2008年9月20日土曜日

うつぶせ寝とかみ合わせ



 筒井塾咬合研究会のHPより引用したものです。福山の小川先生のラウンドテーブルディスカッション(RTD)でも議論されたことですが、頬杖や、うつぶせ寝などの癖は咬合や顔面骨格の発育に影響を及ぼす可能性があります。歯列や骨は、弱い力でも長時間、長期に渡ると発育に影響がでることは知られています。例えば、舌の力は弱いものですが、舌の癖がかみ合わせに影響するのは矯正医ならいやというほど体験しています。力、期間、時間の3要素が影響を与えます。強い力でも短時間だと影響はありませんが、舌が前歯を押す力は数十グラムと小さいのですが、毎回つばを飲み込むごとに舌を前歯に突き出すと歯は動いてきて、前歯に隙間がでます。これを開咬といいますが、無理矢理矯正治療で直しても、癖がなおらないと再び空隙が生じます(後戻り)。

 この原理からすれば、頬杖も短時間ならそれほど影響はないと思いますが、同じ方向、長時間に渡ると歯列に影響がでる可能性があります。それ以上にうつぶせ寝は毎夜、かなり長い時間することが推測されますので、影響は大きいと思われます。頭の重さは、ほぼ5キロ、ボーリング玉とほぼ同じで、その力が直接、うつぶせ寝では顔面にかかってきます。下あごは関節のところでは固定されているものの、顔面部では唯一の可動部なので、力は直接あごを横に動かす力、あるいは歯列を中に入れる力、あごを関節に押し付ける力として作用します。その結果、あごが横にずれたり、奥歯のかみ合わせが逆になったり、あごの関節部が痛くなったりします。

 そういった意味でうつぶせ寝は注意が必要ですし、やめなくてはいけません。以前、日本人の頭の形を美しくということで赤ちゃんのうつぶせ寝がはやった時期がありましたが、その後乳幼児突然死症候群の原因として取り上げられ、現在では禁止されています。もともと人間は仰向けに寝るのが基本であり、うつぶせ寝は自然に反しています。ただ高齢者や睡眠時無呼吸症候群の患者さんではたんがつまりにくい、気道が確保しやすいなどで、うつぶせ寝が推奨されていますが、発育期の子供たちでは上記のような理由で絶対に直すべき癖でしょう。金曜日、土曜日と診療しましたが、そういった目で患者さんをみると、はや二人ほどうつぶせ寝のよる歯列の変形、あごのゆがみをもつ患者さんを発見しました。思った以上に頻度は高いのかもしれません。たたみの上に薄い布団を引いて寝るのなら、うつぶせ寝は痛くてできないと思いますが、日本人もふかふかのふとん、ベッドで寝ることが当たり前になったため、うつぶせ寝も可能になり、そこ結果頻度も多くなったのかもしれません。江戸時代のような高い枕、陶器でできた枕では絶対にうつぶせ寝はできませんし、昔のような固い枕も同様だと思います。うつぶせ寝ができるような寝具が発達してのは最近のことかも知れません。

うつぶせ寝の予防法として小川先生が提示していたのはふとんの下の大中小のクッションをひく方法です。写真下の右の方法です。早速患者に指導しましたが、次回感想を聞いてみたいと思います。うつぶせ寝用の枕やベッドも開発され、商品化されているようですが、案外うつぶせ寝禁止するようなものはないようです。江戸時代の枕はちょっときびしいでしょう。

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