2025年11月8日土曜日

農家がもっと豊かに

 



今年も、米の値段が高く、困った何とかしろというニュースが連日流れている。昨年は、小泉農林水産大臣が貯蔵している古米を放出し、米の市場価格を下げたが、現在の鈴木農林水産大臣は米の増産はしないし、米の値段は市場価格に任せると言っている。そのためか、今年の新米価格はかなり高くなっていて5kgの米で4500円くらいになっていて、10年前が1800円くらいだったことを考えると2から3倍近く上がっていることになる。

 

大正7年の米騒動を調べると、72日の一升34銭だったものが、89日に60銭とわずか1ヶ月で2倍になったことに起因する。他の時期を調べると、一升の値段は昭和29年が108円に対して、昭和50年では450円で4倍くらいになっているが、会社員の年収でいうと昭和29年が20.5万円であったのが、昭和50年では203万円とほぼ10倍になっていて、収入に占める米の価格はかなり低くなっている。一升は約1.5kgで、5kgの米の値段は、昭和29年で360円、昭和50年で1500円となる。令和5年の会社員の平均年収は545万円なので、それで換算すると昭和29年では5kg9570円、昭和50年では4027円となる。2年前の令和5年の5kgの米価格は全国平均で2100円くらい、月収に対する米価格は、昭和29年で2.1%、昭和50年で0.89%、そして令和5年では0.46%と下がり続けていた。それがようやく今年、0.99%くらいとなった。

 

昭和29年に比べても、あるいは昭和50年に比べても、子供の数は減り、一家での米の消費量はかなり減っており、今年、米価格が上がったとはいえ、家計に占める米代はそれほど多くなったとは思えない。大正7年のような米騒動を起こすような問題となっていない。小泉前農林水産大臣が古米を放出したが、それほど緊急性、切迫感があったのか。一般の家庭では米価格が上がったとしてもそれほど深刻なものではなかったと思う。

 

一方、農家にとっては、米価格の上昇は、非常に明るいもので、若い農業従事者にすれば、ようやく米農家にも何とか農家でもやっていけるという希望が出てきた。実際、青森、弘前市では、税理士に聞くと、農家では、りんご価格が上がり、米価格も上がり、少し景気が良くなってきたという。これまで農家というと、収入が少ない割に過酷な労働で、若者からは見向きもされず、農業従事者の高齢化が深刻であった。このままでは青森のような農業国では、後継がいなくて、どんどん衰退していく。こうした傾向を打破するには、まず農家の収入を上げるのに尽きる。ましてや安全な食品を自給できる環境を作るためには、若い世代がどんどん農業に参入するような魅了ある職業にならなくてはいけない。そのためには農作物の価格を上げる必要も出てくる。

 

物価高騰を防ぐためには、食品価格を抑える必要があるのはよくわかるが、地方の活性化、あるいは国産の安全な食品の自給には、農作物の価格の上昇は、認めてほしい。鈴木大臣の言うように、米価格を下げるよりは、貧困層にはお米券の配給あるいは、外米の輸入を進めるべきで、都市部の一般家庭には申し訳ないが、日本の農家を応援する意味でも、少しくらいの米価格の上昇には辛抱してほしい。一個500円のケーキを平気で買うのに、5kgの米、うちでは老夫婦1ヶ月分が、4500円は高くはないと思うのだが。

 

専従で米を作っていて、その売却益だけで、子供2名を大学に入れるくらいの収入にならないと、日本の米は、あるいは地方は消滅していくかもしれない。そのことをよく理解してほしいし、政府、マスコミもきちんと説明すべきであろう。教育ととともに、農業は国の基礎である。


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