安倍政権のことをよく知る人からすれば、北村滋内閣情報官ほど重要な存在はないという。この人は、あまり知られていないが、安倍晋太郎元首相の最側近の官僚で、首相に入るほとんどの情報を制御していた。元々は警察庁官僚で、長い間、警察畑を歩んでいたが、2006年の第一次安倍政権から秘書官として官邸に入り、2011年には民主党の野田内閣の内閣情報官となり、さらに2012年の政権交代後も引き続き、第二次安倍内閣、第三次、第四次安倍内閣でも内閣情報官であった。さらに2019年からはその高度な分析能力が買われ国家安全保障局長として、トランプ、プーチン、あるいは中国高官と会談し、安倍首相の外交政策を影から支えた。2021年7月に股関節手術のために退官し、現在、読売調査研究機構理事長に就任している。安倍内閣後もこわれて管義偉内閣でも国家安全保障局長を続けたが、岸田文雄首相とは反りが合わないのか、手術を名目に退任したのであろう。
いずれにしても2006年から2021年まで、政権交代、首相が変わっても、用いられていたのは、よほど優秀であったからである。逆に岸田、石破政権下で、これといった外交成果をあげられなかったのは、こうした人物の欠如も響いているのだろう。首相官邸にくる情報のほとんど、手紙も含めて、北村内閣情報官により検閲し、そしてその意味も含めて首相に解説するのが彼の仕事であり、首相の行動を決める最重人物といえよう。
私自身、文化大革命の失望から、20歳の頃から自民党一本でやってきたが、前回の衆議院選挙では、岸田、石破政権があまりにも酷いので、自民党以外の候補者に投票した。今度、もし高市さんではなく、小泉進次郎さんを総裁に指名されれば、完全に自民党支持を止めようと思っていたので、高市総理誕生は嬉しいことで、新たな日本の保守政権の復活を願っている。さらに高市総理は、安倍晋三元首相の信念を継承すると言っており、それには必要不可欠な存在が、この北村滋という人である。ウィキペディアで調べると、まだ68歳でまだまだ現役で働いてほしい年齢である。アメリカのトランプ、中国の習近平、ロシアのプーチン、これらに伍して、世界で戦うにはまだまだ高市総理といえ経験不足であり、それを補うのが、ベテランで経験豊かな外務大臣と北村滋さんであろう。
石破総理は置き土産に先の戦争になぜ負けたかという自身の見解を述べるそうであったが、その一因として名著「失敗の本質:日本軍の組織的研究」に述べられているように、入ってくる情報をどのように精査、分析して、それを指導者に助言するかが重要であり、ドイツのソ連参戦の情報が入ってきても、それがクズ箱に捨てられ、首相の耳に入らなければ意味をなさない。そうした意味では、内閣情報官、さらにその上の国家安全保障局長の仕事は、現在の国際社会においては最も重要な役職であり、外務畑ではなく、機密漏洩も含めたインテリジェンス活動を求められる警察畑の人の方が適している。
中国のいわゆる浸透という情報活動は驚くべきもので、政府官僚、政府首脳、野党にも中国政府の協力者、内通者がいるかも知れず、情報漏洩も含めて、総理周囲には、そうした人物を炙り出すような人が絶対に必要である。もちろん高市さんもスパイ法の成立を目指すくらいの人なので、よく知っていると思うが、安倍首相の路線を継続するのは、まず北村滋という人を利用する以外に方法はなく、三顧の礼を持ってでも早急に内閣に迎えるべき人物である。
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