2021年8月10日火曜日

好戦国 アメリカ


 日本が近代国家となって最初の戦争は、1894年の日清戦争、そして1904年の日露戦争、1937年の支那事変(日中戦争)、最後は1941年の大東亜戦争(太平洋戦争)である。1894年当時の清国は老いたりとはいえ、世界有数の強国であり、また1904年当時のロシア、1941年当時のアメリカも、いずれも日本より巨大な国であり、戦争をしても勝つ可能性の低い国であった。戦前の日本を侵略国家、帝国主義国家とする流れもあるが、1937年の日中戦争を除けば、日本は常に自分より強い国と戦ってきた。

 

 中華人民共和国といえば、1949年の建国後、まず1950年の朝鮮戦争では、義勇軍として百万人規模の兵を投入し、アメリカを主体とする国連軍と戦ったが、その後は、1970年の中越戦争以来、ロシア、インドとの国境紛争以外は大きな戦争をしていない。中越戦争にしても実際の戦争は1979217日から316日のわずか1ヶ月程度のものであり、国境紛争といっても良い。覇権国家と呼ばれる中国だが、大きな戦争は建国当初の朝鮮戦争以来していない。

 

 アメリカはどうかと言うと、南北戦争後について見ても、米西戦争、米比戦争、第一次界大戦、第二次世界戦争、その後も朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン紛争、イラク戦争、最近ではイスラム国家へ対ISIL戦争と、ほぼ切れ目なく戦争を起こしている。世界中でこれほど好戦的な国はない。兵および兵器の質は、実戦で鍛えられるので、アメリカ軍ほど強い国はなく、通常兵器でいえば11隻もの大型空母を保有しており、中国が2隻の空母を保有しているといってもその能力はアメリカと比較にならない。同様に空軍、陸軍とも圧倒的な強さを誇る。こうしたアメリカ軍とまともに戦争をしようとする国はない。国同士で問題があれば、戦争をちらつかせることで脅す。これがアメリカのやり方であり、脅すだけでなく平気で戦争を起こす。こうした事実を見れば、アメリカこそが最も好戦的で、覇権主義国であることは間違いなく、中国の最近の軍備拡張も、アメリカを恐れてのことであり、もちろんアメリカを凌駕するような軍隊を作ろうとは考えていない。逆にアメリカは、冷戦下のソ連のように軍事費の増大による中国の内部崩壊を望んでいるのかもしれない。

 

 アメリカのタカ派、戦争好きから見れば、中国の南沙諸島への軍事的進出が一番、美味しい。できればアメリカ駆逐艦がこの地域で、中国軍の攻撃を受けるくらいが一番良い。そうなればアメリカ海軍は大手を振って第七艦隊を派遣でき、占領下の南沙諸島のどれかの島を攻撃できる。もちろん中国は激怒するだろうが、アメリカ空母を攻撃することはアメリカとの全面戦争を意味するため、政府としてはこれ以上の紛争拡大は望まないだろう。ただ中国世論、新聞やテレビ、ネットはより好戦的な流れとなり、場合によっては共産党政権のつまずきに繋がり、アメリカはより強圧的な姿勢をとり、政権を揺さぶるかもしれない。ここらがアメリカの最も得意とするやり方で、ちょっとしたことでいちゃもんをつけて、銃を突きつけて脅す。

 

 実際、中国軍がどれだけ強いかは全く未知数であるが、個人的には日清戦争当時の清国程度、強いと言われていたが実際はたいしたことなかった、ではないかと思う。中国海軍は2隻の空母を持つといっても、第二次世界大戦以来の歴史のあるアメリカ軍とは雲泥の差があり、最新のジェラルド・フォード型は2隻の中国製空母の数倍以上の破壊力がある。中米の空軍力にも相当な差があるし、陸軍においてもあれだけ戦争経験のあるアメリカ陸軍との差はかなり大きいし、中国も朝鮮戦争のような人海作戦も今は取れない。こうしたことを見極めた上のアメリカの中国への経済攻撃は巧みである。中国とアメリカ、どちらが戦争をするかといえば、これまでの歴史からみてアメリカがする可能性が高く、中国による台湾侵攻ができるか、これは大きなチキンゲームとなろう。ちょうど太平洋戦争前に日本による仏印進駐のような状況である。

 


 

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