2019年12月13日金曜日

本場フランスの負けないリンゴシードルを

フランス。ブーヴロン村


  NHKの“世界はほしいモノにあふれている”は好きな番組のひとつあるが、1212日放送の「冬の新定番!極上シードルを探す旅 ブルゴーニュ」はリンゴのお酒「シードル」の世界的生産地、フランス・ブルゴーニュの美味しいお酒をめぐる旅で面白かった。

 フランスのリンゴは、日本のものと違い、かなり小さく、味もそれほど甘くなく、逆に苦味もあるようだ。もちろんそのまま食べるリンゴはもっと大きくて、甘いものだろうが、シードル用のリンゴなのかもしれない。日本では、ようやくワインを日常的に飲むようになったが、それでもリンゴシードルを飲む習慣はない。リンゴは甘くて、ジュースにはいいのかもしれないが、お酒にはどうもという感じであろう。

 リンゴ王国、弘前市でも“シードルの街”として町興しを狙っており、フランスのノルマンディー地方のブーヴロン村と技術協定を結び、その成果なのか、多くのシードルが売り出されている。昔からあるのは大手のニッカのシードルで、これは発砲りんごジュースに近い。リンゴ公園内で作っているKimori、味は本当に美味しいが、やや甘く、食事中に飲むシールドとしてはどうかなあと思う。これに比べてイタリア料理店、サッシーノで作っている弘前アポーワインはアルコール度数も強く(11度)、私としてはもっとも好きなシードルである。ただ値段が高いことと、売っているところが少ない。他には診療所近くのカフェーバーで生産しているGARUTSUというシードルも気になるが、まだ飲んだことはない。他にも日本酒の会社が販売しているシードルもあり、全部で20以上の地元、リンゴシードルがある。日本でも一番、地元シードルの種類の多いところであろう。

 来春にできる弘前リンゴ倉庫美術館にも隣にリンゴシードルを中心としてレストランができるようで、これを契機にリンゴシードルを日本中に広まって欲しいところである。ただ酒好きな私としては、フランスのような甘みがあまりない、苦味のある、酸味のあるリンゴを使ったドライなシードルが是非とも飲みたい。そうなるとリンゴそのものから作っていく必要があり、これまでも食べるためのリンゴとは全く違うシードル用のリンゴを作る必要がある。日本酒でもそうだが、酒造りにあった米がある。どのようなリンゴが美味しい大人のシードルに適しているか、これは是非ともフランスから専門家を招き、吟味してもらう必要がある。リンゴ公園内には今はあまり生産していないリンゴもあり(65種類)、とりあえずはその中から選択し、場合によってはフランスから原木を取り寄せなくてはいけないかもしれない。どうやら単純にリンゴが多くと取れるからリンゴシードルという発想ではなく、将来的には世界のリンゴシードル愛好家に愛されるようなものを作るべきであろう。

 流石にリンゴ王国、弘前にはリンゴ研究所や試験所もあり、こうしたシードル向けのリンゴの開発、生産も何とかなるだろう。あとはリンゴシードルの名産地であるフランス、ブルゴーニュのリンゴ生産もしているシードル専門家を弘前市で招聘し、より良いリンゴシードル生産に向けてさらにガンバって欲しい。場合によっては弘前市役所内にも観光課やリンゴ課が中心となって“リンゴシードル”チームを作り、全国に先駆けて“リンゴシードル”の街として、名乗りを挙げ、テレビやネットを使って情報を広めてもらう必要があろう。リンゴそのものは外国人観光客には防疫上の問題で持ち出せず残念であるが、シードルであれば問題なく、いいお土産となる。是非とも、フランスのリンゴシードルに負けない弘前シードルを作って欲しいものである。

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