2008年10月6日月曜日

住吉町




最初見た時は印象的な景色でも、そこに住み、毎日眺めていると、当たり前の景色になります。中央弘前駅から坂を登ったところにあるのが、弘前昇天教会です。レンガ造りの古い建物で、冬の雪の多い季節に初めて見たときは、別世界にいるような気がしました。子供が明星幼稚園というこの教会の附属幼稚園のようなところに通っていたため、何度か日曜礼拝にも参加しました。大正10年に建てられた教会で、椅子席とじかに床に和式で座れるようになっています。イギリスの聖公会の教会なので、内部の装飾はカトリックのものに比べて質素ですが、どこかしら明治のにおいのする建物です。中央弘前からのこの坂はなかなかいい風景です。

この道を右に曲がったところに、吉井酒造煉瓦倉庫があります。ここでは3度、現代美術の売れっ子の奈良美智の展覧会が行われました。3度とも、実にいい展覧会でした。ほとんど全国から集まったボランティアで展覧会は作られましたが、さすがの奈良さんの作品も建物の存在感に負けそうで、ようやく3回目にA to Zで調和した感じです。古い建物をこれほど、うまく活用した例はあまり知らず、奈良さんの作品と建物が一体となって優れた作品になったと思います。最近の美術館と言えば、近代的な建物で、有名な建築家が奇をてらった建物を建て、競っていますが、はっきりいってこの煉瓦倉庫には勝てないと思います。建物自体の、壁、天井、梁そのものに歴史があり、訴えてきます。最後のA to Zで、倉庫の2階で奈良さんの海と船を表現した大きな作品がありましたが、これなんかどこの美術館でもこれほどの作品のスケールは表現しえなったものと思います。そういった意味で、奈良さんの作品は青森県立美術館はじめ、多くの美術館で展示されていますが、この煉瓦倉庫での展覧会を超えるものは出てこないと思います。これをみた人は本当に幸せです。

昨日はここで青森犬?の写真展がやっていました。倉庫の入り口では若手のアーチストの手作りの作品が販売されたりしていました。この犬は展覧会の収益で作られたもので、この大きなものが青森県立美術館のあります。埴輪のような地中に埋められているよりは、屋外にはなされた、ここの方が犬にとっても幸せそうで、作品としてしっくりきます。

煉瓦倉庫の周辺の場所はすでに市が購入したようですが、建物自体の購入は交渉に難航しているようです。いずれは何らかの美術館には
なるとは思いますが、何とか現状のまま活用してほしいものです。横浜の煉瓦倉庫、金沢の煉瓦倉庫、函館の煉瓦倉庫のように外の煉瓦のみ残し、中は別の建物というのでは価値が一気に下がります。二階に上がるのに重量制限があり、数人ずつ細い階段に登る方がよっぽど、ドキドキして面白い体験になります。あまり早急に結論を出さず、中身も何とか現状のまま美術館にする方法を考えてほしいと思います。

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