2009年11月20日金曜日

第68回日本矯正歯科学会大会



 11月15日から19日まで日本矯正歯科学会大会参加のため、福岡に行ってきました。学会自体は11月17日と18日でしたが、今回は専門医更新試験を受けるため、長期の出張となりました。

 日本矯正歯科学会の専門医制度は、試験に合格すれば自動的に更新されるものではなく、5年ごとに更新試験を受けることになっています。ジャンルを問わない3症例(保定終了2年以上)を提出して、合否を検討します。一応、今年度から更新受付を始め、今年は1症例の提出でもよいのですが、平成23年度までには3症例を提出して合格しなければ、資格剥奪となります。他の専門医制度では学会に参加し、ポイントを集めれば更新できるのに対して、きびしいものと言えます。幸い3症例提出して合格しましたので、しばらく安心です。今回は2006.6から1年間に終了した症例の中から選ばなくてはいけませんでしたので、3症例といっても準備は結構大変でした。患者数もこれからは減っていき、更新も難しくなってくるでしょう。

 学会自体は、やや停滞した感じがしました。参加者は以前に比べて増えたようですが、研究内容もあまり新鮮みがなく、我々臨床医からすれば、それほど臨床に使えるものはありません。大学の教官自体が学位を基礎でとったせいか、大学の研究自体も臨床とは直接関係ない、研究のために研究といったものが多く、なおかつ理学部などの基礎から見れば陳腐な内容です。いつも思うのですが、歯学部という専門学校のようなものが、医学部や理学部のような大学に背伸びして見栄を張っているような気がします。基礎をやるなら、他学部の基礎講座に行き、そこで研究をして基礎の学会に出すべきだし、歯学部の教官から指導を受けるより、よほど効率的ないい仕事ができると思います。福岡というとかって高濱先生という大変ユニークな教授が九州大学にいました。機能、遺伝と咬合、顎骨というテーマで大変興味深い研究をされ、その後も中嶋教授が継承されています。一度、高濱先生の指しゃぶりの講義があり、コレクションしている何百枚写真を提示され、指しゃぶりの実際、手の指のみならず、足指から、アクロバティックな指しゃぶり法など教授いただいき、驚いたことを思い出します。こういった不正咬合はなぜ起こるのかといった根本的な問いに対する研究は以前多かったのですが、最近ではほとんどありません。

 矯正学会というと、業者展示も大掛かりですが、今回は会場が離れていたため、行ったり来たりが大変でした。昔は、この2日間で年間の売り上げの半分を稼いでいたため、熱気がありましたが、今では事前にほとんどファックスやメールで注文するため、熱気はかなり薄くなりました。業者の人も顔なじみが多いのですが、転職が多く、それも他の矯正会社に移るため、誰がどこの会社かしばしば混乱します。この商売は覚える商品が多すぎて、一人前に成るためには時間がかかりますし、矯正治療自体もある程度知識が必要なため、どうしても同じ分野の会社に務めるのでしょう。私自身はこういった矯正材料の業者も患者さんの治療にはかかせない存在だと思いますし、より安全でよい商品を開発してくれることで患者さんにとっても助かります。

 学会も年に一度、友人にあう機会ですが、今回は遠方のためか、学会場が広いためか、あまり会えませんでした。

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