2024年2月5日月曜日

弘前市の未来

 



全国的に少子化が大きな問題となっているのは知っていたが、自分の住んでいる弘前市の出生数を聞いて驚いた。2022年度の出生数は860名、2000年度が1637人であったので、この22年でほぼ半分になったことになる。昭和24年の報告では、弘前市の出生数は2314名で、弘前市が周囲の村、町合併前の時代で、人口は64845人の時のものである。今の人口、177400人の約1/3なのだが、出生数は逆に3倍近い。もう少し後の1969年(昭和44年)の調査でも2803人であった。昭和24年の出産数を今の人口に換算すると、実に6330人に達する。860名と6330名、この差はすごい。

 

小学校の一クラスが40名とすると、860人は22クラスとなる。昔の小学校は一学年6クラスくらいあったので、わずか4つの小学校で足りることになる。現在、小学校数は34、中学校数は16あるが、多すぎる。さらに高校は県立高校が5つ、私立高校が4つの9校なので、全ての学生が高校進学するとしても一校あたりの生徒数は95名となる。現在、弘前高校ひとつで一学年の生徒数は240名なので、高校はせいぜい4つもあれば十分となる。

 

この急激は出生数の減少は、令和3年で比べると小学校で2000名、中学校で1000名の生徒減となり、小中学校さらには高校の廃止、統合などが起こるは間違いない。さらにいうと、高校卒業後、県外に進学、就職のために出る若者は20-30%いて、そのまま帰郷しないので、結局は弘前市内の若者人口は減っていく。そして出生数もまた減っていく。これはやばい。

 

例えば、弘前イトーヨーカ堂にはアカチャンホンポは入っているが、弘前市内だけでいうと0歳の品物は最大で800人しか客がいないことを意味する。ここ以外にもベビー用品の店は何軒かあるので、さらに分散し、経営的にはかなり厳しい。幼稚園、保育園、私立高校、予備校、専門学校などの学校や、同様に小児科、学生服店、ゲームセンター、おもちゃ屋、書店(マンガ、参考書など)洋服屋、など若者の客の多いところも経営は大変である。老人に比べて消費欲が高い、若者の減少は、かなり広範囲の分野の商売の冷え込みにつながる。もっと深刻なのは、整備士、大工、左官、看護師、保育士、自衛隊、消防士、警察官、教師などの仕事につく若者がものすごく少なくなる。単純に考えて、高校卒業した800人の2/3が県内に残っても、500人少ししかいないことになる。

 

日本の出生率は1.34人に対して、隣国の中国は1.28人、韓国は何と0.84人、同様に台湾も0.87人と1.0を切っている。都道府県別のランキングでは、沖縄県は1.86人と多く、青森県は1.33人と36位、最下位は東京の1.13人となる。東京などと比べると青森県ではそもそも若者人口が少なく、決して36位であることはマシだとは言えず、むしろ深刻である。出生率以外の指標として、実際のエリアでどれくらい生まれた子供がいるかという出生数維持ランキング(2000年と2021年の比較)というのがあるが、その一位は東京で、二位が沖縄となるが、47位の最下位は秋田県で48%、そして46位は青森県の50%となっていて、全国的にも秋田県と青森県は急速な子供の人口減が進んでいる地域となる。市町村で言えば、引越しで転出超過の市町村ランキング(2022)では青森市が9位、むつ市が34位、弘前市が69位と不本意な位置にある。

 

青森県では、盛んに“短命県返上”運動をおこなっているが、寿命が伸びて高齢者が増えるより、むしろ子供の数を増やす運動をすべきであり、実際に青森県に住んでいても、子供の急激な人口減がこれほどであることは知られていない。結婚して、しなくても良いが、子供を作ろう運動、さらにそれに対する強力な県、市町村のバックアップが必要であろう。不妊治療だけでなく、出産、子育ての金銭的な補助は当然で、それだけでなく婚活パーティーも豪勢にして無料にすべきだし、二人以上の出産した夫婦には住居費を補填してもよかろう。深刻な状況を一刻も早く県民に知らせ、危機感を煽るべきである。弘前市が所有する建物、藤田家別邸、旧東奥義塾外人教師館、青森銀行記念館を利用、あるいは弘前偕行社などを借受けて、参加費も1000円くらいで頻繁に婚活パティーを開くべきで、他県からの観光客や外人も参加させれば良い。費用は弘前市が負担する。まず出会いの場を用意し、その後の結婚、出産を期待する。毎回100名が利用して、一人5000円の費用がかかったとしても50万円で、これを毎月してもたかが600万円くらいで、これくらいの金なら上手く企画書を書けば国から引き出せる。なんでもやれることはしていかなくてはいけない状況である。


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