2018年8月19日日曜日

これからどうする韓国、中国メーカー



 韓国のサムソン電子は、携帯電話をはじめ、今では世界最大の家電メーカーとなっている。日本ではそれほど、家電量販店にサムソンの製品が並ぶことは少ないが、売り上げでみるとサムソン電子が24兆円に対して、日本最大のパナソニックは75500億円と1/3くらいしかなく、また経常利益もサムソンが57000億円に対して、パナソニックは4100億円と1/10以下である。圧倒的な差である。

 ところが30年前までは、サムソンは日本企業の模倣に終始し、スパイを送ったり、東芝やソニーを退社した人を高額で雇い、その技術を盗んだ。あるいは日本企業が開発し、販売した状況をみてから、その技術を短時間でマスターし、豊富な資金量により大量に低価格で販売した。日本の除く海外では、同じ性能であれば、メーカー名よりは価格を重視するため、必然的にサムソンの製品が売れた。典型的なケースはシャープで、この会社は液晶テレビの主要部品であるパネルに強い技術力あったが、容易に模倣され、あっという間にシャープは崩壊して、現在は台湾企業の傘下となった。このシャープの一件までは日本と韓国の企業は比較的仲良くやってきたが、これ以降、日本と韓国企業に協力はなくなった。むしろ日本企業はサムソン電子のまねをするようになった。

 すなわち、ある新製品が出しても、それが売れるか確認してから二番手として売り出す。最初に製品を出すところは大きなリスクが求められるが、売れるとわかった二番目の製品にはリスクは少ない。ひとつの例でいれば、かって3Dメガネでみる3D液晶テレビがサムソンで最初に売り出された。BSでも一時、3D番組もあったが、その後、2、3年でブームは去り、現在では3Dテレビなど一台もない。日本企業も一部売り出したが、損失はサムソン電子が一番大きい。現在では、有機ELテレビで同様なことが起こっている。ソニーなどのメーカーは自社で有機ELテレビが作れるが、その売れ行きが判明しない。そこで 韓国メーカーのLGからパネルを供給してもらっている。自社でのパネルの生産を含める一貫製造はやめて、サムソン流に徹している。他には、最近のカメラではやっているミラーレスカメラは、最初、サムソンカメラで始められた。非常に優秀なカメラであったが、ニコン、キャノンなど日本メーカーがあまりに強く、結局はあまり売れず、サムソンカメラ自体、なくなってしまった。この早い決断は韓国式であるが、その後、サムソンカメラがなくなったのを確認してから、日本メーカーもミラーレスカメラを販売しだした。

 こうして日本メーカーもサムソン流、つまりパイオニアはやめて、失敗作を少なくする方法をとったところ何が起こったのか。それは全く革新的で新しいものが出なくなった。実をいうと、世界最大の電気メーカー、サムソン電子が、発明した革命的な製品は一つもない。デジタルカメラ、DVD、リチウムイオン電池、ウォークマン、トランジスターラジオ、電卓、電子レンジ、イメージセンサー、カーナビ、フラッシュメモリーなど、生活そのものを変える革新的な製品は、すべて日本企業を作ったもので、これに匹敵するような製品をサムソン電子は一つも作っていない。

 日本人は韓国人より創造的とは言わないが、多くの失敗を中から生まれた革新的な製品を、模倣して稼ぐサムソン電子がトップに立った瞬間、模倣するものがなく、開発したものはすべて失敗している。ある人が言っていたが、“もしアジアに日本がなかったら、今でもアジアの経済状態はアフリカ同様であったろう。まして韓国、中国は日本の隣にあり、繁栄しないわけはない”と。確かにアジア諸国では日本に隣接する韓国、台湾、中国の経済的発展が大きく、それは隣に日本があり、その模倣をするだけで、国が成長したからである。日本は遠い西洋を模倣しようと懸命に努力してきたが、隣国ははるかに簡単に日本を模倣できた。


 さあこれから韓国、中国はどうする。電化製品だけではなく、すべて日本を模倣し続けてきた国が、新たなものを生み出す力があるか期待したいところである。高くても欲しいと思う中国、韓国のブランドはほとんどなく、唯一、韓国のアウトドアメーカのHelinox(折りたたみ チェアーが有名)くらいしかないが、このメーカーも故意に韓国メーカーを隠している。分野によっては、すでに日本を凌駕する韓国、中国企業もでてきて、そのトップになっているが、果たしてトップの責任である革命的な新製品の開発を模倣なしでできるか。蚊取り線香は日本人の発明だが、マラリア患者の減少に繋がっている。日本人には“商品により人々を幸福にしたい”という強い思いがあるように思え、これが新製品開発の一つのスタートになっている。こうした想いが、韓国や中国でも出てくるかが決め手となろう。

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