2017年4月17日月曜日

津軽のブランド化、国際化


2013年、インドのファッションショー

作年の京都造形芸術大学の学生の作品、京造ねぶた展、先を越されました。


 本日の弘前ロータリークラブの卓話では、弘前商工会議所会頭、清藤さんの話があった。クラブの会員でもある清藤さんは忙しそうであったが、元気そうでなりよりである。その話の中で、今年の4月、イタリア、トリエンナーレの見本市に行った時の話があった。会場でも最も目立つ場所に設けられた弘前の展示ブースは、好評であったとのことだが、一方、津軽塗、ブナコ、こぎん刺し、津軽刃物、あけび細工などの伝統工芸が弘前にはたくさんあるが、そのものをただ出すだけでは売れない、それを現代的なデザインとコラボすることで、売れる商品になることを力説していた。そして成功例?としてブナコを取り上げ、今やフランス、パリにも出張所を設け、ヨーロッパへの販売拠点にしようとしている。この意見には大賛成である。

 例えば、“ボロ”と呼ばれるつぎはぎ衣料、これは青森県の農家は貧乏なため、穴が開いた衣料に違う布地を継ぎはぎしたものを指し、田中忠三郎さんのコレクションが有名で、東京のアミューズミュジアムに展示されている。すでに神戸、十和田の美術館でも展覧会が開催された。これなどは、少し前まではそんな汚いものと地元民にも忌避されていたが、近年のジーンズにも活用され、俄然脚光を浴びるようになった。こぎん刺しも同じような発想で、青森県では寒い地域のため、綿が生産されず、麻しか生産できなかった。麻は弱く、防寒にならないので、綿糸で補強したのが、こぎん刺しである。“ボロ”も“こぎん刺し”も、過酷な自然環境が生んだ生活の知恵であり、それが現代、新しく見直されている。確かにこぎん刺しは津軽土産になっているが、それではボロはというと、そうした動きは地元のファッション業界にはない。ジーンズの染料である藍も津軽藍という地元物産があるにも関わらず、これらが総合した弘前ブランドに発展していない。おしいことである。

 さらにねぶた、ネプタは、内部から光で浮き立たせるという、極めて珍しい立体アート様式にも関わらず、三国志、水滸伝など題材がマンネリ化しており、ただの伝統的なものになっている。大きく、立体で、中から光で浮き上がらせるアートとしての価値は高く、その技法を用いて、全く既成概念にとらわれない、巨大なアートを創生してもよい。数年前の弘前ネプタでは、地元出身の現代画家、奈良美智さんの作品をモチーフにした前ネプタが沢山でたが、どれも素人の幼稚なもので、芸術作品とは呼べない。内部の光、本体を覆う材質などもっと工夫をして、見るものをあっと思わせるようなアートにできよう。これなどは大まかなネブタのテクニックを示し、世界中のアーティストに共作させるプロジェクトがあってもよい。

 津軽は非常にたくさんの面白いものがあるにも関わらず、それを有効に使っているとは思えず、それを日本に、世界に発信し、商品化するのは、どうしても外部の人の力を借りなくてはいけないし、特にコラボするには柔軟な発想とコミニケーション力が求められ、そうした若者がもっともっと、この地で生まれれば、まだまだ捨てたものではない。さらに言うと、明治二年弘前絵図で弘前城、作業所で生産されていた、とめ縄、すだれ、鼠尾(筆)、網藁や兼平石など、今はほとんど廃れているが、少なくとも江戸期にどのような製品を作っていたかの調査と、それの現代風の活用も検討してほしいところである。


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