2022年6月2日木曜日

北欧陶器 6

 





久しぶりにYahoo オークションの北欧陶器のところを見ていると、スウェーデンのWilhelm Kageデザインのカップ&ソーサーとプレートが出品されていたので落札した。Atlantaというシリーズのもので、生産されていたのは1937-1958年なので、すでに70年以上の古いものである。カップは小ぶりのエスプレッソコーヒー用のもので、それに合わせたソーサーと19cmのプレートのセットである。値段は7000円で、他にも2枚、プレートがあるというのでこれも購入した。Kageのものは10年ほど前にTablettというシリーズの皿を二枚買った。今回のものと同様に、全て手書きでペイントされたもので、元々の発色が悪いのか、あるいは長年、洗われて色が落ちたのか、色合いは少し退色している。

 

こうしたマスプロダクションが始まったばかりの頃の北欧陶器は好きなジャンルである。同様のシンプルなデザインのカリン・ビヨルクイストのTea RodBlaシリーズのカップを4客と皿6つを持っている。当初は朝食のパンとコーヒー用と思っていたが、ここ数年、朝はご飯を食べているのでほとんど使っていない。頭の中では、外のテラスに野外用の椅子とテーブルを用意し、そこでこうした陶器を並べて朝食をと考えていて、折りたたみのディレクターチェアーとテーブルも購入しているが、組み立て、準備が面倒なので、まだ一度も使ったことがない。いずれいずれと思いながら十年以上たつ。

 

Atlanta, TablettTea Rod シリーズはいずれもほぼ60年以上のものであるが、デザインのおしゃれ度は劣化しておらず、いまだにかっこいい。1950-60年代の北欧のデザインはアメリカから始まったミッドセンチュリーの影響を受けてシンプルでモダンな作品が多く、家具でもデンマーク、ウエグナーのY-チェアーは1950年、フィンユールの名作椅子も1940-50年代のものが多い。食器にしてもグスタフスベリのリンドベリの作品も1950-60年代のものがいまだ人気があり、復刻版が数多く出ている。また今回のカップやプレートと同じようなシンプルなデザインのノルウエイのキャサリンホルムのホーロ食器も、そのデザインの可愛らしさから、世界中にファンがいてコレクションしている。おそらくこの時代は、シールを貼って大量にプリントする絵付け方法も確立されておらず、大量に生産するとなると単純なデザインで直接、手書きで絵付けをしたのであろう。簡単な作業であるが、それでも一枚一枚、手書きで、微妙な違いがあるのが。楽しい。

 

北欧陶器のブームも数年前に比べれば、少しずつ落ち着いてきている。一時はびっくりするような値段をつけていたが、最近では北欧から日本語で直接注文できるネットサイトもあるため、競合から値段の標準化が進んだと思われる。日本で同じような陶器というと、旅館の定番、佐賀県副千製陶所の有田焼、水玉の湯呑であり、これも1955年から作られたというので70年経つ。一個500円くらいで、頑丈でデザインも素晴らしい。最初に述べた北欧陶器に匹敵する日本の優れた、隠れたロングセラー商品である。今後、海外からの観光客にも良さが認められるであろう。

 


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