2016年2月1日月曜日

国産ステルス機 初飛行



 ステルス性能をもつ先進技術実証機(ATD-X心神)の飛行試験がようやく始まる。当初は一昨年に飛行を開始していたはずであったが、何度か延期され、ようやく今年の2月に初飛行の予定である。機体設計はかなり練られたもので、フランスの実験施設における模型実験でも低いステルス性能が確認され、実機も低いと思われる。F35と同程度、あるいはそれより少し低く、F22には負ける程度のレーダー反射断面積であろう。

 今後の飛行実験を通じて、飛行性能がはっきりしてくると思うが、あくまで先進技術実証機なので、国産エンジン、ステルス機体、新型レーダーの性能確認とそれらの統合性能をみるのが目的である。また推力偏向機構を持つはじめてのエンジンであるので、その飛行制御も試したいところである。中国では、すでにステルス戦闘機としてJ-20J-31などがあるというが、まだ量産化までには改良が必要であろう。J-20は全長が22mもあり、F22もかなり大型だが、それより3mも長く、重量は3000kg重いのに、エンジン出力は2割ほど小さく、機体も鈍重な感じで実用化は厳しい。さらにエンジン開発に相当苦労しており、原型のロシア製に性能的に劣り、中国がまともなステルス機を配備するようになるのはまだまだ先であろう。ちなみに中国のステルス機はアメリカのF22F35に対抗したもので、大きさもF22が全長19.6m、重量14000kg対してJ-20は全長20.7m、重量17000kg一回り大きいが、類似している。またF35は全長15.7m、重量13000kgに対して、J-31は全長16.8m、重量12500kgと近い。ロシアのPAK-FAは全長が19.8mF22J-20と同クラスとなる。

 アメリカ軍はF22があまりに高いため(250億円)、F35とのハイ・ローミックスを考えていた。当初、F3550億円くらいとされていたが、次第に価格が上がり、今や120-150 億円くらいすると言われている。これではハイハイミックスとなり、まだまだF-15F/A-18Cスーパーホーネットを現役で使うことになろう。さらにF22が生産終了なので、事実上アメリカ軍のすべての機体がF35になることになるが、現行のF15F16F/A-18Cをすべて一種類にするのはやや怖い。

 この際だから、韓国が開発することになったK-FXに近い機体をアメリカと共同開発したらどうだろうか。韓国の次期戦闘機はまだはっきりしていないが、F16並みの小型で低価格の半ステルス機をねらったものである。ただエンジン、計器、レーダーのアメリカからの技術支援はなさそうで、さらに肝心の開発費が少ないことから、実現はほぼ無理であろう。それでも全世界で用いられているF-16に変わるべき機体の需要は多く、今のところはF35を購入する方向になっているが、正直言って高すぎるので、機数を増やせない。もう少し価格が安くて汎用性のあるステルス機が必要となろう。純日本製の第二の零戦もいいが、開発費と生産数を考えると、国際共同開発が必要であり、アメリカとの共同開発が理想的ではあろう。インドはすでにステルス機をロシアとの共同開発(FGFA)や自主開発(AMCA)があるため、日本との共同開発はないが、アメリカ以外ではイギリスにはロールスロイス社があるため、HISとのエンジン技術の開発に役立つ。韓国とは色々な問題はあるが、K—FXがアメリカからの技術提供がなくて頓挫していることから、日本との共同開発はうれしい話である。

 
 国産哨戒機のP1の開発費、調達価格は、ライバルのアメリカのP-8の半分程度と言われており、寡占化の進むアメリカの飛行機メーカーより、日本のメーカーの方がコスト意識が強いように思える。そうした意味では、今回行われるATD-Xの試験飛行は次期戦闘機F3の出発点であるばかりか、うまく実用化できれば武器輸出につながるかもしれない。隣国との防衛上、性能の優れた戦闘機を数多く配置することが、抑止力となる。

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