2009年4月2日木曜日
弘前人物志
このほど 「弘前人物志」が復刊されることが決まった。この本は中学生の副読本として1982年から児童に配布されていたものだが、財政難もあり2004年を最後に発行が中止されていた。
このブログでも何度もこの本から引用させてもらったが、児童向けということもあり、主としてエピソードを中心にまとめられ、弘前の生んだ偉人の事跡をうまく紹介している。私の一番の愛読書といってもよい。
そのため復刊を希望していたものにとっては、今回の決定は大歓迎である。2009年度から編集方針を決定し、2011年度には完成を目指すようである。
98年度版では、佐々木元俊、笹森儀助、堀江佐吉、長尾介一郎、菊池楯衛と外崎嘉七、本多庸一、菊池九郎、岩川友太郎、珍田捨巳、伊藤重、陸羯南、佐藤愛麿、矢川姉妹、野沢如洋、楠美恩三郎、佐々木五三郎、藤田謙一、前田光世、柴田やす、対馬竹五郎、笹森順造、葛西善蔵、福士幸次郎、竹森節堂、三国慶一、石坂洋次郎、今官一ら30人の各人物10ページくらいの紹介と34名のダイジェストが載っており、400ページになる、厚い本となっている。
りんご生産から小説家、政治家など幅広い分野から人物が選定されており、よくもこの小都市でこれだけの人物がいるなあと感嘆する。それだけこの地域から人物を輩出した証拠でもあろう。
一方、実際に配布されたうちの子供に聞いても、また教える側の学校の先生に聞いても、あまりこの本で紹介されている人物は知られていない。つまり読まれていないということだ。内容的にはできるだけ平易には書かれているものの、中学生の活字離れを考慮すると、少し内容が難しすぎるきらいがある。また高校受験で忙しい授業の中で教える時間もないのが現実であろう。
予算の関係が一番のネックになると思われるが、読者(ここでは中学生、小学校高学年)を見据えた本作りが求められるが、教育委員や郷土史家など読むことを主体とした人からはこういった発想を生むのは難しいと思われる。餅は餅屋というように、売れる本作りを目指す商業誌を作っている人や読書層に近い若い世代が製作に参加してほしいところである。
私の所属する日本臨床矯正歯科医会でも、これまで数種類のムック本を作ってきた。最初の数冊は世界文化社、その後は小学館で作られたが、さすがに大手出版でマンガやイラスト、写真などをふんだんに盛り込み、非常にわかりやすい内容になっている。これを素人が作ることはほぼ不可能で、製作には多くのノウハウがあるのだろう。
こういった大手の出版会社と手を組むのは予算的には難しいだろうが、探せば弘前出身の出版関係のひとはいると思うので、知恵を借りるなり、大学生など若いひとも参加してもらうことがいい本を出す条件ではなかろうか。またこういった定価、版権のない本はインターネットなどを介して積極的に情報を開示すれば、弘前以外のひとも読むことができ、経費もかからない。現在では、本製作はほとんどコンピュータで処理され、Google Bookのように簡単にその内容をインターネット上に乗せることができる。さらにカラー出版は安くなったとはいえ、大量出版しないとまだ高いが、インターネット上では費用はかからず、印刷直前までカラーで編集し、印刷のみ白黒、インターネットではカラーということも可能である。
一方、こういった時代遅れと呼んでもよい時流に即しない本を出版するというのもまた弘前らしいといえる。がんこに読まれようと読まれずともずっと出していく、わかるひとに理解されれば、こういった考えもひとつの考えで、わるくないし、卓見でもある。ただこうした場合も、少なくとも定価をつけ、流通にのせることが是非必要である。今でも副読本という扱いなので本屋で買うことはできず、弘前以外のひとには読むことはできない。観光客、他県の弘前出身者、あるいはこういった人物に関心のあるひとは意外に多く、ある程度の販売は期待できるし、町おこしの材料にも使える。大人が手軽に読むには最適な本である。
個人的には、山田良政、純三郎兄弟と一戸兵衛大将は是非載せてほしい人物であるし、できれば藤田雄蔵少佐も紹介してほしい。もう軍国主義を助長するから教育上軍人はだめだとする風潮はよしてほしい。
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