2025年11月17日月曜日

核兵器を持つ2つの独裁共産主義国家に隣接する日本と韓国

 


世界で最初の共産主義国は、1917年に政権をとったソビエトである。そして1991年に崩壊した。それから34年経ち、現在、共産主義国、社会主義国は、中国、北朝鮮、ベトナム、ラオス、キューバの5カ国だけである。世界195カ国のうちの5つである。残りは民主主義国家というとそうでもなく、実際は権威主義国家が最も多い。権威主義国家というのは、一応は民主主義を装った独裁主義国で、これが実際には一番多い。共産主義国家も広い意味ではこの権威主義国家に該当するし、イランやアフガニスタンのような宗教指導者が全てを決めたり、サウジアラビアのような国王に権力が集中しているところもあり、アメリカが世界に宣伝する民主主義国は必ずしも世界の標準ではない。

 

それでも欧米を主体とする先進国のほとんどは民主主義国で、後進国から先進国に発展するためには強い権力をもつ独裁政府のほうが効率良く、台湾も選挙による総統選が始まったのはここ30年くらいで、それまでは国民党、総統による権威主義国家により国力が発展した。同様に韓国でも金大中が当選したのが1997年、この頃からようやく民主化が進んだ。ある程度、国力が発展してから、民衆による突き上げがあり、権威主義国から民主主義国に移行する流れとなる。共産主義、社会主義国家では、体制を完全に転覆しないと、民主主義国家に移行するのは難しい。

 

歴史上、もしといえることがあるとすれば、1936年の西安事件を挙げたい。西安事件は張学良が中国国民政府の蒋介石を拉致して、国共合作を成立した事件である。それまで国民党との抗争により共産党は勢力を大幅に弱められていて、この事件をきっかけに勢力を回復し、その後の政権奪回につながっていった。むしろこの前に、日本と国民党が協力して徹底的に共産党を壊滅させておれば、のちの中華人民共和国は成立しなかったであろう。少なくとも日本は、満州国成立で矛を収めるべきであり、日中戦争を起こす必要性は全くなかった。もちろん、中国北部、朝鮮を占拠する日本帝国は、独立運動に伴い、朝鮮は独立し、満州は国民党中国に吸収されていったと思うが、アメリカとの戦争もなかったであろう。その場合は、日本は敗戦することもなく、日本の周囲は、共産主義でない中国(台湾を含む)、朝鮮となり、さらに広げてタイ、ベトナムなどに囲まれた民主主義国家群なった可能性がある。

 

現状では、東アジアは、共産主義国の中国、北朝鮮と権威主義国のロシアがあるのに対して、民主主義国は日本、韓国、台湾という関係となる。中国と北朝鮮を民主主義国にさせることで、これが日米韓台の究極の目標となる。特に今は、この共産主義国の中国と北朝鮮が権威主義国の色彩を強くしている。つまり中国では習近平、北朝鮮では金正恩の独裁制で、なおかつ習近平は72歳、金正恩は41歳と若く、現状の政治体制はまだまだ続きそうである。共産主義と独裁制が重なると、ろくなことはなく、毛沢東は朝鮮戦争、大躍進、文化大革命で数千万人の人民を殺し、スターリンは大粛清、強制労働収容所、ウクライナ大飢饉で数百万人の人民を殺し、カンボジアのポル・ポトは150-120万人、人口の1/4を殺した。現在、欧米の主要国、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカなどでは共産党はほぼなく、ヨーロッパでいえばソ連の崩壊により、周囲に共産主義国はなくなった。アメリカは近くに共産主義国キューバがあるが、それほど武力的に恐れる国でもなく、日本を取り巻く環境、中国、北朝鮮という二つの共産主義国、独裁制の核兵器を持つ国に囲まれた、は理解しにくい。さらに驚くことは、この状況で平和、外交で解決できると信じているマスコミ、左翼の人が多い。

 

以前のブログで通常兵器による台湾侵攻は不可能と書いたが、その後、最も費用がかからず、兵士の損失の少ない中国軍による台湾侵攻計画があるのを知った。台湾近辺、日本の南西諸島に戦術核兵器を打ち込み、次は台北、東京に打ち込むと脅し、内部から屈服させる方法で蓋然性は一番高い。アメリカ軍は、直接、在日米軍基地が攻撃されない限り、核兵器による自動的な中国への全面反撃はない。台湾近辺の海に中距離核ミサイルを打ち込む、本土の人口の少ない地域に打ち込む、自衛隊の派遣されている南西諸島の基地に打ち込む、犠牲者の少ない場所を選んで、戦術核ミサイルで脅しをかける。この方法であれば、アメリカ軍による報復核ミサイル攻撃は避けられ、おそらく即刻の自衛隊の全面出動、反撃はできず、国連で抗議し、中国への経済包囲網を築くくらいしか対抗方法はない。1995年の第三次台湾海峡ミサイル危機では、アメリカは2つの強力な空母戦闘群を派遣し、事態を収拾したが、この屈辱がその後の中国海軍の増強に結びついた。現在、中国も3隻の空母を保有し、沿岸部には多数の中距離ミサイルを配備し、1995年のように台湾海峡にアメリカ軍は出動しにくい。どのように対抗するか、核三原則の見直しもこの文脈に沿うものである。

 

 


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