2017年4月20日木曜日

アメリカの考える現代戦 キルレーシオ100以上


  面白いのは韓国軍の行進スタイルが日本に似ている(旧日本軍の残滓)


 湾岸戦争以降、戦争形態はそれまでのものと全く様相が変わってきている。すなわち、いかに自軍の兵士の死傷者を減らして、多くの敵を殺戮するかということに重点が置かれるようになった。世界最強のアメリカ軍でも、太平洋戦争はもちろんのこと、朝鮮戦争、ベトナム戦争においても、ある程度の自軍の損害を覚悟して戦ってきた。太平洋戦争のアメリカ軍の死傷者数は、戦死108000人、負傷170000人、事故死48000人であったが、朝鮮戦争では戦死33000人、負傷103000人、ベトナム戦争では戦死46000人、負傷30万人以上となっている。感覚からすれば、日本と戦った太平洋戦争が圧倒的に犠牲者も多いように思えるが、朝鮮戦争、ベトナム戦争での犠牲者も意外に多い。ところが湾岸戦争では戦死者300人、負傷者770人、イラク戦争になると戦死者は4500人、負傷者は32000人となっている(これに関して戦死者数は15000人以上との報告もある。イラン軍との直接の戦争にあった2003年の戦死者数は480人程度であったが、その後の占領期に多大な戦死者をだした。)。一方、対戦相手の戦死者数は、日本では陸海軍合わせて約200万人、北朝鮮40万人、中国50万人の計90万人、ベトナムでは90万人以上、イラクでは湾岸戦争では20000-35000人、イラク戦争では13500-45000人とされている。キルレシオという、戦闘機の空中戦における損害比率を表す単語がある。これに従えば、兵士の死亡者だけで言えば、太平洋戦争では日本軍/アメリカ軍のキルレシオは20くらい、朝鮮戦争では30(韓国軍も入れると9)、湾岸戦争で100、イラク戦争では30-100程度となる。ちなみに対ISIS空爆のキルレシオは今のところ15000となっている。

 こうしたことから湾岸戦争以降の戦争では、アメリカ軍ではアメリカ兵1名を戦死させるのに、敵側は100名の犠牲者を出す。これはミサイル、空爆など地上軍を投入しない戦いによるものである。湾岸、イラク戦争では多くのイラク兵は全く戦うこともなく、いきなりミサイル、空爆によって消滅した。これはもはや戦争というよりは虐殺に近いもので、おそらく北朝鮮でもし戦争がおこれば、さらにキルレーシオは上がる。なぜなら北朝鮮の軍事力はイラク軍より旧式であり、アメリカ軍との軍事力の差は大きい。北朝鮮の制空権がアメリカ軍の支配下に置かれると、後は空爆とミサイルによる一方的な袋たたきとなる。

 北朝鮮は長期の経済制裁下にあり、北朝鮮では、武器、弾薬、あるいは石油、食糧など基本的な物資の極端な不足をきたしており、もはや長期間の戦争はできない状況である。戦いに勝つどころか、軍対軍という本来の戦争概念からすれば、キラーレシオが数百になってもおかしくはない。すなわちアメリカ、韓国軍の数百の犠牲者に対して、北では数十万人規模の兵士の犠牲者が出る。かって旧日本軍はアメリカに対して無謀な挑戦を行ったが、それでも勝機はあったし、また軍備についても十分なものがあった。あるいはアメリカに勝ったベトナム軍を想起するかもしれないが、現代戦はこれら旧式の戦争とは全く違う。テレビでは、日本あるいは韓国の被害シュミレーションばかり流すが、一方で北朝鮮軍の損害についてはコメントされない。


 相手の顔が全く見えないまま、一方的に攻撃される。この恐怖はおそらく体験しないとわかないもので、万一、北朝鮮との戦争がおこっても、アメリカ軍はこうした戦略を徹底する。現代のアメリカ軍は、キルレシオが100以下の戦争をしない方針を立て、それに達せない場合は失敗とみなす。こうした相手がアメリカ軍であり、北朝鮮は覚悟した方がよい。

 核、ミサイルを除く北朝鮮の唯一の抵抗は、ゲリラ戦あるいはテロしかなく、ミサイル防衛とともに、日本国内の北朝鮮工作員の潜伏をあぶり出す組織犯罪処罰法は極めて重要な法案となる。平和と安全をはき違えた野党の姿勢には、家に鍵をかけ(防衛)、防犯カメラを準備し(情報偵察)、不審者を見張る(共謀罪)という常識的な対応とかけ離れている。おそらく野党、左派系の人々は、近所に殺人犯がいても、絶対に家の鍵をかけないだろうし、もちろん警備会社による防犯もないのだろう。

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