2019年10月13日日曜日

オークションで掛け軸を買う

西山翠嶂?の月下秋草図

落款


翠嶂の落款、右ページ、右上の署名と左下の印

翠嶂の印、外枠の四隅が太い

 テレビの開運何でも鑑定団は好きでよく見ているが、まさか自分が集めるほうになるとは思ってもみなかった。家を新築した時に和室を作り、ついでに床の間も作った。床の間に飾る掛け軸については、昔、尼崎の実家にあった金屏風に貼ってあった翠石の山水図とこれも実家にあった土佐光貞の土佐物語の掛け軸の二本だけであった。他には母が描いたお雛様の絵と花鳥図くらいで、しばらくはそれらを飾っていた。翠石の山水図については、当初、虎画の名手、大橋翠石のものと考えていたが、タッチが全く違うので、調べると近藤翠石という画家であることがわかった。森琴石の門下生で昭和のはじめ頃に活躍した画家で、当時はそこそこ人気のあった画家であるが、今や全く忘れられている。その後、ヤフーオークションで調べると、近藤翠石の作品が大橋翠石の絵として出品されていた。大橋翠石の作品はほぼ虎と決まっているので、近藤翠石の山水図を買う人はほとんどおらず、数千円程度で買える。

 ここからヤフーオークションでの掛け軸の購入癖が始まった。その後、近藤翠石の作品を数点購入し、ある日、オークションで唐美人とオウムという良い作品があった。作者は嶺雪とあるが、ほとんど資料はなく、唯一、沖縄県立図書館の土佐嶺雪の漁翁図が紹介されていた。たまたまほぼ同時期の作品であったので、落款が一致したので、これも数千円で購入した。その後、ヤフーオークションを見ていくと、時々、嶺雪の作品が見つかり、片っぱしから落札していった。ほとんど無名の作者なので、競合者もおらず、安い値段であった。13作品ほど集まったので、その後はよほど良い作品がない限り、落札しないようにしている。

 最近ではその他の作品も調べているが、これはと思うものは少ないし、あっても競合者が多く、落札価格も高くなり、ギブアップしている。

 私の落札方法は、まず、オークションで作品そのものの良し悪しをみる。素人なのでいい加減であるが、構図、技術やコンデションなどを見ていく。次に作者の落款を調べる。これらは大日本書画名家大鑑という全4冊の厚い本があるが、その中の落款印譜編を参考にする。この本の落款が原寸大かどうかは不明であるが、一応、大きさも検討対象にする。

 例えば、先日、購入した文化勲章受章者の西山翠嶂の月下秋草図でもオークションに載っている落款をまず比較する。すると署名の翠、嶂、それぞれの字はかなり似ているが、翠と小の字間が短く、また本来なら翠の字が嶂より小さいが、オークションの絵は同じである。かなり偽物の可能性が高い。一方、印章を見てみると、右ページ左下の印が非常に似ている。字および大きさはほぼ同じであるが、四角の囲みの四隅が少し違う。本物は四隅が厚くなっているが、オークションの印では右下のみが厚い。ただ印は押すときの力加減やスタンプの量で少し変わる。まあ50%は本物だろう。画風はほぼ西山翠嶂の雅かな京都風の作品であり、作品の内容自体は陳腐であるが、ピンクなどの色とりどりの秋草が現代風である。

こうしたことから、作品は偽物の可能性は高いものの、安ければ購入という結論に達する。一応、二万円を上限にオークションに参加する。幸い15000円くらいで落札できたので満足している。作品等到着後、印刷かチェックしたが、絵の具自体の厚みがある箇所もあり、手書きであることは間違いない。本物であれば20-30万円はするものだが、多分、偽物の可能性が高く、その場合は1000円くらいである。今時は、落款くらいなら、いくらでもコンピュータで本物そっくりにコピーできるが、一方、例えば、この作品、月下秋草図を肉筆で描き、偽物の落款を描き、装丁すれば、少なくとも偽作者への謝礼も含めて20万円くらいはかかる。本物でも20-30万円くらいにしか売れないのであれば、誰も偽物は作らない。西山翠嶂については広島県の海の見える社美術館で今年の1月まで西山翠嶂 知られざる京都画壇の巨匠”展が行われ、そのカタログ本が出ているようだが、購入できないでいる。


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