先日まで、アメリカのシンシナティーから2人の友人がやってきて、3日間、一緒に弘前とその周辺を案内した。東京、大阪、奈良、京都、出雲を回り、最後に弘前にきたという。日本でも弘前が最も好きで、これまで2回きてくれた。3回目の弘前は、秋のいい時期だったので、紅葉やりんごを見てもらい、満足して帰国した。
私の英語は、それはひどいもので、ジャパニーズ英語の典型で、ほぼ単語を並べただけで、文法的にはメチャクチャである。15年前に、友人の歯科医から英語の勉強会をしているので参加しないかと言われ、それから毎週、歯科医四人と英語の先生1名で、お酒を飲みながら、主として時事問題について喋る。とにかく無茶苦茶でもいいので、喋り、聞く。予習、復習は一切しないので、全く上達しないが、度胸だけはついた。こうしたこともあり、弘前や旅行先で外人に会うとできるだけ喋るようにしているが、短い会話であれば、特に問題はなかった。
ただ今回、3日間にわたって一緒にいたが、なかなか慣れなかった。1人は中国系アメリカ人Hさんで、50年近くアメリカにいて社会的地位も高いインテリであるが、ネイティブではない。もう1人はシカゴ生まれのNさんで、オハイオ州に50年以上いるネイティブである。Hさんの言っていることは100%理解できるし、こちらの言っていることもほぼわかっている。問題はNさんで、こちらが喋っていることがわからず、たまらなくHさんが通訳している。こちらもNさんの言っていることの半分もわからず、最初の1日目はお互いわからないだらけの状態であった。ところが2日目からはお互い少しわかるようになり、3日目には逆にこちらが喋っている複雑な話も、NさんがHさんにわかりやすく説明するまでになった。
多分、相手の発音、癖になれるのに3日かかったということなのだろう。そういえば、4、5年前に家の近くの道で道に迷っているイタリア人夫婦を旅館まで案内したことがあったが、この夫婦の英語がひどいイタリア訛りで最初は全くわからなかった。それでも英語を母国語としない外国人の英語は簡単で、ゆっくりなので何とかわかるが、ネイティブになると、そうした配慮をしない人もいる。
Nさんにすれば、人生のほとんどをオハイオで生きてきて、日本人と喋ることもなかったのだろう。あるYouTubeで、イギリス人がアメリカ人ウエイターにいくらWaterと発音しても全く理解されない動画があった。同じ英語圏でも通じないことがあるんだなあと思ったが、よく考えれば、津軽弁で喋るとほとんどの人がわからないように、同じアメリカでも地域で方言があり、わからないこともあるんだろう。さらにいうと、私の場合、英語でも鼻にかかる発音をされるとわかりにくいし、アメリカ人よりイギリス人の方がわかりやすい。一番わかりやすのが、日本人の英語で、これは経験の違いなのだろう。
早速、先週の英語の勉強会の時に先生に尋ねてみると、これはネイティブでも同じことで、同じアメリカ人でも、今は中国系、スパニッシュなどいろんな人種がいるので、お互い話言葉に慣れるまでしばらくかかるという。とりわけ同じ州にずっといて、他の州や海外に行ったこともない人は、特に外国訛りがあるとわからないという。また私が卒業した六甲学院は、イエズス会系の学校で、フランシスコ・ザビエルが創始者である。これを説明する際にザビエルの英語名、Xavierを発音すると、シンシナティの2人はすぐにわかったが、ミネソタ出身の私の英語の先生は、このXavierという言葉が全くわからなかった。シンシナティーはカソリックの教会が多く、イエズス会系の高校や、さらにXavier Universityという大学もある。Nさんの旦那さんはイエズス会系の高校を卒業していて、オハイオ州ではザビエルという名は誰もが知る。
さらに今回、夕食は日本料理とイタリア料理のコースを予約した。シンシナティーは200万人をこえる大都市で日本料理店もあるが、基本的には内陸の州で生魚を食べることはない。また海藻、きのこ、食用菊、クラゲ、ウニ、豆腐など、あまり母国では食べる機会もない。日本料理は、彼らにとってよくわからない食品を使った料理で、また昆布、カツオ、などでとる出汁もついていけないのかもしれない。次の日に食べたイタリア料理とはえらい違いであり、日本料理の懐石コースはアメリカ人にはかなり敷居は高いようだ。一方、イタリア、フランスあるいは中華料理などは日頃食べ慣れているので、アメリカでも出身地によっては、日本に来たんだから日本料理としないほうがいいのかもしれない。アメリカ、オハイオ州では、買い物は週に一回か二回、大きなスーパマーケットで行くので、魚はほとんど冷凍物、野菜や果物も新鮮なものが少なく、日本の野菜や果物は美味しいと言っていた。カボチャなどあんな甘いパンプキンはアメリカにはなく、初めてスープで食べたと言っていた。
今回は、一般的な観光地以外にも、虹のマートという地元市場や、パン屋、あるいは雑貨店なども回った。かなり興味を持ったようで、とりわけ女の人だったので、雑貨店は結局2回も行って、そこでお土産を買っていた。また近所の洋服屋の店頭に5足、550円で靴下が売っており、安い、クリスマスプレゼントにすると和柄の靴下を買っていた。外国人にはなかなか入りにくい、地方の雑貨店や普通の店も十分に観光地になると思った。そういえば、以前、土手町で道を迷っていたミラノ出身の女性に声をかけると、弘前の雑貨店を回っていると言って、英語のマップを見せてもらうと、たくさんの小さな雑貨店に丸印がついていた。

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