2017年10月25日水曜日

三橋美智也












 三橋美智也は、僕たちの世代にとっても、現役の頃に聞いたことはない歌手で、おそらく70歳以上の方でないとわからないと思う。ただ三橋美智也の声色、特にその高音は独特であり、フランク永井の低音と対照的に、僕たちの世代にも記憶に残る。その後も多くの新しい歌手が出て来たが、歌声が今風でないという理由でなく、こうした独特な高音を出す歌手がいないのである。それ故、美空ひばりのモノマネはいても、三橋美智也のモノマネはいない。真似ができないのである。

 とりわけ、好きな曲は“星屑の街”という曲であるが、歌詞の内容がどうもよくわからない。歌詞、冒頭の “両手を廻して帰ろう”とは蒸気機関車のことを指すというが、わけもなくうれしくて両手を廻して家路に急ぐ場面を想像する。この曲を聞くと、不思議なことにフィンランドの名監督、アキカリウマスキーに映画で是非使ってほしいと思ってしまう。彼の作品は独特のテンポとシニカルなユーモアで面白く、また映画に使われる音楽もユニークである。彼が三橋美智也を知れば、絶対に挿入歌で使ってくれる。“過去のない男”で電車の乗るシーンでは“星屑の町”はぴったりである。彼は小津安二郎のフアンであり、当然、原節子のファンであるので、私の持っている原節子のサイン入り写真と、三橋美智也のベストアルバムをアキカウリマスキで本気に送ろうとしたことがある。ただ宛先が全くわからず断念した。

 三橋美智也の曲で、僕たちの世代が最も親しんだのは、“怪傑ハリマオ”の主題歌である。当時は、ハリマオのバックグランドを知らないで、どこかの国のお話と見ていたが、よく考えれば、大英帝国の圧政から東南アジアの人民を解放する大東亜思想に準拠した作品であり、確か1960年ころの作品であるが、当時は中国、韓国ともこうしたある意味危険な思想には無頓着であった。今なら当然、反対されるであろうし、それ以上に左翼に染まったマスコミから叩かれたのは間違いない。当時は、そうしたムードは全くなく、白人の圧政から原住民を助ける日本人の英雄としてハリマオが子供達に知られていた。特に番組初めの三橋美智也の声には子供心にしびれた。

 さらに東京オリンピック。有名な東京五輪音頭はもともと、作曲家の古賀政男が三橋美智也のために書いた曲であったが、紅白で三波春夫は横取りして歌ったため、今では三波春夫の曲のように思われているが、実際、三橋美智也の五輪音頭の方が明るく、美しい。晩年は、あの高い声をキープするのに、随分悩み、あまり活躍できなかったが、それでも明治製菓、カールのCMソング“いいもんだな故郷”で、かろうじて若者にも名前が知られたのが何よりであった。

2 件のコメント:

白戸 明 さんのコメント...

ハリマオ、懐かしい動画を有難うございました。三橋美智也の歌をラジオで聴いた世代の一人です。70曲ほどiTunesに投入して時折聴いたり口ずさんだりしています。国民栄誉賞もいただいていないのが残念というか不思議だなあと思っています。

広瀬寿秀 さんのコメント...

今回調べると、怪傑ハリマオは1960−61年、月光仮面は1958-59年、ナショナルキッドは1960-61年です。1956年生まれの私からすれば、3歳から5歳くらいのテレビドラマで、内容はほとんど忘れていますが、主題歌ははっきり覚えています。おそらく番組が始まる前からテレビの前に座り、ワクワクして見ていたのでしょう。ほとんどなくなった幼児の記憶の断片です。
怪傑ハリマオの当時、三橋美智也の全盛期で、よく子供向けの番組主題歌にOKしたものです。ついに現役の間にはレコード大賞は取れませんでしたが、この主題歌を聞くだけで、うれしくなります。