2018年4月2日月曜日

本の寄贈



 先日、弘前市立図書館に笹森儀助の「南嶋探験」(明治27年)を寄贈しようと訪れたところ、本の寄贈は一切受け付けないと断られた。係員に聞くと、収蔵庫が一杯のためだという。数年前に、やはり明治二年弘前絵図(オリジナル)を寄贈しようとしたときも最初、同じことを言われた。絵図、本、古文書ともに弘前図書館では基本的には寄贈はできないようだ。

 同様なことは弘前博物館でもそうで、収蔵庫が一杯で、市民からの書画、美術品などの寄贈、寄託は断っている。一方では、本、美術品の購入資金がないといいながら、他方では寄贈は受け付けない、これは全く矛盾しており、さらに言うなら、郷土の貴重な資料、美術品が地元に全く残らないことになる。おしいことである。

 この時点で、図書館の対応に少し腹を立てたが、よく考えると、図書館、博物館側の対応にも一理ある。実際の市民からの寄贈となると、読書家の主人が亡くなり、集めた本を捨てるのは惜しいからといった場合や、代々家宝として伝わる品で、博物館に展示してほしいという寄贈もあろう。こうして持ち込まれる本や物の中には、大変貴重なものもあるだろうが、ほぼ99%は無価値のもので、図書館、博物館も必要ないものである。管理、保管の手間を考えると、こうした無価値なものをすべて受入れることはできず、基本的には寄贈を断った方が手間を省ける。もちろん図書館自体の予算が限られ、新刊本購入以外の予算、つまり古書購入の予算はない。そのため、新刊本については年々、蔵書は増えるが、寄贈を断ると、古書の蔵書は増えないことになる。

 私もよく図書館を利用するが、郷土史関係の図書に限っても、結構図書館の蔵書になく、近くの古書店にある場合も多い。古い本について言えば、著者の寄贈があればいいのだが、そうでない場合、図書館で購入されないこともあり、特に自費出版書はこうした傾向は強く、地元を扱った本でも図書館にないことがある。確かに図書館の使命としては、多くの市民に活用される施設、つまり貸し出しの多い本を揃えたところであり、さらにいうなら地域の歴史、文化の発信母体であってほしい。そのためには、話題の本だけではなく、郷土出身の作家、郷土史に関する本をできるだけ揃えることが望まれる。 

 図書館、博物館への寄贈については、難しい面があり、容易には解決できない。ただ収蔵庫の問題が大きな問題であるならば、弘前市でも早急に対策を検討し、新たな収蔵庫を増設するなり、地元もお宝が県外に流出しないようにしてほしいものである。日頃、弘前図書館、博物館には非常にお世話になっており、どちらの施設も郷土の重要な拠点として全国から多くの人々が来館する。図書館、博物館離れが進んでいるが、是非とも郷土文化の象徴として、充実が望まれる。また書庫に保管されている貴重図書、貸し出し禁止図書については、日曜、祝日など公開日を決めて、一般来館者にもじかに触れて見られるような工夫もしてほしいし、絵図などについては、以前、私立観光館で公開されていたが、他の絵図もこうした試みを希望する。

 一方、以前から希望していた図書館貴重資料のデジタル化が始まった。早速、見てみたが、コンピューター上で自由に拡大、移動ができ、とくに絵図類は見やすい。本当に利用者にとってはうれしいことである。随時、他の資料もデジタル化するようなので、ますます便利になる。できれば東奥日報社もこれは地元民への還元として、創立以来の新聞のデジタル化と一般公開を進めてもらいたい。新聞王国アメリカでは、古い新聞のデジタル化が盛んに行われており、近現代史にとっては重要なツールになっている。特に地方、青森県では東奥日報の記事は、青森県の昔の人々の有様を知る貴重なものであり、これを家にいながら調べられたら、本当に助かる。また新聞紙の素材の悪さを考えると、古い新聞ほど一刻も早くデジタル化が望まれる。

0 件のコメント: