2009年2月8日日曜日

北欧陶器3




 一番上の写真は、スウェーデンのGustavsbergのWilhelm Kageのデザインしたケーキ皿です。コーゲはグスタフベリの黄金時代を築いた作家で、その作品は今でも人気があり、多くのコレクターがいます。ただかなりごつい感じのものが多く、我々日本人にはどうもしっくりきません。この皿は、いわゆる作家名の入ったスタジオものでなく、大量生産されたプロダクトものです。写真では真っ白な下地にきれいな四色のラインが入っているように見えますが、実物はややグレーがかった下地で、色も退色したのか、かなりくすんだ色です。色の交差したところのにじみもあまりきれいではありませんが、かえって手作り感があるように思えます。

 二番目の写真は、同じくグスタフベリの女性デザイナーKarin BjorquistによるTea Rodシリーズのケーキ皿です。下地は写真のように真っ白で、コーゲのものに比べて明らかに違います。ただ赤のラインは写真ほどは鮮明ではなく、実際のものは少しくすんだ色をしています。

 両者とも販売は1950年ころで、いつまで製作されたのかわかりませんが、とてもモダンなものと思います。当時でも多くのプロダクトものはシールを張って、窯焼きする方法がとられ、手書きのものはすくないようです。手書きで、大量生産、安価で販売するためには、できるだけ、シンプルなデザインが必要で、これは伊万里焼や朝鮮の陶器なども庶民の使う大量生産品では同様な手法が用いられています。シンプルなデザインは、そのもの自体、暖かみがないのに、それをプリントであまりにきれいな直線で書かれては、何かおもしろみを感じません。それに比べてこれらのお皿は線自体が微妙に歪んでいて、私はこういった人の手が入っている感じのものが好きです。同じ手書きといってもマイセンやヘレンドといった高級品とは対極なものです。どちらもオークションで買えば1000-2000円くらいで買えますので、普段使いの食器に使えると思えます。将来娘にやろうと思っていますが、未だ興味はなさそうです。

 最後のものは、有名なロイヤルコペンハーゲンのメガシリーズです。ロイヤルコペンハーゲンの伝統的な模様の一部を拡大してデザインしたもので、人気のあるものです。皿の裏のシリアル番号も拡大されていて、茶目っ気があります。これも上の2つのお皿と同様、デザインを簡略したお陰で、すべて手書きながら、大量生産でき、なおかつ安価で製作できるという発想があったのでしょう。手作りのよさとモダンが融合した作品になっています。日本の陶芸作家イイホシ ユミコさんの作品も、スタジオとプロダクトもののよい点を持ったすばらしいものです。

 マイセンやヘレンドのような高級食器のオールドのものは、美術品としてバブルの1980年ころから売買されていましたが、北欧のオールドの陶器に脚光が浴びてきたのはここ10年くらいだと思います。茶器の世界では、日本でも古いものが珍重されており、朝鮮李朝の陶器なども民芸運動に乗り、好事家にはもてはやされましたが、戦後は古いものは顧みられず、古くなったら捨てるという文化が根付きました。とくに食器ではひとが一度使ったものを使うのは汚いというひとも多く(私の家内もそうですが)、なかなかこういった古いものは理解されません。ただ古いものは、それがあるだけで、すぐに住宅環境になじむ効力があり、落ち着きを持ってきてくれます。新築の家でも古いものをいれるだけで、よそよそしさが薄らぎます。青森県の新築の家を紹介した雑誌などを見ても、絨毯から家具すべて新しく、こんな所に住んでいても落ち着くのかなあと思ってしまいます。新しいものの中に古いものを入れることで、随分生活に潤いがでると思います。絨毯なども日本ではシルクの新しく、豪華なペルシャ絨毯が売れるようですが、あれはドバイの富豪には似合っても日本では全く合いません。

 北欧ということで、最近気に入っているアルバムはスウェーデンの女性JAZZボーカリストMARAGARETA BENGTSON「I'm old fashioned」。美しい声です。深夜に酒を飲みながら聞くには、いいアルバムです。Ituneストアーでも試聴できますので、聞いてみてください。録音もよく、いいオーデオで聞くといいでしょうね。安いオーディオセットで聞いてもそんな想像をします。

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