老後のためにマンションに引っ越し、これまで住んでいた家を売りに出した。なんとか早く買い手が現れるのを待ちたい。
鹿児島から弘前に来る時、両親からいずれ弘前で開業するならまず地元に拠点を持つべきだというアドバイスから弘前大学附属中学の正門から10mのところに80坪くらいの土地を購入した。開業して5年、そろそろ家を建てようと思ったが、車に乗っていなかったので、ここから診療所まで歩くのはきついという理由と、できれば中心街に家を持ちたいと思い、診療所近くの土地を探していた。すると診療所から歩いて8分くらいのところにいい物件が見つかり、思い切ってここを購入し、輸入住宅を建てた。広々とした家で子供の教育にも良かったと思う。前の土地は1ヶ月くらいで売れた。
ただ子供二人とも東京と横浜に移ると、夫婦二人にはこの家は大きすぎる。また冬場の雪の処分もきついため、家内と相談して中古の小さなマンションに移ることにした。そこで、この輸入住宅を売ることになったが、不動産屋によれば、まず土地価格が25年前のほぼ半分、建物価格は25年経つので当初、ゼロと言われたが、コンデションがいいので建築費の20%ということになった。買った時の土地代、建築費、庭の費用を入れるとかなりの額であったが、売値はほぼ40%となった。
今回、他の絨毯、家具なども買取り業社に査定してもらったが、驚くほど安価の査定額であったが、同様に住宅の中古で売り出すとなるとかなり安くなってしまう。よく不動産会社は、持ち家はローンが終了すれば自分の財産になるというが、これは完全に間違っている。例を使って説明しよう。
弘前市内の最近の建売住宅で見ると、弘前郊外で50坪の土地、30坪くらいの家で、3000万円くらいが多い。土地が坪10万円、建物が坪80万円くらいで、注文住宅やハウスメーカの建物では坪100万円以上かかる。これを35年返済でローンを組むと月々の支払いは9.2万円(金利1.5%)となる。35歳で家を買い、返済が終了するのは70歳、それまで9万円の返済となる。その頃になると家も老朽化して修理費も出よう。さらに高齢になり、老人ホームに入るため、売ろうとしても住宅価値はゼロ、土地代も上昇しないとすると50坪で500万円なので、売却価格は500万円となるが、これに手数料や解体費が引かれる。解体費を坪4万円として120万円、その他、不動産手数料などで、350万円くらいしか残らない。3000万円の家を購入して、35年、9万円ずつ返して残ったのが350万円となる。もし3000万円を年利4.5%で回すと、35年間回すと14000万円となる。持ち家は投資という点では全く無意味なことがよくわかる。
一方、コンデションのいい中古住宅、土地50坪、築20年、30坪の中古物件は、土地代が坪10万円で500万円、住宅は20年前であれば、当時の建築費は坪50万円で1500万円、その20%が評価額として300万円、計800万円、これは安すぎるのでまあ1000万円くらいで売りに出るだろう。全てローンで返済すると35年で、月々の返済額は3万円となる。賃貸より安い。
つまり建築価格が高騰した現状では、新築一戸建を最終的に手放す場合、建物の減価償却率が高いので、かなり不経済となる。先ほどの例で言えば、同じ大きさの土地、家屋を新築と中古では毎月の負担は中古では3万円、新築では9万円だが、最終売却価格は同じとなる。東京のように一戸建て住宅住宅の価格で土地代の占める割合が多いと、土地代の上昇も含めて一戸建て住宅が財産となる。ただ地方で今流行りの小さな土地に小さな家を建ててしまうと、毎年、大変な思いをしてローンを払い続けても不動産屋のいうように財産にならない。
建築費が高くて、土地代がやすい、これは欧米の状況で、アメリカ、イギリス、フランスなどでは持ち家の80%以上は中古住宅購入である。新築を建てるよりはるかに節約できるからである。こうした状況は、少子化が急速に進む日本でも同じことで、昔は坪40万円でも家を建てられたが、今では坪100万円以上かかる一方、土地価格は上がっていない。どうしても一国一城の主になりたいという人以外は、中古住宅あるいは賃貸が賢い選択といえよう。新築住宅と中古住宅の返済額の差額、6万円を利回り3%で35年間間運用すれば4400万円くらいとなる。新築住宅を買う代わりに中古住宅、賃貸で暮らし、銀行の返済金の差額を運用すれば、老後の大きな資金ができる。方や、毎月9万円、35年間返済して350万円の財産、方や毎月3万円の返済、6万円の投資により4750万円(投資4400万円、中古住宅価格350万円)となる。
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