2010年3月12日金曜日

年齢換算



 相撲の力士はどうして、ああも年齢の割に老けているのだろうか。テレビで貴乃花親方を見るが、どうみても50歳はいっている落ち着いた対応で、とても世間の37歳には見えない。同様にお騒がせ元横綱の朝青龍にしても29歳とは思えない。

 ある調査によれば、昭和55年から平成14年の幕内力士100名について寿命を調べたところ、平均寿命は63.6歳とのことであった。あれだけ、太っていれば、いろんな病気にもなろうし、早く死ぬのだろう。とすれば、早く死ぬのが漠然とわかっているので、生き急ぎ、老成化が早いとの仮説も成り立つ。人生60年と思えば、朝青龍の年齢29歳はちょうど寿命の半分となり、一般の年齢40歳と思えば理解しやすい。

 江戸期では15歳で元服が行われ、一応大人の仲間入りをしたが、現代では20歳で成人式が行われる。また江戸、明治期の乳幼児死亡を除く、20歳まで生きた成人の平均寿命は約60歳であるのに対して、現在の平均寿命は80歳である。これを基準に15/20、60/80、すなわち3/4を年齢換算と考えれば現在日本人と江戸、明治期の人々と実年齢の比較をしやすい。

 例えば、坂本龍馬は31歳に亡くなったが、この年齢換算によれば41歳で、ちょうど壮年期に当たり、これからまだまだ活躍できる年齢であった。高杉晋作は28歳、換算で37歳、これは早い死である。西郷隆盛は49歳、換算で65歳、大久保利通は48歳、換算で64歳、木戸孝允は44歳、換算で59歳と、政治家としてはベテランの部類に入り、西郷が引退したいと思うのはわかる年齢である。ちなみに江戸期では、だいたい50歳ころで大店の主は引退して息子に代を継がせたが、この50歳を換算すれば、現在の66歳で、今の会社でも完全リタイヤーして老後の人生に入る年齢であろう。

 孔子の15にして学を志し、30にして立ち、40にして惑わずという言葉も現代人にとっては、実現は難しいものだが、換算すれば20歳にして立ち、40歳にして立ち、53歳にして惑わずとなり、現実に即している気がする。

 インドやアフリカなど現代でも平均寿命の低い国の人々は、我々日本人からすれば驚くほど大人びている、老けていると感じる。女のひとで40歳を過ぎると、容姿、精神的にも、極端な言い方をすれば老人となる。おそらく寿命の短い国、時代では、それだけ人々に求められる責任、仕事、務めが早くやらされるため、今の時代に比較すれば早熟、老成化するのであろう。すなわち環境が老化、早熟化に影響すると考えられ、これは軍隊組織で見ればよくわかる。戦時中の日本軍をみても、22,3歳で少尉、中尉、30歳くらいで大尉、少佐をなる。そして多くの部下を持ち、命令を下すようになると、一気に早熟化、老成化が進む。大戦中の士官の写真を見ると老けている。

 こういった点を考えると、犯罪の低年齢化とそれに伴う少年法の改正が叫ばれているが、これは寿命が延びるにつれ、精神的な成熟は遅れるが、一方肉体的な成熟は早まっている、このギャップによるものとも考えられる。つまり昔は15歳で精神的に大人と扱ってもよかったが、今では20歳でようやく大人と見なし、それまではいくら体を大きくとも、精神的には子供として扱う、あるいは見なした方がよいのかもしれない。

 ちなみに写真下は韓国人、日本人、タイ人の女性の平均顔である。

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