2008年9月27日土曜日

姿勢とかみ合わせ2






 正しい姿勢と言われても定義などはありませんが、患者さんに指導する時には、柱や壁に頭、胸、お尻、足が一直線になるようにします。S状になるのが普通ですので、この状態で、背中とお尻の間に2,3cmの隙間ができ、手のひらが入ります。その状態で体を少しずつ下げ、今度は逆に上げていきます。こういったことを何度かさせて正しい姿勢を覚えてもらいます。前方頭位の子供たちでは、この姿勢はかなり苦しいようですし、大人になって姿勢が固まってしまうと、この位置すらとれません。

 椅子に座る場合もできるだけ深く腰掛け、後ろの背板に背骨がまっすぐになるようにするか、逆に椅子の前に方にすわり、背をのばすようにするのもいい訓練です。またあごを後ろに引くか、あるいは手であごを後ろにもっていき、奥歯が咬むようにするのもひとつの方法です。かなりきつく感じるひとも多いかと思います。

 正座も背筋を伸ばし、正しい姿勢をとるいい方法ですが、今やなかなか正座する機会もありません。私のいた中学高校では、宿題を忘れると机の横でその時間、ずっと正座する罰がありましたので、中学高校のころは1時間くらいの正座は問題なかったのですが、最近は機会も少なく、30分くらいでもうだめです。最近はやりのバランスボールも大変いい道具だと思います。まっすぐに背骨を伸ばさないとバランスがうまくとれませんし、長時間腰掛けることはできません。

 陸上選手などを見ると、とくに長距離の選手はみな姿勢がよく、長い距離を走るには、背筋を伸ばしたフォームが最も疲れにくいのでしょう。また剣道選手も姿勢がいいのですが、これもあらゆる方向に瞬時に重心を移すには正しい姿勢が最もいいからだと思います。これはロータリーの会員の受け売りですが、丹田(へそのした三寸)に常に意識するのが剣道の極意であるようです。丹田に意識することで、自然に姿勢はよくなるものです。もともと人間は外に出て、走り、狩りをし、運動していました。その際に最も効率的な姿勢が正しい姿勢で、これが二本足たる人間の特徴であり、武器であったのでしょう。

 正しい姿勢のもとにあるのは、背筋で、これを鍛えるのは案外難しく、また老化に伴い次第に筋力は衰えます。子供の頃によく遊び、外で運動することで自然に背筋を鍛え、正しい姿勢に導きます。何らかのトレーニングをしても一時鍛えられますが、常態化するためには外での運動、労働が必要です。

 テレビを見るときも、横になってみる、ソファーにゴロンとするのではなく、できるだけ床に座ってみる、固い椅子に背筋を伸ばしてみるような習慣を身につけたいと思います。またできるだけ歩く、走るなどの運動も、長くするためには自然にいいフォーム、すなわち正しい姿勢になるため、背筋を鍛えると意味でもいいことだと思います。

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