また羅川真里茂さんは八戸市出身だが、津軽三味線奏者が主人公の『ましろのおと』を書いて人気がある。また青森県出身で弘前大学の学生、新桃限さんは『爺さんばあさん若返る』を書いている。題名の通り、津軽に住むじいさんとばあさんが突如、若返る物語で、すでに百万部を売れた。こうした津軽、弘前を舞台にした漫画、アニメも多い。

 

お笑いの分野は、津軽人は弱いと思っていたが、2014年にキングオブコントで優勝したシソンヌじろうも最近はよくテレビに出るし、青森では“青天の霹靂”のコマーシャルポスターが町中に貼られている。また2023年のG-1グランプリで優勝したお笑いコンビ、モダンタイムズも二人とも弘前市出身である。また女優さんでは、仮面ライダーシリーズで活躍している浅倉唯さんや、これはお隣の平川市出身の駒井蓮さんはテレビ、映画でよく出ている。

 

ロックではGLAYのギタリストのHISASHIさんは弘前市出身だし、最近は世界的にも人気のある人間椅子の和嶋慎治と鈴木研一は弘前市出身で、和嶋のチョンマゲ姿は街でよく見る。YouTubeでの視聴も1300万回を超えている。

 

また最近発表された、レストランガイド、ゴ・エ・ミヨは、フランスではミシュランに匹敵し、より味の評価が厳しいガイドブックである。今年度のゴエミエはミシュランと違い、地方での名店も評価されている。青森県からは3トックに弘前市のイタリア料理店、オステリア・エノテカ・サスィーノが選ばれ、2トックには青森市のKashu(創作料理)、アルチェントク(イタリア料理)、八戸市のカーサ・デル・チーボ(イタリア料理)が選ばれている。ゴエミヨの掲載店は501店舗で、最高の5トックは全て東京のお店で、4トックは42軒で、5あるいは4トックは、ほぼミシュランの3か2星なので、3トックはミシュランの1星くらいに相当する。近くの虹のマートの中にできたラーメン屋、麺屋コルトンもサッシーノの笹森シェフが監修?しているお店で、手頃に行ける。

 

アーティストでは、現代絵画では世界的に人気のある奈良美智は、文京小学校、弘前三中、弘前高校と純潔の弘前人である。またアウトサイダーアーティストのGOMAさんも弘前市出身で、地元では引っ張りだこで、多くの作品が弘前の至る所にある。その独特の画風は、一種の個性とみなせ、アウトサイダーという枠組みを外しても、素晴らしい。ただ奈良さんもGOMAも、その作品には青森、あるいは津軽らしさが全くないのは面白い。郷土の風土は、重層部に沈殿し、作品にはその面影は全く出ていないのは共通している。青森といえば、版画家の棟方志功がいて、その作品には津軽の風土が強く匂いが、一方、抽象画の佐野ぬいさんや版画家の天野邦弘の作品には、そうした要素は全くない。

 

こうしてみると人口17万人しかいない地方都市にしては、弘前は頑張っている。毎日、どこかのテレビに出ている王林ちゃんの夢は青森県知事になることのようだが、今でも県会議員くらいは当選するだろうし、比例代表の参議院議員もタレント候補で可能かもしれない。

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