2007年5月4日金曜日

q&A 治療は早くからした方がよいのですか(上顎前突))



上の歯が飛び出ている上顎前突も、単純に歯が出ている場合(歯槽性)と上あごが大きい、下あごが小さい骨格的なものに分類されます。前者の場合は成長終了してから治療してもよいと思いますが、後者の場合は早期の治療が必要と思います。上あごの大きい場合は、上の前歯にブラケットをつけワイヤーで上の前歯を押し込みながら(圧下)、ヘッドギアーを併用します。上の歯茎が笑うとかなり見えるひとがいますが、成長期にこのような治療を行うことで改善が期待されます。
多いのは下あごが小さいタイプです。ヨーロッパでは古くから機能的矯正装置と呼ばれるプラスティックでできた取り外しのできる装置での治療が盛んに行われていました。上の写真下のような一塊の装置で(モノブロック)、夜間に着用して下あごの成長を促進させるものです。アンドレーセンというひとが開発した装置が有名で、私のところで使っているのは九州歯科大学の佐藤前教授のタイプです。その後、頬、口唇の筋肉の力を遮断することで成長を促すフランケルというひとの開発した装置が脚光を浴びましたが、最近では装置製作や調整が難しく、あまり使っていません。90年ころからイギリスのクラークというひとが開発したツインブロックが学会誌などでよく取り上げられるようになりました(写真上)、これは装置が上下に分離され、終日着用ができるものです。5、6年前からクラークの書いた本や岩手医大、奥羽大学の先生の意見を参考にして使用しています。製作、調整はそれほど難しくはなく、終日使用は十分可能で、効果は高いと思われます。ただ急速な変化が起こるため、奥歯が開いた状態になります。その後は上だけの簡単な装置で奥歯が咬むように持って行きますが、その期間も含めるとそれほど治療期間の短縮はないように思えます。またすべての機能的矯正装置に当てはまることですが、効果があるひととないひとがいます。一般的にはあごのがっちりしたタイプでは、これは白人に多いのですが、効果が高く、逆にきゃしゃなタイプでは、日本人に多いのですが、効果が少ないようです。
上顎前突の歯だけの移動による治療は大変難しく、わたしのところでは成長期にある骨格性上顎前突では積極的にこのような機能的矯正装置を使用しています。効果が高い場合は非抜歯での治療も可能になりますし、またヘッドギアーの併用などが回避されるためです。通常にタイプでは一日11時間以上、ツインブロックでは終日使用します。だいたい8歳ころから12歳ころに使用します。

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