2008年11月21日金曜日

かご入りりんご



 高校2年生の時に、修学旅行できたのが東北で、旅行の最後は弘前でした。駅からすぐに弘前城を見学して、その近くの旅館に泊まったような記憶があります。仙台から松島、三陸浄土が浜、平泉、厳美渓、八幡平、十和田湖、弘前とほぼ東北一周の旅行で、それまでの修学旅行は九州でしたが、私たちの学年から初めて東北地方に行きました。男子校でしたので、松島の旅館では前日、神戸女学院が泊まったと知り、興奮したり、U君などは10月という寒い季節にも関わらず、上半身裸で八幡平の沼に入ったり、制服のままスナックに行ったり、30年以上たっても思い出の多い旅行でした。そのせいか、私の学年では例年以上に東北大学の進学率が高かったようです。

 この旅行の最後が弘前で、時期もちょうどリンゴの時期でしたので、みんな竹かごに入ったりんごをお土産に買っていきました。竹かごから見える赤いリンゴは本当にかわいく、大阪についても、周囲のひと、みんなから「ああ、青森にいったんだ」と思わせるようなものでした。その後、家内の実家に弘前に来るようになったのは30年前くらいでしたが、その頃には竹かご入りのりんごは少なくなり、開業した15年前くらいには、プラスティックでできたかごはあっても、竹かごはほとんど見かけなくなりました。おそらく製作コストが高く、
りんごを入れる箱としての存在価値がなくなったことと、宅急便などの発達があったことなどから、急速に廃れたと思います。最盛期には、百軒以上あった根曲がり竹によるかご生産者は、今ではほとんどなくなり、わずかに残っている生産者も高齢化し、工芸品として何とか、残っているようです。

 先日東奥日報で、あるお客さんから1万円のリンゴの詰め合わせをおくってほしいと青森の業者に依頼があったそうです。青森の業者ではそんな高いリンゴはない、そんなことはできないと答えたの対して、長野の業者は即答して対応した、もっと青森人も商売気を出さないとといった社説が載っていました。新幹線開業もまじかに迫っています。私個人の意見としては、りんごほどすばらしい青森土産はありません。是非とも昔のかご入りりんごを復活してもらいたいと思います。何種類かのりんごを詰め合わせて、根曲がり竹の手提げかごで売れば、多少高くても人気がでると思いますし、青森=リンゴというイメージアップにもつながります。工芸品のような竹製のカゴに、最高級のリンゴを入れれば十分に1万円で売れるでしょうし、もう少し安価なかごに入れておみやげ店で売ってもよいでしょう。工芸品のようなものは素人が作るには難しいし、年期もいるとは思いますが、昔のりんごかご程度のちゃっちいものでしたら、主婦の内職で作られるのではないでしょうか。一かご500円くらいの手間賃であれば、雪が多く、夜の長いこの地の内職にはもってこいのものと思われますし、シーズン以外に作ったものでも、土地、家屋が広いので作ったものを置いておく場所にも困らないはずです。りんご自体は結構重いものですので、3個か4個、違った種類のものがお土産としては喜ばれるかもしれません。

 こちらに来て、毎年リンゴを食べているせいか、ずいぶんとりんごの味にはうるさくなりました。蜜入りふじもうまいのですが、今年はとりわけ王林がフルーティーでいながら絶妙な甘味があり、本当にうまく、これは日本、世界にも通用すると思いました。以前、青森のリンゴを欧米で売り出そうと調査したところ、あまり甘すぎて、リンゴはすっぱいものだという欧米人には不評だったようです。ただうちに来ていたアメリカの留学生も最初はとまどったようですが、そのうち好物になったことから、浸透すれば十分に世界に通用するものだと思います。ただリンゴの難しいのは、同じ農園で同じ日にとったものでも、木によっては甘味が全くちがう点です。親類から毎年、たくさんのリンゴをいただきますが、ここのりんごは市販のそれに比べても非常にうまいものですが、それでも年により、木により味に違いがあります。

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